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出来高加重平均の奇妙な性質 [投資・経済全般]

出来高加重平均(VWAP:Volume Weighted Average Price)は、主に機関投資家の執行価格の目標値として用いられる指標であり、一部のデイトレーダーにも利用されています。
また、私も平均保有株価と共に、日々参考にしている指標でもあります。日経平均株価については、毎週末の「今週の投資成績」で簡易値を開示しています。

VWAPは、約定毎の株価と株数を掛けた値を合計し、それを同期間の全約定株数で割った値です。したがって、単位は株価と同じ「円」になります。
厳密には、取引開始から約定毎に値を計算していく必要がありますが、簡易的には一定期間毎の株価と株数(約定数)を用いる場合もあります。

その場合、期間を代表する株価として、その期間内の直近VWAPを用いることができれば、より正確な値を求めることができますが、それが困難な場合は直近株価を用いても、長期的には大きな誤差は生じないと考えます。

例えば、私が毎週求めている日経平均株価のVWAPですが、これは日々の日経平均株価の終値と構成225銘柄の出来高計を用いています。
厳密には、日経平均株価の終値と当日のVWAPは異なりますが、VWAP計算の起点日から当日までの長期に渡っては、その差は吸収されると考えられます。

さて、このVWAPにはちょっと面白い性質があります。それは、直近株価が直近VWAPよりも下にある場合はVWAPは下落を続け、上にある場合は上昇を続ける、というものです。
例えば、株価が大幅に下落した後、出来高を伴いながら急激に値を戻している最中であっても、株価がVWAPよりも下にある限りはVWAPは下降し続けます。

これは数学的にも簡単に証明できます。今、時間tにおけるVWAPをW(t)、株価をs(t)、約定数をv(t)とし、tまでの累計約定数をV(t)とすると、以下の式が成り立ちます。

 W(t+1)-W(t)={s(t+1)-W(t)}*v(t+1)/V(t+1)

これが何を物語っているかというと、s(t+1)-W(t)がマイナス、すなわち新たな株価が直近VWAPよりも低い場合は、新たなVWAPもまた直近VWAPより低いことを意味しています。
逆に、新たな株価が直近VWAPよりも高い場合は、新たなVWAPは直近VWAPより高くなります。

でも、こんなことが分かったとして、いったい何の役に立つのでしょう?

使い方は人それぞれですが、例えばVWAP付近にストップの合理的根拠がある場合、株価下落局面においてVWAPの下方で売り建てて、VWAPの少し上にストップ基準を設ければ、ストップ基準が意味を失うことはありません。
株価がVWAPに達する前にストップに引っ掛かることは、あり得ないわけです。

問題は、VWAP付近にストップの合理的根拠があるかどうかですが、これはまた別の話になります。
ただ、私の感触では、VWAP近傍には引力が作用し、やや離れると斥力が作用し、更に離れると再び引力が作用するように感じます。

それらの力の大きさの一部はVWAPの変化率に依存し、特に変化率が大きいほど斥力が大きくなると共に、斥力の作用する範囲が広がります。
もちろん、これに関しては証明されていませんし、それは困難でしょう。

以上をあえて数式で表すならば、株価とVWAPの差、すなわち両者の距離を考えた場合、株価に働く力は、距離の2乗の3次関数で近似できるように見えます。
ただし、それを意味のあるものにするには、関数の係数を決定する必要がありますし、それはほとんど不可能なのかもしれません。

そういえば、以前、株価に働く力を表す指標として、パワーインデックス(PI)なるものを考えたことがありましたが、これもまた、係数の決定に関わっているように思えます。
それ以外にも、移動平均やその変化率など、様々なファクターが考えられることでしょう。

そんなことを言ってみても、結局はかなりの部分を「直感」で判断しないといけないのかもしれません。
ただ、株価に働く「力」のイメージを持つことは、けして無駄なことではないと思います。

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