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資本主義と社会主義、民主主義と専制主義:資産カーブと管理限界 [投資・経済全般]

トレーディングシステムの性質を最もよく表す評価項目として、資産カーブとその標準誤差推移があります。
これは、日付に対する資産残高推移もしくは累計資産増減率推移と、その回帰直線およびそれから標準誤差の2倍離れた平行線をプロットしたチャートです。

220314a01.png

これを簡単に、「資産カーブと管理限界」と呼ぶことにします。「資産カーブ」が「資産残高推移」、「管理限界」が「回帰直線と平行な直線」を意味します。
システムトレードにおいては、このチャートを見れば凡そのシステム性能の見当がつきます。

一般的には、資産カーブの傾きが大きくて、管理限界の幅(レンジ)が狭いほど良いシステムであると考えられています。
また、資産カーブが管理限界から逸脱する量や頻度が少ないほど、安定した運用が可能となります。

この資産カーブと管理限界の考え方は、システムトレードに限らず、世の中のあらゆる物事に適用することができます。
この時、資産カーブに相当するものは、統計量や物理量もしくは概念の推移、管理限界はそれらから統計的に求められる客観量です。

例えば、資本主義を資産カーブで表すと、傾きが比較的急峻であるものの、管理限界のレンジがやや広い、というイメージになります。
一方、社会主義の場合は、傾きは資本主義ほど急峻ではないものの、管理限界のレンジは狭い、というイメージになるでしょう。

これらをEERで比較すると、いずれも同程度になるかもしれません。
資本主義はEERの分子をいかに大きくするかを追求し、社会主義はいかに分母を小さくするかを追求する形態であるといえます。

資本主義はある程度の格差を容認し、全体として資産カーブを上昇させようとします。そのため、資産カーブのロバスト性(直線性)には目をつぶります。
その結果、管理限界のレンジが比較的広くなってしまいますが、全体としては右肩上がりを持続します。

社会主義の場合は、格差を出来るだけなくそうとします。そのため、資産カーブのロバスト性は良好ですが、上昇力は資本主義ほど大きくなりません。
もちろん、管理限界のレンジは狭くなるため、一見安定した推移となります。

これらの関係は、資本主義を民主主義、社会主義を専制主義に置き替えても、ほぼ成り立ちます。
民主主義は様々な意見の相違を容認しつつ、全体としての発展を目指します。一方の専制主義は意見の相違を認めず、統制の取れた社会を是とします。

問題は、どちらのシステムがより優れているか、ということです。
トレーディングシステムではEERが大きいほど良いと考えますが、上記の事例ではEERに大きな違いはありません。理論的には「どちらでもよい」ということになります。

しかし、共に行き過ぎた事例を示すことはできます。これをトレーディングシステムで考えてみます。
なお、以下の説明はあくまで私の経験に基づくものであり、必ずしも客観的に正しいという訳ではありません。

最初に資産カーブのロバスト性が悪く、管理限界のレンジが極めて広い事例です。
この場合は、平均的には右肩上がりの資産カーブであり、管理限界から逸脱することもなくレンジ内を推移するように見えます。

長期的に捉えた時、資産カーブが右肩上がりであることから、最終的な資産残高は上下動を伴いながらも、平均的には増えていきます。
しかし、複利で考えると話は違ってきます。資産変動があまりに大きいと、累積損益率は1を大きく下回ってしまいます。すなわち、資産が増えるどころか大幅に減少することになります。

一方、資産カーブのロバスト性が高く、管理限界のレンジが極めて狭い事例では、一見すると極めて良好な資産推移を示します。
累積損益率で見るとその傾向はより顕著になり、複利効果によって資産残高は指数関数的に増大します。

しかし、このようなシステムは通常、過剰最適化という可能性を孕んでいます。そのため、資産カーブが管理限界を大きく外れると回復力を失い、最悪の場合、同推移は転落の一途をたどります。

過剰最適化を避けるための、絶対的な方法は存在しません。経験的には、資産カーブ形成の前提となる各種条件から逸脱しないように、運用を継続できるかをチェックする必要があります。
その一つが統計期間であり、もう一つが最適パラメータ継続期間です。

統計期間は、資産カーブの形成に当たって、いかに多くの経験値(事象)を反映させるかを決定します。
より多くの経験を積んだ資産カーブであればあるほど、新たな経験に対する反応がより的確になると考えられます。

このようにして形成された資産カーブは、過去の大きな原体験の変動を乗り越えて構築されているため、管理限界のレンジはある程度広くなってしまいます。
しかし、それが結果的に管理限界付近からの中央回帰を呼び覚まします。

