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おわりに [トレード新思想体系]

昨年10月から開始した連載コラム「トレード新思想体系」も、今回で最後となりました。この8ヶ月の間、何とか週1回のペースで継続することができましたことは、ひとえに本コラムを読み続けてくださいました皆さまのおかげだと思っております。

説明不足の部分や、全体のつながりの悪さ等、今から読み返してみると、不備も目立ちます。また、図表を取り入れない代わりに、当初は関連コラムを末尾に載せたりしていたのですが、途中から関連付けが困難になり辞めてしまいました。
コラムの内容が、別のコラムの内容とほとんど重なってしまったこともあります。

元々は、私の思い立ったままに積み重ねてきたコラムの内容を、新たな知見を加えながら系統立てて再構成しようという意図で始めた連載コラムだったのですが、それが皆さまに伝わったかどうかは分かりません。
ただ、自分のトレードに関する考え方をまとめる良い機会にはなりました。

株式トレードに必勝法はあるのでしょうか?

これは、私が一昨年の9月にこのブログを開始した時に投げかけた問い掛けです。その時の答えは、「ある」というものでした。
そして、この連載コラムをスタートした時にも、間接的にではありますが必勝法は「ある」と考えていました。

そして今、その考えはより強まったと感じています。ただし、これは株価を予測するなどというオカルト的な手法によるものではなく、ただ単に株価の動きに追随するという地道な手法によってのみ成し遂げられるものだと思っています。

それが偶然か必然かは分かりませんが、株価が一方向に長期に渡って動くという事実は存在します。それはランダムウォーク仮説でも否定されているわけではなく、それをトレンドと呼ぶかどうかは別として、時としてそのような状態が発生することに異議を唱える人はいないでしょう。

ある銘柄の株価が徐々に上昇し始め、そしてある日を境に明確な上昇を描くようになります。上昇トレンドの発生です。
これを目にした投資家が買いを入れることによって、トレンドは継続するかもしれません。その理由は実のところどうでもいいのです。

そして、そのようなトレンドは、ある日突然終わりを迎えます。それが終わる日を予測することはできません。しかし、後になって終わったことを確認することはできます。
重要なのは、そのトレンドが終わったことをいかに早く確認できるかです。それと合わせて、そのトレンドが始まった時期を逸早く確認することも重要です。

トレンドの始まりを確認して買いを入れ、トレンドの終了を確認して売りを入れる。買いの価格が売りの価格よりも安ければ、利益となる。
基本的には、ただこれだけのことなのです。

そのトレードが利益になるか損失になるかは、トレンドの大きさ(傾きと長さ)とトレンドに乗り降りするタイミングによって決まります。
トレンドが大きければ、トレンドに乗り降りするタイミングが多少遅れたとしても、利益を手にすることができるでしょう。

しかし、トレンドの大きさは、そのトレンドが終わってみないと分かりません。すなわち、トレンドに飛び乗った段階では、利益は保証されないのです。
でも、私たちにできることは、トレンドを検知してそれに飛び乗ることだけです。トレンドの発生時期を予測したり、トレンドの大きさを予言したりすることはできません。

したがって、私たちにできるもっとも合理的な方法としては、トレンドの発生と終了を逸早く確認することと、その正確性を高めることです。
そうすれば、私たちはより低い買いコストでトレンドに飛び乗り、より少ないロスでトレンドから飛び降りることができます。

「頭と尻尾はくれてやれ」という相場格言がありますが、くれてやる頭と尻尾はできるだけ小さいに越したことはないのです。
頭と尻尾をくれてやったら胴体はほとんどなかった、などということが、いかに多いことでしょう。

トレンドの大きさは相場任せです。しかし、トレンドに乗り降りするタイミングは私たち次第です。仮にトレンドが小さかったとしても、それに素早く飛び乗り、素早く飛び降りれば、損失となったとしても最小限で済みます。
その内に、大きなトレンドに巡り合うかもしれません。そうした時に、利益を最大化できるのです。

そうは言っても、では具体的にどのような手法を用いれば、トレンドに乗り降りするタイミングを最短化できるのでしょうか。さらに、それらには客観性が求められます。
それを探る方策のいくつかについて、今までのコラムの中で述べてきました。

