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システムにおける性能指標の定義と位置付け(1):性能指標の種類 [システムトレード]

トレーディングシステムには様々な性能指標があり、それらはシステム性能を判断する上で重要な情報を与えてくれます。言わば、システムの通信簿のようなものです。
それらの性能指標は、システム設計段階においては最適なシステムを得るための指針となり、運用段階においてはシステムが機能しているかどうかを判定する材料となります。

性能指標の数は非常に多く、その種類は多岐に渡っています。トレーディングシステムにおいてどの性能指標を採択し重視するかは、設計するシステムの性能を大きく左右する重要な要素です。
個々の性能指標についても、古典的なものから現代的なもの、一般的なものから特殊なもの、等、様々です。

KFシステムクリエイターでは、約100種類もの性能指標を演算し、確認することが出来ます。これらは、システムの条件を変更する度に再演算され、直ちに再表示されます。
各々の性能指標は他の性能指標と密接に関連し、その多くが互いに従属する関係にあります。

性能指標は大きく分けて、次の5つに分類されます。

一つ目は売買指標で、個々の売買毎の成績を集計したものとなります。この指標は離散的であり、同じ分析期間のシステムであっても、それを構成する要素の数は異なるのが普通です。
プロフィットファクター(PF)、トレード数、勝率、損益レシオなどがこれに該当します。

二つ目は統計指標で、分析期間全域に渡る資産推移を統計処理したものとなります。この指標は連続的であり、日々の資産推移に応じて変遷します。
期待効率、標準誤差、EER(効率誤差比)、安定指数などがこれに該当します。

三つ目は複合指標で、売買指標と統計指標を組み合わせたものとなります。この指標は連続的ですが、売買指標の影響も受けるため、安定性を備えつつ直近性能を反映しやすい傾向があります。
最適化対象指標として用いられるKFインデックスなどがこれに該当します。

四つ目は対比指標で、システムの分析結果とそれ以外の指標との対比を表したものとなります。システムの相対評価を行う際などに有効です。
資産対株価推移などがこれに該当します。

五つ目はシステム指標で、システムそのものの妥当性や健全性を示したものとなります。統計指標と類似していますが、資産推移の分布や直近資産残高の水準など、主に資産カーブの統計的整合性を評価します。
正規分布と資産カーブの整合率などがこれに該当します。

これらの指標の中で、最も種類が多く、最も広く利用されているのは、売買指標です。売買指標は、トレード結果を直接的に表現するため分かりやすい反面、得られた性能が独り歩きしやすい傾向にあります。
例えば、2020年12月13日の記事「今更ですが、プロフィットファクターとは結局何なのでしょうか?」で述べたように、PFが最大となるシステムが必ずしも最良のシステムであるとは限りません。

これは、意図的な操作などによりPFや勝率を高め、あたかもそれが優れたシステムであるかのように見せかけることが可能であるという危険性を孕んでいます。
そして残念ながら、売買指標と言う比較的分かりやすい指標であるが故に、見かけの性能に惑わされてしまう人が少なくありません。

今回の記事では、各性能指標にスポットを当て、その定義や意味合いについて解説していきます。それらを通じて、性能指標に対する正しい理解を得る一助になればと考えます。

なお、性能指標の数は冒頭で示したように非常に多くの種類があります。それらの全てについて解説することは現実的ではありませんし、限界もあります。
そこで、代表的な指標に関しては深く掘り下げて考えていきますが、派生的な指標に関しては定義のみで済ませる場合があります。

また、一回の記事だけで到底収まる内容ではないため、今後数回に渡って掲載していく予定です。
今回は、今後取り上げる予定の性能指標を以下に列記するに留め、次回以降、それらについて詳しく解説していきます。

ちなみに、PF等、過去の記事において詳細に解説している指標については、基本的には概要の説明に留め、それらの記事を参照していただくこととします。

1.売買指標

  損益累計,総利益,総損失
  プロフィットファクター(PF)
  トレード数,勝ち数,負け数
  勝率,平均利益,平均損失
  損益レシオ,平均損益,投資効率
  平均損益率,損益率標準偏差
  最大利益率,最大損失率
  平均利益率,利益率標準偏差
  平均損失率,損失率標準偏差
  累計損益率
  最大STD,最大ETD
  平均ETD,ETD標準偏差
  時価累積損益率,簿価累積損益率
  平均リターン,年率リターン,CSR
  最適レバレッジ
  勝ちトレード日数各種
  負けトレード日数各種
  連勝数各種
  連敗数各種
  時価累計ドローダウン各種
  時価累積ドローダウン各種
  簿価累計ドローダウン各種
  簿価累積ドローダウン各種

2.統計指標

  期待効率
  標準偏差,標準誤差
  EER
  標準猶予日数,統計期間
  安定指数,RSQ
  単利期待効率
  単利標準偏差,単利標準誤差
  単利EER
  単利標準猶予日数,統計期間
  単利安定指数,単利RSQ
  単利資産増減倍率

3.複合指標

  KFインデックス
  単利KFインデックス

4.対比指標

  資産対株価各種

5.システム指標

  整合率
  現在ポジション
  最小推定損益

なお、以上の性能指標は全てKFシステムクリエイターの評価項目となっています。性能指標の表記についてはそのまま記していますが、分かりにくい項目については、今後の解説で明確にしていきます。

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