例外を棄却したり、直近の事象ばかりで形成された資産カーブは、それに当てはまらない事象が起きると、管理限界付近からの中央回帰が働きません。
その結果、資産カーブは管理限界を容易に突き破り、決して戻って来ない状態に陥ると考えられます。

なお、資産カーブはパラメータの変化に対して極めて脆弱です。通常、システムロジックにおいて最適パラメータが変化すると、その資産カーブは大きく変化します。
ここで重要なのは、最適パラメータは連続的に変化するのではなく、ポイントからポイントへジャンプ(遷移)する、ということです。

そのため、最適パラメータの遷移(変化)によって、資産カーブはドラスティックに変化します。
そうなると、それまでの経験はすべて白紙に戻り、新たな経験に基づいた資産カーブでの運用を余儀なくされます。

それがより良い結果を生む場合ももちろんありますが、多くの場合、管理限界のレンジは広がり、EERは低下します。
すなわち、いくら高EERの理想的な運用を目論んだとしても、管理限界から大きく外れた途端にそれまでの資産カーブは破棄され、管理限界のレンジが広く、より低いEERに甘んじた資産カーブでの運用にならざるを得ません。

さて、こうして考えると、社会主義や専制主義の脆弱性が見えると共に、それらがいずれは最適パラメータの遷移によって、管理限界のレンジが広いシステムに移行する様子を説明できます。

その状態は正に資本主義や民主主義の資産カーブであり、社会主義や専制主義はいずれ崩壊して、それらの状態に落ち着くのではないかと思えます。
しかし、その過程は一筋縄ではいきません。資産カーブの再形成に当たっては、一旦、管理限界のレンジが急拡大します。更には資産カーブの上昇力は低下し、システムとしては最悪の状態に陥ります。

その後、新たな最適パラメータが機能し始めることで、ようやく資産カーブは落ち着きを取り戻していきます。
同じロジックで考える限り、その資産カーブは崩壊前の状態に戻ることはなく、長い年月をかけてようやく有効に機能していくことになります。

ここで、思い切ってそれまでのロジックを捨て、新たなロジックでシステムを再構築する場合もあります。
その方がシステムの回復に掛かる時間を短縮できる可能性がありますが、同じ経過を繰り返してしまう可能性も除外できません。

結局のところ、資本主義や社会主義、民主主義や専制主義という枠組みは、資産カーブから見れば単に異なる側面を表しているに過ぎません。
理想的な資産カーブとは、ある程度広い管理限界のレンジを許容しつつ、相応の上昇力を維持し続ける、と言えるかもしれません。

そこへのアプローチ方法は一つではなく、資本主義側から目指す場合もあれば、社会主義側から目指す場合もあるでしょう。
その一つの答えが、EUであったり中国であったりするのかもしれません。

ちなみに、専制主義に関しては、政治的には独裁に陥る場合が多く容認しがたいものがありますが、企業活動においてはむしろ独創性を生み出す源泉になっている事例が多々あるように思います。しかし、それも度を過ぎれば萎縮や盲従を生み出し、企業活動を停滞させる要因になります。

いずれもリーダーの資質次第であり、上手く機能している内は大きなプラスの作用となりますが、いずれは弊害が出てきてしまう事例が多々あります。
その最大の要因はリーダーの変質であり、長期に渡って自らを律し続ける事が如何に困難かを物語っています。

優れたリーダーがその資質を維持するために、自らを律し続ける必要があるのは言うまでもありませんが、自らが変質してしまった時にリーダーを降りて次のリーダーに託すための、公正で厳格な仕組みを作り上げることが、最重要の仕事なのではないかと思います。

自らの任期を終身化したり、犯した罪を罷免したりすることは、リーダーとしての資質を自らが放棄する行為であり、到底容認できるものではありません。
そのような人物がリーダーとして居座っている組織は、いずれ朽ちていく運命にあるものと考えます。

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エクセルのちょっといい話(22):エクセル2013以降の不都合緩和 [エクセル]

エクセルのちょっといい話(20):エクセル2003の並列実行」で触れたように、直近エクセルを含むエクセル2013以降では、シートを開く度に表示位置がずれて行くという問題があります。

また、マルチスレッド計算(マルチコア演算)を有効にしていると、複雑で重い処理を行うブックではオーバーヘッドが発生し、処理が著しく遅くなったり、場合によってはハングアップしてしまうことが少なからずあります。

