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長期投資におけるシステムを用いたヘッジ [投資・経済全般]

システムトレードと言いますと、非常に投機的な手法であるように思われるかもしれませんが、例えば長期投資におけるヘッジに用いることも可能です。
すなわち、株式を保有し続けたまま、株価の下落局面で同株を信用売りすることで、株価下落による損失をヘッジするというものです。

ただ単に株価下落時のヘッジだけを行なえば良い、というのであれば、株価下落局面において持ち株と同数を売り建てます。
この場合、買い運用システムにおいて買い手仕舞い時に売り建て、買い建て時に返済買いすれば、システムを利用したヘッジということになります。

ヘッジの効果を見るためには、システムの資産推移と株価推移とを比較します。資産推移が株価推移を上回れば、ヘッジの効果がある、ということです。
なお、これは保有株数が一定であると見なせるため、システム上は単株運用になります。

もっと積極的に、株価の下落局面においてヘッジのみでなく利益も狙うのであれば、株価下落局面において、持ち株の2倍の数を売り建てます。
この場合、ドテン運用システムを用い、売りドテン時に売り建て、買いドテン時に返済買いします。

実は、このような運用が可能なシステムは、買いシステムやドテンシステムだけではなく、例えばキャッシュポジション付きドテンシステムでも可能なのですが、それについては皆さんでお考えください。

以上の話はもちろん、その銘柄を対象とした、機能するシステムの存在が大前提となりますが、それについては別の話となります。
ここでは、そのようなシステムが存在する、という前提で話を進めます。

さて、このような運用を可能にするために注意すべきことの一つは、空売り規制です。現在、50単位以上の空売りは規制されていますので、保有株数が多い場合は、規制を受ける可能性があります。

もう一つの問題は、どの程度の保証金を用意しておけば良いのか、ということです。いくらヘッジだからと言って、保証金代用証券だけで良いはずはありません。
ある程度以上の現金を、保証金として入金しておく必要があります。

そこで、信用取引における保証金について、今一度考えてみたいと思います。
次式は、一般的な保証金維持率の計算式です。マネックス証券のホームページから、引用させていただきました。

保証金維持率(%)=(保証金現金+保証金代用証券[現金換算]合計-建玉評価損
       -未払費用(諸経費)-建玉決済損-立替金)×100/未決済建玉代金合計

ここで、保証金維持率は30%以上、保証金代用証券の掛目は80%とし、簡単のため、未払費用や決済損、立替金は無視します。
他に保有銘柄や建玉はないものとして、保証金維持率を書き直すと、次式のようになります。

保証金維持率=(保証金現金+0.8×保有株時価×株数-建玉評価損)/(建値×株数)

なお、%換算のための100倍は省略しました。また、建値に掛かる株数は、買い運用システムの場合のもので、ドテン運用システムの場合は株数を2倍する必要があります。
上式を保証金現金について解くことで、凡そどの程度の保証金現金が必要になるかが分かります。

保証金現金=保証金維持率×建値×株数-0.8×保有株時価×株数+建玉評価損
       :買いシステム
保証金現金=2×保証金維持率×建値×株数-0.8×保有株時価×株数+建玉評価損
       :ドテンシステム

ここで、

建玉評価損=(保有株時価-建値)×株数 :買いシステム
建玉評価損=2×(保有株時価-建値)×株数 :ドテンシステム

ただし、時価<建値の場合は0とし、最低保証金維持率を30%とすると、必要保証金現金は次式で表されます。

保証金現金>(0.2×保有株時価-0.7×建値)×株数 :買いシステム
保証金現金>(1.2×保有株時価-1.4×建値)×株数 :ドテンシステム

例えば、買いシステムによるヘッジを行なう場合、建値が1,000円、保有株時価が1,200円、株数が100株、とすると、保証金現金はなくても良いということになりますが、決済損を考慮すると少なくとも建玉評価損分(20,000円)の現金が必要になります。
また、時価が建値のa倍であるとした場合、上式はそれぞれ次のようになります。

保証金現金>(0.2×a-0.7)×建値×株数 :買いシステム
保証金現金>(1.2×a-1.4)×建値×株数 :ドテンシステム

ヘッジによる最大ドローダウンが50%であると想定した場合、aとして1.5を用いれば良いことになります。
その場合、想定される必要保証金は、次式から簡単に求めることができます。

保証金現金(>0.5×建値×株数)>-0.4×建値×株数 :買いシステム
保証金現金(>1.0×建値×株数)>0.4×建値×株数 :ドテンシステム

ちょっとおかしな結果ですが、実際にはいずれの場合も、少なくとも建玉評価損分の現金が必要になります。
なお、以上はあくまで概算ですので、実際に必要保証金現金額を計算する場合は、大元の式から求めるようにしてください。


PS1.Amazonマーケットプレイスの件ですが、本日Amazonからメールで連絡があり、出品者が返金することで問題は決着しました。
購入した商品については、勝手に処分して欲しいとのことでした。

実は、先週Amazonのサポートに連絡した後、商品交換の可能性がなくなったため、同様商品(もちろん製品は異なります)をAmazonで注文し、購入しました。
価格は5割ほど高かったのですが、さすがにきちんと動作しています。最初からAmazonで直購入すれば良かったと、ちょっと後悔しています。

さて、今回の件で一番得をしたのは一体誰でしょう?

私は、当初期待したものと同等の機能を得るために、商品価格の5割に相当する余計な出費を強いられました。また、その機能を実際に利用するまでに、かなりの時間が掛かってしまいました。
それ以上に、イライラや怒りなど、負のエネルギーを消費してしまいました(個人的にはこれが一番の損失です)。

出品者は、(たとえそれが不良品であっても)結果的にタダで商品を出荷したことになるわけですから、少なくともその仕入れ代金分と発送料が損失となります(当然逸失利益も生じます)。
それ以上に、Amazonから注意を受けたことで、今後の商売に対するリスクが多少なりとも増加したことでしょう。

結局のところ、今回の件で一番得をしたのは、Amazonだったことになります。当初は購入される予定ではなかった商品が売れたわけですから。
また、マーケットプレイスの運営に関する情報の蓄積も、大きなメリットの一つなのではないかと思います。


PS2.先日、IE9のRC版が一般公開されたので、早速インストールしてみました。従来のβ版と比べると、見た目はさほど変わりませんが、サイト表示の互換性や安定性が向上したように感じます。
IE9βを導入したものの、しょっちゅうフリーズして困っている方(私もそうでした)は、RC版に更新することで解決するかもしれません。


2011年2月15日0時30分 追記

計算ミスがあったため、計算式を訂正いたしました。でも、やっぱりまだちょっと変な感じがします。後ほど、もう一度考え直してみたいと思います。

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