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Go To 狂騒曲 [雑感]

このところ世間を賑わしているGo To 問題。イートに続いてトラベルも、その制度設計の稚拙さが表面化しています。

Go To イートの問題点の一つは、飲食代金に関わらず固定ポイント制としたこと。まさか、席を予約しておいて、数百円の飲食だけで帰ってしまう輩が存在する、なんて、夢にも思わなかったのでしょうか?
だとしたら、相当世間ずれしている感覚だと思わざるを得ません。

この少額飲食問題に関しては、予約時の最低料金を設定することで、遅ればせながら解消に向かいつつあるようです。ところが、案の定、無限飲食ループなる技が登場し、Go To イートは再び混迷を極めています。
そもそも、ポイントで飲食してもポイントを満額付与するという制度そのものが、あまりにもお粗末です。

最近は様々な場面で、ポイントを利用することが多くなっています。そんな中、ポイント支払分はポイント付与対象にならないことは常識です。
特に、今回のような定額ポイント付与の場合、使用金額によっては無限に発散してしまうことは、高度な数学を用いるまでもなく明らかです。

制度利用の最低金額を、ポイントと同額以上にすると共に、ポイント使用時にはポイントが付与されないようにすれば、こんなバカげた話は生じません。
支払いの一部をポイントとする場合は、現金支払い部分が最低利用料金以上である場合に限り、ポイントを付与すれば済む話です。

そうすれば、Go To イートの恩恵は、最大でも飲食代金の半分に留まります。これくらいであれば、十分妥当な水準なのではないかと思います。
一方、Go To イート食事券の割引率は25%ですが、こちらは予約なしでも使用できます。両者を上手く使い分けて、お得に利用したいものです。

Go To トラベルに関しては、予算の1割も使っていない段階で、一部旅行業者向けの供給枠が枯渇するという問題が生じました。
これについては、供給枠を期間や旅行業者、適用地域毎にあまりにも細かく分けすぎたがための帰結であり、その方針を打ち出した部署や、区割りを担当した部署の認識不足によるものと思います。

需給予測という技術は、様々な分野で用いられていることは事実です。例えば回転ずしチェーンなどでは、細かな需給予測を立てて、廃棄を最小限に留めることに成功しています。
ただし、これは長年に渡るデータや経験、そしてそれらを分析する技術力に支えられていることは明らかです。

今回のように、過去に経験の少ない大事業に適用すること自体が、拙速だったと言わざるを得ません。しかし、予算を長く有効に、広く公平に活用するために、このような制限枠を設けること自体は必要かもしれません。
例えば、一部のネット事象者ばかりが恩恵を独り占めするようでは、それはそれで問題です。また、高級旅館や有名観光地ばかりに観光客が集中することも、避けなければなりません。

今回の問題では、需給予測技術が十分でなかったことに加えて、更に深刻なのは、供給能力の枯渇が事前に十分にアナウンスされなかった、ということに尽きるのではないかと思います。
そのため、本来のGo To トラベルサービスを受けることが出来なくなった一部の利用者に、不公平な状態が生じてしまいました。

これなどは、各旅行業者が分かりやすく提示したり、他の選択肢を明確に示すことで、ある程度は回避できたことなのではないでしょうか。
例えば、旅行業者のまとめサイトと提携し、サービスの内容を常に更新するなどの対応が取れれば、利用者の確認も容易なのではないかと思います。

ただ、そのように比較できたとしても、利用者にとって分かりにくい状況は存在します。それは、各旅行業者によって、例えば宿泊対象施設のサービス内容や料金が異なる、ということです。

同じ旅館、同じ部屋、同じ食事内容であっても、取り扱う旅行業者によって価格に違いが生じるのは普通です。そしてそれは、影響力の大きい旅行業者ほど安くなる傾向があります。
そのため、どうしても中小の旅行業者の利用には、二の足を踏んでしまうのではないでしょうか?

実際のところはどうなのかは分かりません。金額だけでなく、手軽さという理由もあるでしょう。しかし、このような状況が変わらない限り、特に中小旅行業者支援という狙いは掛け声倒れに終わってしまいかねません。
中小旅行業者だけではなく、中小宿泊業者にとっても、残念ながら現行制度の恩恵はあまりない、という声が聞かれます。

現行制度では、一人当たり1泊最大1万4千円の割引が受けられ、それは4万円以上の宿泊料金の場合に適用されます。それに加えて、6千円の地域限定クーポンがもらえます。
一方、1泊1万円の宿泊料金の場合は、割引額は3,500円に留まります。それとは別に1,500円のクーポンが付きます。

お金にある程度余裕のある人ならば、恐らくは1万4千円の割引額の方がお得だと感じるでしょう。実際の支払額は2万6千円にもなるのに、それでも割引額の方に重点が置かれます。
一方、お金に余裕のない人は、あくまで支払総額で判断するでしょう。6,500円で宿泊できるという事実の方が、3,500円の割引よりも重要なのです。

問題は、これらの人がどの程度の割合で存在するか、ということです。お金に余裕のある人の割合が多ければ、それだけ安価な中小宿泊業者の恩恵は小さくなるでしょう。
テレビ等で見聞きする限りでは、お金に余裕のある人の方が多いように感じます。そもそも、お金に余裕のない人は、こんな機会でも旅行には行かないかもしれません。

それで結局何が言いたいのかと申しますと、この議論にはどこかに均衡点が存在する、ということです。例えば、高い宿に泊まる人と安い宿に泊まる人の割合を50:50にしたいのであれば、宿泊代金が低いほど割引率を大きくする、ということになります。

実際には、割引率の大きさにも限度があることから、現実的には、宿泊代金が高いほど割引率を小さくする、とした方が良いかもしれません。
いっそのこと、Go To イートのように完全定額値引(ただしポイントではない)とした方が、すっきりするでしょう。

旅行会社についても、例えば非ネット業者に対しては付加クーポンを付与する、などとすれば、ある程度は大手ネット業者との不均衡を改善することが出来るかもしれません。
直接予約を受け付けている宿泊業者に対しても、非ネット業者に準じる対応を取れば良いのではないかと思います。

そう考えると、結果的に現状のサービス枯渇状態は、上記の対策を一部実行しているとも捉えられます。何とも皮肉なことですが、そもそも十分な事前説明なしのサービス停止は、あってはならないものだということを忘れてはなりません。

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コメント 1

Kフロー

無限くら寿司・・・・・
案の定と言いますか・・・・・
くら寿司のない地元民も「公平」に税負担です(;´Д`)

by Kフロー (2020-10-28 10:54) 

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