こららの問題は、エクセルの設定を変えれば何とかなると言ったものではなく、ブック毎に対処する必要があります。
なお、マルチスレッド計算に関しては、エクセルの設定で無効化することができますが、使用環境によっては解除後に再び有効にしておく必要があり、面倒です。

KFシステムクリエイター及びそれに関する一連のツールにおいては、基本的に全てのブックでマルチスレッド計算を無効化しています。一方、システムに関係ないブックでは、マルチスレッド計算を有効にしています。
これらを上手く使い分けるためには、各ブックのマクロベースで対処する必要があります。

VBAには、マルチスレッド計算を制御するMultiThreadedCalculationというオブジェクトがあります。これをThisWorkBookモジュールに記述することで、ブックオープン時にマルチスレッド計算を無効化し、ブッククローズ時に再び有効にすることができます。

また、ブック(ウインドウ)の表示位置を制御するには、Application.Top及びApplication.Leftというプロパティを使えば可能となります。
これらは表示位置の取得の他に、表示位置の指定にも使用できます。

これらを用いてエクセル2013(マルチスレッド計算についてはエクセル2007)以降で生じる不都合を緩和することができます。
その概要は、次の通りです。


1.標準モジュールでの型宣言

この宣言はシートモジュールに対しても行うため、Publicを用いる必要があります。項目はブックの上位置、ブックの左位置、エクセルのバージョンの3つです。

2.ThisWorkBookモジュールでの起動処理、終了処理

ブックのオープン時に、開いたブックの上位置、同左位置、エクセルバージョンを取得します。更に、バージョンがエクセル2007以降の場合は、マルチスレッド計算を無効化します。
ブックのクローズ前には、マルチスレッド計算を有効に戻します。

3.シートモジュールや標準モジュールでの処理

ブックから他のブックを開く処理がある場合、ブックを開いた直後にそのブックの上位置と左位置を、元ブックの位置に揃えます。
なお、元ブックの位置がずれた場合に備え、上記ブックオープン前に、念のため元ブックの上位置と左位置を再取得しておきます。


これらの処理により、例えばブック上に記載したファイル名をダブルクリックすると、そのブックが開くといったマクロでは、エクセル2010以前と同様に、開いたブックの位置は元ブックに重なるようになります。

また、複雑な処理を行うブックを開く際には、再計算につまづくことが減り、スムーズな処理が期待できます。
もちろん、マルチスレッド計算に適したブックもあり、それらにとっては逆効果となるかもしれません。まあ、ケースバイケースといったところでしょうか。

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新しいベーシックインカムの話をしよう(2)~お金に色を付けろ!~ [投資・経済全般]

ベーシックインカムの導入に当たり、重複する各種制度は大幅な見直しが必要になります。基本的には、それまで存在していた各種社会保障制度は、停止もしくは大幅な削減を余儀なくされるでしょう。

子供手当については、ベーシックインカムによる給付で完全に置き換えることが出来ます。ただし、市町村等の各自治体において独自に設ける制度については、それを除外するものではありません。

失業給付も、基本的にはベーシックインカムで置き換えることが出来るでしょう。ただし、失業以前に高額収入を得ていた人に対しては、何らかの激変緩和措置が必要になるかもしれません。
あるいは、現行の雇用保険制度を拡張しても良いでしょう。

生活保護に関しては、単身を除く多くの場合で、一人当たり月10万円(子供は5万円)のベーシックインカム収入の方が上回ります。
ただし、生活保護を受給する大きな要因となっている、身体的あるいは心因性の障害に対する医療や介護等に関しては、別途公助が必要かもしれません。

また、住宅に関しては、全国で増加している空き家を上手く活用する等、行政側でできることは多くあります。
人権としての居住の自由は大切ですが、選択肢の一つとして転居を提案することも、重要なのではないかと思います。

2021年度の社会保障給付費は総額129.6兆円で、その内訳は年金が58.5兆円、医療費が40.7兆円、福祉その他が30.5兆円となっています。
ベーシックインカムが担うのは、当面は福祉その他の項目の一部であり、それだけならば前回示した基礎賃金に基くベーシックインカムに置き換えることができます。

しかし、将来的には年金をベーシックインカムに組み込んでいくことが必要になってきます。それは現状で約60兆円であり、月10万円を超える部分を自己積み立てにするとしても、約50兆円(4,100万人×120万円)もの新たな財源が必要になります。