そして、その正確性を高める上で必要なのが、トレーディングシステムにおけるバックテストなのです。

人間は思い込みが激しい動物です。あるアイデアを思いついた時に、いくつかの場面で確認を行なって「良し」としてしまうことがあります。
しかし、多くの場合、長期に渡って客観的に確認を行なうと、そのアイデアは正確性に乏しいものだということが分かります。

しかし、中には長期に渡った確認作業を経ても、そのアイデアが機能する場合があります。そのようなアイデアを具体化したものの一つが、トレーディングシステムなのです。
すなわち、トレーディングシステムは、売買システムという側面の他に、アイデアの検証システムという側面も有しているのです。

そのように考えると、トレーディングシステムというのは、一部のシステムトレーダーだけのものではないということが分かります。
全ての投資家にとって、自分のアイデアや投資手法を検証するためにも、トレーディングシステムが有力な武器となる時代になってきているのではないでしょうか。

最近のパソコンおよびソフトウェアの高性能化や、インターネット等による情報入手の低コスト化は、私たち個人投資家によるシステムトレードへの参入障壁を下げています。
それに加えて、様々なメディアによるトレード関連情報の拡大・多様化により、多くの人にシステムトレードという概念が定着してきています。

トレーディングシステムは、今までは一種オカルト的で秘中の秘であり、けして表には出てこないものでした。
しかし、今後は多くのシステムが一般に公開されるようになってくるでしょうし、一部にはそのような動きも出てきているようです。

それは、もちろん無償ということは少ないでしょうが、少なくとも一部の機関投資家や資産家のためだけのものではなくなってくるのではないかと思います。
誰もがセミナー参加料や月間取引手数料程度の金額で、良質なトレーディングシステムを自由に入手できる日が、すぐそこに迫ってきているような気がします。

最後になりましたが、8ヶ月にも渡り、本連載をご覧いただきまして、ありがとうございました。まだまだ伝えきれないことは多々あると思いますが、ひとまずはこれで終了します。
今後は通常コラムの中で、いろいろと思いついたことを述べていくつもりです。その際、本連載に関連する内容を改めてお伝えする機会があればと思っています。
 
 
2007年6月吉日 Kフロー


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マネーマネジメント [トレード新思想体系]

これまでの話の中で、資産残高から見たストップ基準の一例として、年初資金の20%という基準を用いてきました。
この20%という基準は、どのようにして導かれたものなのでしょうか。

実は、この数字の客観的な根拠は存在しません。ただ、よく言われるのは、20%の損失を取り返すためには25%の利益が必要であり、その程度ならば実現可能だろうということです。
これが30%にまで損失が膨らんでしまうと、その後で43%もの利益を上げなければ元の金額には戻らない、ということになります。

すなわち、20%という基準は、そこまでの損失であるならば、仕切り直しによって、ほぼ同じ期間で取り戻すことが出来るかもしれない額である、ということです。
心理的には、勝ちと負けの確率が同程度であり、値動きもほぼ同じであれば、25%くらいの利益機会はあると思えるのではないでしょうか。

もちろん、この基準は小さければ小さいに越したことはありません。しかし、通常はリスクとリターンは比例しますから、ストップ基準を下げれば下げるほど、期待リターンもまた小さくなってしまいます。

当然、株式トレードで利益を追求する限り、期待リターンを0にするわけにはいきませんから、多少なりともリスクを背負う、すなわち、ストップ基準を決めてやる必要があります。
そしてそれは、私たちの投資戦略や手法に大きく依存します。

利益追求型のトレードを行なう場合は、最初に目標利益を決定して、そこから逆算してストップ基準を決定します。
例えば、私が行なっていたシステムトレードの場合、資産カーブやその回帰直線、標準誤差などから、システム停止時における1株当たりの最大損失額は予め分かっていました。

そして、目標利益、もっと具体的に言えば月々の出金額は決まっていましたから、それを得るための最低建て玉数も決まっていました。
すなわち、その最低建て玉数に一株当たりの最大損失額を掛けてやれば、それが資金ベースのストップ基準ということになります。

この数値が許容できるものでない場合は、本来ならば目標利益を下げてやる必要がありますが、そうすると月々の出金を含めたプライマリーバランスがマイナスになってしまいます。
そこで、残された選択肢としては、更に高EERのシステムを開発するか、出金を抑えるか、あるいは運を天に任せて損失に目をつぶるか、ということになります。

