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ボラティリティを追うべきか追わざるべきか [システムトレード]

今回の大震災による株価暴落局面を見ますと、ドテンシステムでは明暗が大きく分かれました。当たり前の話ですが、その時に買いポジションを採っていた場合は大幅な損失となり、売りポジションを採っていた場合は大幅な利益となっています。

しかし、バランス良く組まれたシステムポートフォリオを組んでいれば、どのようなシステムを運用していたかにもよりますが、恐らくは行って来い、すなわちほぼトントンで切り抜けたのではないかと思います。

一般的に、順張りシステムと逆張りシステムとでは、逆方向のポジションを採ることが多いのですが、それらを組み合わせたシステムであれば、今回の局面においては、概ねキャッシュポジションでいたのではないかと考えます。

これは、欲張った考え方をすれば、収益機会を逃したということになりますが、真っ当な考え方をすれば、リスクを最小限に抑えることができた、ということになるでしょう。
特に、大幅下落の後の急反発や再反落などに全て乗ることは不可能であり、結局はボラティリティの分だけ収益が毀損されることになります。

これは、よほどの勝率でないと収益に結びつかないことを意味します。例えば5%の変動が5回あり、その内3回を取ったとしても、4.5%の収益にしかなりません。
逆に、2回しか取れなかったとすると、5.5%の損失になってしまいます。

5回ばかりではたったそれだけの違いでしかありませんが、勝率をそのまま(60%)維持したとしても、回数が増えていくと、その差はどんどん広がって行きます。
更に、大きなレバレッジを掛けて、実効的な変動が5%よりも大きくなっている場合は、その差はもっと開いてくるでしょう。

もちろん、勝率が5割を大きく超えていれば収益がプラスになるにはなるのですが、勝率が5割を割り込むと、損失は一気に膨らんでいくことになります。
ちなみに、一回当たりの損益率が5%の時の損益分岐点は勝率51.25%、15%の時は53.76%になります。これを大きいと見るか小さいと見るかは、各人の投資スタイルによるでしょう。

私が監視しているいくつかの正逆合成システムでは、一部を除いてほとんどのシステムが、この1週間をキャッシュポジションで通過しました。
収益にならなかった代わりに、余計なリスクを背負わずに済んでいます。

もっとも、私が今回の暴落局面でシステム運用を躊躇した理由は、それ以外にあります。私は機械ではありません。そのため、売りポジションを採ったら、それで利益が出ること、すなわち株価の下落を望んでしまうでしょう。

売りポジションを採ること自体が悪いとは思いません。しかし、それによって株価の下落を期待してしまう、自分の心の弱さが露呈してしまうことが嫌なのです。
通常の下落局面であれば、そんなに気にすることもないのですが、今回は事情が違います。

これから被災地の復興、ひいては日本の復活を強く望む状況において、それに真っ向から反対する気持ちが生じることが怖いのです。
重ねて言いますが、私は機械ではありません。全く相場を見ることがない状況であれば、売りも考えられるのですが、今の私の環境ではそれは不可能なのです。

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