現状の国民年金制度のように、月々支給されるベーシックインカムの中から、老後のベーシックインカム分を積み立てれば良いと思われるかもしれませんが、それは現実的ではありません。

例えば、15歳から65歳まで50年間分のベーシックインカムの一部を積み立てて、65歳から90歳(65歳の平均余命+α)までの25年間分を賄うとすると、単純計算でベーシックインカムの内半分を積み立てに回さなければなりません。なお、ここでは運用による積立額増減は考えません。

もっとも、この議論には元々おかしなところがあります。それは、ベーシックインカムの一部積み立てを実行する場合、例えば15歳から65歳までの実効給付額は5万円であるのに対し、65歳から90歳までは満額10万円が給付される、ということです。

各世代の給付額を均一にするには、65歳までの給付額の33.3%を積み立てて行けば、65歳から90歳までの給付額は満額の66.7%となり、世代間の格差がなくなります。
実際の金額で示すと、10万円の内3万3千円ほどを月々積み立てて行けば、65歳以降、平均寿命を迎えるまで、月々6万7千円ほどの給付を受けることが出来るわけです。

この積み立て分を国が管理し、ベーシックインカムの実効給付額を6万7千円に設定すれば、現行制度の枠組みの中で、将来に渡ってベーシックインカムを実現することが可能となります。

ここで、ベーシックインカムの給付額として15万円を想定すれば、実効給付額を当初給付額の10万円とすることが出来ます。
しかし、そうすると、元々の基礎賃金が625円から938円ほどに上昇してしまいます。これは非正規雇用者の賃金増加分を打ち消す作用があり、望ましいものではありません。

また、ベーシックインカムの給付額が5割増となる事で、当然、必要財源も5割近く増加します。約20兆円の必要額に対し、計算上は約30兆円が必要になるわけです。
ただし、15歳未満への支給額は変らず5万円のままでよく、また国民年金受給者の不足額も無くなるため、実際にはほとんど増加分は無いことが分かります。

何かキツネにつままれたような感じですが、実はこれには致命的なカラクリがあります。

基礎賃金分を拠出する企業側から見ると、企業は雇用者の賃金の内15万円分を国に治め、それを超過する分を雇用者に直接支払うわけです。
国は15万円の内5万円を積み立てに回し、残りの10万円を雇用者側に給付金として渡します。

もうお分かりのように、このままでは雇用者側の手取りが5万円少なくなってしまいます。これを労働者人口6,800万人に割り当てると、年間総額は約40兆円になります。更に、15歳以上の非就業者には、そもそも企業からの拠出分がないわけですから、それを加味すると総額は概算で50兆円ほどになります。

実は、このようなややこしい制度にしなくても、65歳以上の給付は全額、国が拠出するとした場合でも、約50兆円(4,100万人×120万円)の財源が必要になります。
結局、ほとんど同じ結果になることを、見かけ上のやり方を変えてみただけに過ぎません。

ただし、敢えて月々5万円を積み立てることにすると、例えば現状制度と同様に、企業や国民に一定程度の負担を要請しやすくなります。
例えば、企業と国民に15千円ずつの負担をお願いし、国が残りの2万円を負担するとすれば、必要財源増加分は20兆円ほどで済むことになります。

また、積み立て分を運用することにより、実質的な負担額を低減することが出来るかもしれません。
もっとも、それは負担額の低減よりも、将来の給付金増額のために利用すべきでしょう。

さて、いずれにしても、将来の年金支給を見据えた場合、20~50兆円規模の財源が必要になる事は避けられません。
それを賄うためには、税金で何とかするしかありません。

例えば、消費税でこれを賄うとすれば、現状における消費税率1%当たりの税収は約2兆6千億円と言われていますから、最大で20%ポイントの増税が必要になります。
現行の10%と合わせると、何と30%です。現在の北欧諸国における税率が25%ですから、それをも上回ってしまいます。

そもそも、社会保障としてベーシックインカムを導入したのに、その内の最大30%を税金として返すようでは、意味がありません。
最低限、給付金は消費税も含めて非課税とするべきです。そのためには、給付方法についても、よく考える必要があります。

もちろん、現行制度では消費税を非課税扱いにすることは困難です。すなわち、制度自体をガラリと変えなければなりません。
そのキーワードとなるのが、「お金に色を付ける」ということです。

現在、国はマイナンバーカードの普及に力を入れています。しかし、なかなか普及率は上がらず、未だ4割程度に留まっています。
もしもベーシックインカムを実現しようとするならば、このマイナンバー制度を利用しない手はありません。

