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ヘッジ売り時の保証金維持率 [投資・経済全般]

昨日のコラムの結論が、今一つしっくりこなかったので、ヘッジ売り時の保証金維持率について、もう少し考えてみました。
昨日の結果についてまず言えることは、建て玉を維持するために必要な現金と、決済時に必要な現金とを混同して考えていたために、おかしな結論になってしまったということです。

すなわち、最後の式で言うと、買いシステムを用いたヘッジ後の株価が5割上昇した(評価損が5割に達した)としても、決済(返済買い)を行なわない限り追い証が発生することはない、ということになります。

一方、その時点で決済を行なう場合は、建玉評価損に相当する現金(建玉代金の5割)を入金しておく必要があります。
なお、ドテンシステムを用いた積極的ヘッジの場合は、その時点で決済を行なうために、少なくとも建玉代金と同額の入金が必要です。

ちなみに、ドテンシステムを用いた積極的ヘッジの場合、株価の5割の上昇に対して建玉を維持するために、建玉代金の4割の入金が必要になります。
ただし、それよりも前の段階で保証金現金がないと、建玉を維持することができません。

では、その境界はどのように見積ったらいいのでしょう?

そのためには、昨日のコラムにおけるaを用いた数式において、保証金現金を0とし、不等号を等号に置き換えることで、求めることができます。
すなわち、そのように変形した数式を、aについて解くわけです。

すると、aの値は次のようになります。

 a=3.50  :買いシステム
 a=1.17  :ドテンシステム

この結果から、入金なしでヘッジ売りを維持するためには、買いシステムの場合で株価が建値の3.5倍、ドテンシステムの場合で株価が建値の17%上昇まで、ということが分かります。
積極的ドテンの場合は、保証金現金なしだと、わずか17%の株価上昇で追い証が発生する可能性がありますので、注意が必要です。

以上は、ヘッジ後の株価が運悪く上昇してしまった場合の話です。では逆に、首尾よく株価が下落した場合はどうでしょうか?
その場合は、一見、ヘッジの利益があるため、保証金維持率の心配をしなくても良いように思えてしまいますが、はたしてどうなんでしょう。

実は、株価が下落した場合でも、保証金維持率が低下して追い証が発生する可能性があります。何故ならば、一般的に保証金維持率の算出において、建玉評価益は0と見なされるからです。
したがって、それを踏まえた上で、計算式を見直さなければなりません。

昨日のコラムにおける保証金現金に関する最初の数式において、建玉評価損を0、保証金維持率を30%、代用証券掛目を80%として、同様にaに関する数式を求めると、次式のようになります。

 保証金現金=(0.3-0.8×a)×建値×株数  :買いシステム
 保証金現金=(0.6-0.8×a)×建値×株数  :ドテンシステム

この式において、保証金現金=0としてaを求めると、それぞれ次のようになります。

 a=0.38  :買いシステム
 a=0.75  :ドテンシステム

すなわち、買いシステムを用いた通常のヘッジにおいては株価が62%下落するまで、ドテンシステムを用いた積極的ヘッジにおいては25%下落するまで、保証金現金なしで建玉を維持できますが、株価がそれらを下回った場合は、たとえヘッジで利益が出ていたとしても、新たな入金が必要になります。

もちろん、途中で一旦決済すれば良いのかもしれませんが、あくまで長期投資に対するヘッジ運用ということを考えると、ある程度余裕を持った保証金現金を準備しておいた方が良いことは、言うまでもないでしょう。

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