ここで見てきたように、利益追求型のトレードを行なうためには、システムトレードのように予め目標利益(利益目標ではありません)が明確になっていないといけません。
したがって、BUY&HOLDの場合には、目標利益からストップ基準を決定してやることは、困難ということになります。なぜなら、どこまで利益が伸びるかは、相場に聞くしかないのですから。

すなわち、期待収益が明確なシステムトレード以外では、リスク限定型のトレードを行なうべきである、ということになります。
これは、予め資産残高から見たストップ基準を決めておき、それをベースに個々のトレードのポジションサイズを決定するというものです。

これらは、どちらかというと資産をできるだけ減らさないためのマネーマネジメントです。一方、資産を積極的に増やすためのマネーマネジメントも存在します。
それは、レバレッジを利用したトレードだったり、複利効果を最大限生かしたトレードだったりします。

高レバレッジと複利効果が組み合わさると、資産カーブは時として爆発的な増加を示すことがあります。複利効果はある一定の利益率以上か、ある一定の損失率以上の時に、投資家に有利に働きます。
すなわち、非常にリスクの高い、資産の変動率の大きいトレードを行なった場合、最終的な資産が最大化する可能性があります。

これに更にレバレッジを組み合わせることで、資産は爆発的な膨張を示すことになります。これは、オプティマルfという指標を用いて、定式化されています。
ただし、このようにして最適化されたトレードは、一般に非常にドローダウンの大きいものとなるようです。

マネーマネジメントのやり方一つで、私たちの投資成績は大きく異なったものとなります。同じ銘柄を同じタイミングで売買したとしても、マネーマネジメントによって最終的な損益は違ったものとなってきます。

当たり前の話ですが、利益となるトレードでポジションを最大化し、損失となるトレードでポジションを最小化できれば、もっとも効率がいい投資となります。
しかし、そのようなことを実践できるはずもなく、堅実な投資家はリスク管理に重点を置いたトレードを心掛けるべきだと考えます。

使い古された言葉ですが、利益をコントロールすることは出来ませんが、損失をコントロールすることは可能なのです。

なお、マネーマネジメントと言うと、投資資金の配分方法などについて述べられることも多いようですが、ここでは触れませんでした。
あくまで株式トレードに絞って考えてみたのですが、個別株式に振り分けるリスクまでは考慮していません。こちらはどちらかというとファンダメンタル的な要素が強く、私の専門外ということでご容赦ください。


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システムポートフォリオ [トレード新思想体系]

株式トレードにおいては、複数の銘柄を組み合わせて売買したり保有したりする場合があります。これをポートフォリオ運用といいます。
株式を個別に売買するよりも、ポートフォリオ運用を行なった方が、リスクを低減することが可能であると言われています。

個別株式でポートフォリオを組むことと同様に、複数のトレーディングシステムでもポートフォリオを組むことが可能です。これを、システムポートフォリオと呼びます。
システムポートフォリオを組むことにより、通常のポートフォリオ運用同様にリスクを低減することが可能となります。

トレーディングシステムは元々、個別株式の売買よりもリスクを低減し、期待値を高めるために運用されます。そこには、人間の感情を排するというメンタルな側面もありますが、基本的には、合理的かつ効率的なトレードを行なうための手法の一つです。

そのようなシステムトレードにおいて、なぜ更なるリスク低減を考える必要があるのでしょうか。すべてを網羅した単一のシステムがあれば、事は足りるようにも思えます。
トレーディングシステムの場合、その資産カーブは単なる株価推移と比べて極めてロバスト性(直線性)が高く、複数のシステム間の相関もまた極めて高くなることが普通です。

相関が高い株式同士でポートフォリオを組んでも、リスク低減効果は小さく、そのため、通常は出来るだけ相関が低く、可能ならば逆相関関係にある株式を組み合わせることになります。
しかし、トレーディングシステムにおいては、一見、有効な組み合わせは得られないように感じます。すなわち、システムポートフォリオ運用は無意味ではないかとさえ思えます。

ところが、実際にある2つのシステムを組み合わせてみると、互いの相関係数は極めて高いにも係わらず、合成システムのEERが元々のシステムのEERよりも大きくなる場合があることが確認されました。EERは以前にも説明したように、リターンとリスクの比を取ったものです。