マイナンバーと銀行口座との紐付けを嫌う人は少なくありませんが、いっそのこと給付専用口座を国が勝手に国民に供与すれば良いのです。
マイナンバーと紐付けられたこの専用口座は、国や自治体からの入金は可能だが他からの入金は出来ず、出金や振り替え、引き落とし等は自由にできる、という性質を持たせます。

更に、名義人及びその保護者(後見人)以外は使うことが出来ず、名義人が死亡したら国に返納されるものとします。
この口座の管理母体は国もしくは日本銀行とし、認可された他の金融機関が出金や引き落としなどの実務を行うことが出来ます。

そして、これが一番重要なのですが、この口座から支出されるお金には消費税が掛からないようにします。
そうすることで、月当たり10万円、年間120万円の消費税非課税枠が実現できます。

もうお気付きのように、これは「お金」というよりは「ポイント」に近いものです。ちょっとこじゃれた言い方をすれば、「デジタル通貨」と呼んでも良いのかもしれません。

また、名義人の生存中のみ付与されるという性質から、この「通貨」には自ずと総発行額の上限が存在します。
その「発行額」は最大で約1京円となりますが、その大半が消費に回されるため、実際の流通額はせいぜいその数%程度と考えられます。

なお、月間の消費支出は1世帯当たり23万円ほどで、全世帯数は約6千万世帯ですから、総消費支出は月当たり約14兆円、年間で約166兆円となります。
一方、2020年度の消費税収入は約21兆円であることから、逆算すると約200兆円の消費支出があった、ということになります。

ここで、ベーシックインカム分を非課税とすると、最大で年間150兆円分の消費支出が非課税になるため、残りの50兆円に30%の消費税を課しても、税収は15兆円にしかなりません。現行の21兆円をも下回ってしまいます。

結局、ベーシックインカムの財源を消費税増税に頼る限り、給付金全額を消費税非課税にするのは難しいことが分かります。
妥協案として、給付金には従来通り10%の消費税を課し、それ以外には30%の消費税を課すものとすると、単純計算で約15兆円の税収増になります。

しかし、税収を増やすために個人消費に頼るには限界があり、やはり法人から如何にして徴収するかが課題となります。
そのための一つの方法が、AI・ロボット税の導入です。

これは、AIやロボットの導入により労働者が削減される場合、本来労働者が支払うはずであった税金を、AIやロボットを導入した企業に課すというものです。
これをベーシックインカムに絡めて考えると、雇用者削減分の拠出金を国に納める、ということになります。

拠出割合は導入したAIやロボットの能力に依存し、ロボット1台当たりの削減人数が多いほど、拠出金は増えることになります。
削減された労働者が他社で働くことが出来れば、そこから新たな拠出金が創出され、ベーシックインカムの財源が増加することになります。

将来的には、この制度を適用された企業の収益力に応じて拠出金の割合を調整すれば、労働力人口に依存しない安定したベーシックインカム制度が実現出来るのではないかと考えます。

これらは荒唐無稽な話に聞こえるかもしれません。しかし、数10年という長いスパンで見た場合、けして実現不可能な世界ではないと信じます。
日本社会が疲弊して再起不能になる前に、建設的な議論が進むことを願います。

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新しいベーシックインカムの話をしよう(1)~FIRE、年金、ベーシックインカム~ [投資・経済全般]

投資の世界では、今、FIRE(ファイア:Financial Independence, Retire Early)が注目されています。これは、従来のような「億り人」を目指すといった類ではなく、持続可能な投資を継続的に行い、早期リタイアを目指すという動きです。

FIREを達成するには、年間支出の25倍の資産と年利4%の運用益が必要と言われています。例えば、年間支出が240万円(20万円/月)ならば、6,000万円が必要となるわけです。
しかし、FIREとは会社員生活からおさらばすること、と考えると、これだけで十分なのか、よく考える必要があります。

最も重要なのは、配偶者や子供の存在です。例えば、会社員を辞めた途端に、月16,610円(令和3年度)の国民年金負担が発生します。しかも、その額は毎年増えていきます。
配偶者がいればその2倍、子供が20以上の大学生ならば、通常は更にその分が追加されます。

そもそも、子供を大学に通わせるということを考えると、年間240万円の収入では到底足りません。
そして、一時的な支出のつもりで命金である元金に手を出してしまうと、FIREは一気に崩壊してしまいます。

子供に奨学金を受給させるという手段もありますが、多くの奨学金は有利子負債となり、子供の将来に重くのしかかります。
自身の自由を達成するために、子供に不自由を押し付けるようでは、本末転倒です。

年金に関しては、現状において老後の生活を守る最後の砦です。資産運用がいつ暗礁に乗り上げるかは、誰にも分かりませんし、誰にでも起こり得ることです。
そのためのセーフティネットとして、最低限度の年金は将来受給できるようにしておく必要があります。

日本の年金制度は極めて複雑です。それを全て把握することは、ファイナンシャルプランナーでもない限り難しいかもしれません。
それでもFIREを目指す人は、年金保険料の支払いや将来の年金受給について、注意深く考える必要があるでしょう。

一方、私のような自営業者にとっては、年金はかなり微妙な問題になります。特に、月々の収入が安定しない職種の場合は、年金保険料の支払いに頭を痛めることも多々あります。
自営業者の場合は、将来、老齢基礎年金しかもらえない人も多く、それだけで老後の生活を支えるのは極めて困難です。

もちろん、国民年金基金に加入したりすることで、将来受け取れる年金額を増やすことも出来ますが、そのためには国民年金保険料に加えて、より多くの掛け金を支払う必要があります。

概算ですが、老齢厚生年金給付額との平均的な差額である10万円を終身受給するためには、20歳からの加入で現状、月額3~4万円程度の掛け金が必要となります。
若い時から自営業者(フリーランス)として、それだけの資金力がある人はそう多くはないでしょう。

また、恐らく自営業者の場合、自分の体が動くうちは働くという考えがあり、年金というのはあくまで生活の足し、程度の認識かも知れません。
事実、年金の繰り上げ受給者は1割程度いるようですが、その多くは非正社員だということです。

このような人にとっては、年金は将来を保障するものというよりは、ベーシックインカムに近いものだと思われます。
すなわち、毎月(正確には2か月毎)必ず入ってくる固定収入であり、事業が継続している間はそれを補填するもの、ということです。

テレビなどでよく紹介される、老夫婦が営む大盤振る舞いの赤字食堂などは、このような年金込みで生活を成り立たせているのかも知れません。
しかし、社会保障制度が充実している日本においては、このような考えや生活スタイルは、ある意味合理的でもあります。

さて、新型コロナウイルス禍における国民への給付金が取りざたされましたが、そのような背景においてベーシックインカムの議論が盛り上がっています。
全国民に定期的に現金を給付するというこの試みは、究極の社会保障と言えます。

ただし、その実現のハードルは極めて高く、全国民に毎月10万円を給付する場合、年間120150兆円余りの財源が必要になります。
これは現状の国家予算を上回る規模であり、到底実現できません。

給付額を7万円に抑え、更に15歳未満には半額程度の3万円とする案もありますが、それでも80100兆円ほどの資金が必要になります。
獨協大学教授の森永卓郎氏は「全額国債で賄う」などと言っていますが、さすがにそれは無理があるでしょう。

誰もが不可能と思えるベーシックインカムですが、実はちょっと考え方を変えるだけで、実現の道筋を示すことが出来ます。
それは、「差分」という考えを取り入れることです。

そもそも日本国民の大半は、月々10万円以上の収入を得ています。問題となるのは、10万円に満たない収入しかない人々です。
そこで、それらの人々には10万円との差額を給付することで、全国民が10万円以上の安定収入を得ることが出来ます。

これは、ベーシックインカムというよりは、生活保護制度の拡大と解釈されるかも知れません。
しかし、考え方を変えれば、ベーシックインカムとして機能することを示すことが出来ます。

まずは、この方式を採用した時に、どの程度の財源が必要になるかを見積もります。なお、以下の計算はあくまで概算であり、実際とは異なっているかもしれません。
また、元にした資料は各年度に跨っており、統一されたものではありません。人数は100万人単位、金額は1万円単位とします。

まず、日本の総人口は12,600万人であり、内15歳未満は1,500万人です。15歳以上の労働力人口は男3,800万人、女3,000万人の計6,800万人であり、内完全失業者は200万人、就業者は6,600万人です。就業者の内、パート労働者は1,400万人です。

更に、年金受給者は4,100万人で、内国民年金のみの受給者は800万人です。また、生活保護受給者は200万人です。

以上の条件で、15歳以上に月10万円、15歳未満に月5万円を給付するものとして、それに満たない収入の人数と不足額を掛け合わせ、合計します。
その金額が、全国民が月額10万円以上(15歳未満は5万円)の収入を得るために必要な資金となります。