すなわち、通常のポートフォリオ理論からは想定することができない、リスクの低減がなされる場合があることが分かりました。
通常のポートフォリオ理論が、標準偏差をベースに構築されているのに対し、EERを考える場合は標準誤差を用いる必要があり、この違いが原因であると思うのですが、詳しいことはまだ分かりません。

さて、ロバスト性が高いシステム同士でも、EERを増大できる可能性があることが分かりました。これはすなわち、システムポートフォリオの有効性を物語っています。
そうは言っても、闇雲にシステムを組み合わせただけでは、効果は未知数です。では、どのような組み合わせを考えればいいのでしょうか。

それには、いくつかの考え方があります。一つは、純粋にEERが増加する組み合わせを目指すことです。ただ、EER増加のメカニズムはまだよく分かっておらず、とりあえず力技でいろいろな組み合わせを試す必要があります。

もう一つは、性格の異なるシステム同士を組み合わせるという方法です。例えば、中期の順張りシステムと短期の逆張りシステムを組み合わせてみたり、買いシステムと売りシステムを組み合わせてみたりすることが考えられます。

こうすることにより、相場がどのような状態になっても、いずれかのシステムが機能することを期待します。
ただ、やはり合成システム(ポートフォリオ)としての性能を、事前に確認する必要があるでしょう。

以上のように、システムポートフォリオを組むことにより、単一のシステム運用よりもリスクを抑えた運用が行なえる可能性があります。
しかし、システムトレードは元々、多額の運用資金を必要とするものであり、システムポートフォリオを組むことで運用効率を落としては、本末転倒です。

システムポートフォリオなどの運用テクニックを考える前に、自分の資産状況を認識し、身の丈にあったトレードを心掛けることが、最も重要なことなのではないでしょうか。


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ポジションサイジング(その2) [トレード新思想体系]

順張りトレードの場合は、大概、合理的なポジションサイジングを行なうことができます。それは、Entryした段階で既にストップ基準が明確になっている場合が多いからです。

例えば、ある移動平均の上方に株価が位置する間だけ株式をホールドするという、オーソドックスなトレード手法を用いる場合、この移動平均を割り込んだらストップとなるわけです。
通常、移動平均の動きは株価の推移と比較してゆったりとしているので、株価が下落してストップとなった場合、移動平均値はEntryした時点の値より大きくなっている可能性が高くなります。

すなわち、Entryした時点における移動平均値と株価(これらはある程度予測値となります)の差が、想定される1株当たり最大損失となります。したがって、資産残高から決定した1トレード当たり最大損失額を、前記の1株当たり最大損失で割れば、適切な建て玉数が決定できます。

ただし、これはトレンドフォローが大前提ですので、Entry時点において移動平均線が上向きになっている必要があります。
また、株価がもうすぐ移動平均を上回りそうだといった予測に基づいたEntryの場合は、上手く機能しません。あくまで、Entry時点において、株価が確実に移動平均の上方にあることが必要です。

以上では、ストップ基準を移動平均とした場合について述べましたが、これがトレンドラインでもパラボリックでも、考え方は同じです。
また、ブレイクアウトやトレイリングストップでも、ストップ基準は明確です。

Entry時点におけるそれらの値が分かっていれば、Entryした株価(マージンを見込んだ予測値)からそれらの値を引いたものが、1株当たり最大損失となります。

これに対して、Entry時点で損切り基準が明確になっていない場合は、話が難しくなります。例えば、株価の変化をシグナルにした場合、一例として、株価が3日連続で下げたらストップするなどとした場合には、Entry時点でストップ基準を決めることができません。

このような場合には、過去の株価の動きを分析して、平均してどれくらいの下落でストップとなるかを調べなければなりません。
これはいわばバックテストを行なうようなものです。したがって、一般的にはかなりハードルの高い作業になります。

今、Entry時点におけるストップ基準が明確でないトレーディングシステムがあったとして、このシステムを運用する場合を考えます。
これは当然バックテスト可能であり、過去のトレードにおける様々な性能指標が分かっています。これらの指標から、ストップ基準を決定することを考えてみます。