まず、15歳未満は収入がありませんから5万円が全額給付されます。同じく失業者には10万円が支給されます。
年金受給者の内、国民年金のみの人の不足額は平均5万円、厚生年金の場合は不足額はないものとします。

生活保護受給者は10万円、パート労働者は平均賃金との差額1万円とすると、それらの合計金額は月当たり16,900億円、1年間で約20兆円となります。
すなわち、年間20兆円を工面できれば、ベーシックインカムが実現できます。なお、給付額を15歳以上8万円、同未満4万円とすれば、約14兆円に削減できます。

ここで、最初の疑問である「これはベーシックインカムではなく生活保護の拡張ではないのか」という命題について考えます。

そもそも、10万円を全国民に給付するとは、どういうことでしょう。それを実現するために、現状の就労者や年金受給者の収入が減るようでは、国民に受け入れられません。
少なくとも、表面的には現状程度以上の収入を維持する必要があります。すなわち、10万円の給付分を就労者の収入から再分配するわけではないのです。

基本的な考え方は、10万円を「基礎賃金」として定義することから始めます。そしてこれを時給換算します。
例えば、週40時間、1か月で160時間就労した結果が10万円だとすると、その時給は625円となります。

これを基礎賃金とし、現行の賃金との差額を、就労によって得られる賃金である「付加賃金」として再定義します。
そのためには、現行の賃金体系を時給換算に変更する必要があります。

全国民は基礎賃金を国から受け取ると共に、企業は就業者の基礎賃金を国に納付します。その上で、就業者に対しては付加賃金分を支給することになります。
就業者が受け取る賃金はトータルで変わらず、企業の負担も変わりません。

基礎賃金はあくまで定時勤務内の賃金ですから、それ以外の月160時間を超える分については、企業が超過賃金として(基礎賃金+付加賃金+超過手当)を、就労者に支払う必要があります。
また、賞与などについても(基礎賃金+付加賃金)をベースに支給することになります。

パート労働者については、月160時間を超えない範囲では企業から付加賃金を、国から基礎賃金を受け取ります。
160時間を超える分については、正規雇用者の場合と同じです。

現状、パート労働者の平均時給は1,163円というデータがありますから、付加賃金は時間当たり538円になります。
パート労働者にとっては、例えば今まで月100時間、時給1,000円で働いていた場合、月収は10万円でしたが、ベーシックインカムの下では10万円+(1,000-625)円×100時間=13万7,500円となります。

月160時間以上働く正規雇用者の場合、収入は従来と基本的に変わりませんが、パート労働者の場合は大幅なかさ上げが実現されます。
このベーシックインカムの副次効果として、正規労働者と非正規労働者との収入格差を是正することが期待できます。

一方、パート労働者を雇う企業側では、労働者への付加賃金の他に、国へ基礎賃金を納めなければなりません。
その場合、全パート労働者の総労働時間を160時間で割り、それに10万円を乗じた金額が基礎賃金として国に治める金額となります。基本的には、企業が支払う賃金総額に違いはありません。

年金受給者の場合は、それまでの受給額が10万円以下の場合、支給される額は一律10万円となります。
これは一見不公平にも見えますが、賃金があくまで労働の対価だという原則に基けば、止むを得ません。年金は過去の労働の対価だという考えもあるでしょうが、ベーシックインカムの理念が優先されます。

ベーシックインカムを導入するに当たり懸念されるのが、非労働者の増加です。働かなくても生活できるのであれば、働かなくても良いという考えの人が、一定程度存在するであろうことは、容易に想像できます。
その一方で、より良い生活を求めるのもまた人間であり、社会的存在意義を求めるのも人間です。

また、企業は存続と発展を追求する存在であり、必要に応じてその構成員を維持・拡大していかなければなりません。
そのため、求人そのものは絶えることはなく、ベーシックインカムの導入により実効求人倍率が上昇し、より良い求人条件を提示する必要に迫られると考えます。これは労働意欲の向上につながるでしょう。

結局のところ、ベーシックインカムを導入しても、就労者数はさほど減らないのではないかと考えます。
念のために試算すると、80対20の経験則に則って就労人口の内2割が働かなくなるとした場合、追加財源として約16兆円(月額10万円)が必要になります。

それでも日本人が働かない状況になったとしたら、それを補うために外国人労働者が増加することになるでしょう。
その場合、外国人労働者を考慮した新たな枠組みの中で、ベーシックインカム制度を再構築していく必要があるかもしれません。

今回は、新たなベーシックインカムの実現方法について提案しました。次回以降は、今後訪れるであろう最大の課題や、財源の問題について、考察したいと思います。

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amazon Echo Show 5へのNintendo Switch Lite用ガラス保護フィルムの適用 [電脳電網奥義]

2021年11月26日から12月2日まで開催されたamazonブラックフライデーで、Echo Show 5を4,990円オフの3,990円で購入しました。
このデバイスは、2年前に購入した第1世代を所有しているのですが、今回は第2世代ということで、ついつい食指が動いてしまいました。



使い勝手については第1世代とさほど変わらず、特に言うこともないのですが、まあ幸いにも今のところ不具合はありません。
第1世代はカミさんの作業部屋に、今回の第2世代は私の仕事部屋に置いてあります。

さて、この手のディスプレイ付き機器を購入した際、最初に考えるのは保護フィルムの貼り付けです。
純正フィルムは高価なので、大抵はサードパーティ製を購入するのですが、今回は100円ショップの製品を試してみました。

100円ショップでは多くの保護フィルムを販売していますが、残念ながらそのほとんどはiPhone用です。
それ以外では、液晶画面のみを覆うタイプの汎用ガラス保護フィルムやフリーカットフィルムしかありません。

ネットでEcho Show 5に適した保護フィルムを検索すると、ダイソーなどで売っている5.5インチ画面用のガラス保護フィルムが良い、という記事を見つけることが出来ます。
しかし、その場合、画面の両端1mmくらいが収まらず、貼る際に結構シビアな位置決めが必要になりそうです。

結局、ガラスではありませんが165mm×80mmのフリーカットフィルムを購入し、使うことにしました。
Echo Show 5の画面周りの平坦部の高さは82mm、幅は144mmほどであり、4隅に半径10mmほどのRがあります。

そこで、フィルムの長辺を140mmにカットし、4隅に5mm程度の面取りを行った後、更にその角を数mmずつカットしました。
それを第2世代Echo Show 5に適用したところ、次の写真に示すように比較的きれいに貼ることが出来ました。
IMG_20211207_161749a.jpg

写真では右上の角のみ示していますが、他の角のクリアランスも同程度です。

この結果に気をよくして、第1世代の保護フィルムも貼り変えようと考えたのですが、ダイソーに行ってみると、Nintendo Switch Lite用のガラス保護フィルムが売られていることに気付きました。

その場でサイズを検索しましたが、なかなか情報が得られません。スマホで検索したこともあって、情報がかなり簡略化されていたことも、結果を困難にしました。
仕方がないので、その場は諦めて、家に帰ってからパソコンで調べることにしました。

調べて見ると、全体サイズや画面サイズ(表示部のみ対角5.5インチ)という情報はありますが、保護フィルム貼付部のサイズはなかなか見つかりません。
そんな中、ふわ(huwa)さんという方のブログで、Switch Liteのディスプレイ周辺平坦部のサイズが「縦8.1cm×横14.1cmで少し丸みがある」との記述がありました。

ということは、Echo Show 5の平坦部サイズとほとんど同じです。ただ、Echo Show 5の方が4隅のRが明らかに大きく、Switch Lite用ガラス保護フィルムのサイズがギリギリで作られている場合、平坦部に収まらない可能性があります。

取り敢えず、これは試してみるしかない、ということで、次の写真に示すSwitch Lite用ガラス保護フィルムを購入しました。
これは、ダイソーだけでなくセリア等でも売っており、私はセリアで購入しました。
IMG_20211207_142017a.jpg

早速封を開け、サイズを確認してみると、何とかピッタリ収まりそうです。そこで、第1世代Echo Show 5の古い保護フィルムを剥ぎ取り、ディスプレイ表面をアルコールで清掃した後、Switch Lite用ガラス保護フィルムを貼り付けました。
IMG_20211207_141410a.jpg

第2世代同様、右上角の状態のみ示しています。高さ方向に1mm、幅方向に2mmほどの隙間が出来ますが、使用上の問題はありません。角はギリギリ収まっています。また、カメラ部分は完全にカバー出来ています。

ただし、Switch Lite用のガラス保護フィルムをEcho Show 5に用いる場合、モノによっては4隅が引っ掛かって上手く貼れない可能性があります。
実際に試してみたい方は、あくまで自己責任にてお願いいたします。

何はともあれ、これで高いお金を出してEcho Show 5専用保護フィルムを購入する必要はなくなりました。
本体購入価格が安かっただけに、保護フィルムに大きな比重を割くのには抵抗があったのですが、ようやくスッキリしました。

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