まず考えられるのが、平均損失を基準にするという方法です。ただし、平均損失は単なる平均値であり、実際の損失はそれよりも多くなる場合が多々あります。
したがって、そのままの値ではなく何らかのマージン係数を掛ける必要がありますが、そこには合理的な根拠はありません。

損失を確実に抑えるならば、過去の最大損失を基準とする方法がありますが、これはある意味偶然に頼った感があります。また、額を基準とするのではなく、率を基準とすれば、また違ったストップ基準となります。

もっとも合理的な方法は、損失の分布から統計的に決定することですが、χ(カイ)2乗分布などを持ち出すと話が難しくなります。
そこで、近似的に正規分布を仮定し(実際は正しくないのですが)、損失の標準偏差を求めることで、その2~3倍を1株当たり最大損失とする方法が考えられます。

もちろん、損失がその基準よりも大きくなる可能性はありますが、その確率はそう高くはないでしょう。既存のシステムの一つで確認したところ、損失が標準偏差の2倍を上回る率は約8%、3倍を上回る率は約4%という結果になりました。

これらは、あくまでポジションサイズを決定するための前提条件であり、実際の損失額が以上の説明の通りになるという訳ではありません。
また、当然、ストップした時点で利益となる場合も多々あります。あくまで、最悪の事態となった場合に、損失額を予定の範囲内に収めることを目指しているわけです。

こうやって、実際に1株当たり最大損失額を求め、ポジションサイズを決定してやると、それが思った以上に小さいことに驚くかもしれません。
逆に言えば、それまでいかにリスクを過大に取っていたかを、そのことは物語っています。

以上述べてきたことは、極めて基本的な事項です。その基本を踏まえた上で、時間経過に応じた1トレード当たり最大許容損失の見直しや、買い乗せ手法などを考えていく必要があるかもしれません。

そこには様々な考え方があり、やり方は人それぞれです。基本的には、各人のリスクに対する考え方で異なってくるのでしょうが、これが正解というものはないでしょう。


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ポジションサイジング(その1) [トレード新思想体系]

今回の内容は、本章第1節「ストップ基準」と重複するかもしれませんが、大切なことなので、もう一度考えてみたいと思います。
なお、ここでは買い建ての場合についてのみ説明しますが、売り建ての場合でも基本的な考え方は同じです。

株式を買い建てる場合、まずは最大許容損失を決定し、想定した損失額がその範囲内に収まるようにしなければいけません。
最大許容損失は自身の現在の資産残高から決定すればよく、これは基本的に自己裁量となります。

例えば、年間許容損失が年初資産の20%以内で、想定トレード回数が10回である場合は、1トレード当たりの最大損失額を年初資産の2%以内にすればいいわけです。
ただし、これは勝率ゼロの最悪の状態を想定した場合であり、実際には勝ちトレードがあったりしてトータルの期待値を高めることになります。

1トレード当たり最大損失額が仮に年初資産残高の2%であったとしても、株価が2%下落したら損切らなければならない、という訳ではありません。
実際の損失額と株価の下落量はイコールではありません。損失額は株価下落量×株数であり、株数を調整することによって、損失額はいくらにでも成り得ます。

このように、株数(建て玉数)を調整する行為を、ポジションサイジングと言います。例えば、年初資産残高が100万円で1トレード当たり最大損失額がその2%、すなわち2万円の場合、1,000円の株を100株買えば200円、すなわち20%の株価下落まで許容できますが、1,000株買ってしまうと20円下落しただけで損切らなければなりません。

株価が買値からいくらまで下落するかは、資産残高とは全く無関係であり、損切り価格を最大損失額から決めてはならない訳です。
この場合は、例えばテクニカルな理由から株価が10%下げたら損切るとして、100円下げたら2万円の損失になる株数、すなわち200株を買い建てればいいことが分かります。

リスクを抑えたトレードを行なうためには、まずは年間のトレード回数を見積もり、そして、年間の最大許容損失を決定します。
その情報を元に、1トレード当たりの最大許容損失を決定します。そして、トレード対象銘柄の損切り基準を決定した上で、それと購入価格との差額×株数が1トレード当たり最大許容損失となるように、購入株数を決定します。

以上のように、ポジションサイジングを考慮することにより、リスクを抑えたトレードを行なうことができます。
ただし、その前提となる損切り基準は、あくまでも株価推移から決定する必要があるのです。
 
 
(その2に続きます)


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