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パラメータ時系列分析に夢中なワケ [システムトレード]

このところ、指標&最適パラメータ時系列分析に夢中になっていますが、何故これほどまでにこの分析手法を重要視しているかについては、あまり詳しく話していなかったかもしれません。
今回はその辺りの事情について、述べたいと思います。なお、これは今までのコラムの中で語ってきたことの繰り返しに過ぎないことを、お断りしておきます。

最初に、システムが機能するとはどういうことかを考えてみます。それは例えば、資産カーブが将来に渡って上向きでロバストであることかもしれません。
あるいは、期待値が将来に渡ってプラスであることかもしれません。

機能するシステムのイメージは人それぞれでしょうが、システムの現時点までの性能を分析すれば、そのシステムが少なくともこれまで機能していたかどうかは、カーブフィッティングかどうかは別として、判定可能だろうと考えます。

では、システムの将来の振る舞いについてはどうでしょう。これは残念ながら、現時点の性能だけでは判断できません。
現在まで機能しているシステムであっても、明日から突然損失が膨らむようになり、ついには機能しなくなってしまうかもしれません。

では、将来に渡って機能するシステムなどというものは、存在しないのでしょうか?
実はそうとばかりは言えません。それは、生存バイアスの存在にヒントがあります。

例えば、日本国民全員でじゃんけん大会をすることを考えましょう。数字は正確ではありませんが、全人口を仮に1億3421万7728人であるとします。
そして、彼らの誰もが死亡することなく、年に1回ずつただ一人の相手とじゃんけんをします。

それに勝てば、100万円の賞金を貰えると共に、翌年もじゃんけん大会に参加できます。負ければ何も貰えず、以降の大会には参加できません。
そうすると、27連勝する人が必ず一人だけ存在します。また、7連勝が100万人、17連勝が千人も存在します。

この大会のルールが分かっている人にとっては、何てことはない話ですが、もしもルールを理解していない人が、単純に連勝数に着目したら、きっと驚くことでしょう。
例えば、17連勝している人を知ったとしたら、何か必勝法があるのではないかと思ってしまうかもしれません。

ここで重要なのは、17連勝している人の内、その後10年に渡って勝ち続ける人が、必ず一人だけ存在するという事実です。
外馬制度があって、じゃんけん大会参加者の勝者に資金を賭けると、賭け金が2倍になるとすれば、ギャンブラーは誰がじゃんけんが強いかを真剣に考えるでしょう。

第7回大会から外馬制度が導入されるとして、最初に選んだ人を最後まで変えてはならないとしたら、その後20年に渡って資金を増やし続ける人が出てくるかもしれません。
しかし、翌年にはすぐに負けて資金を失ってしまう人も、多く出てくるかもしれません。

慎重な人は、最初の3回は分析に注力し、10回大会から参加するかもしれません。それまでに何人か候補者を選び、彼らの戦いを分析した上で、残った勝者の一人に賭ける訳です。
はたしてそれは、有利な戦略なのでしょうか?もうお分かりのように、この戦略に優位性はありません。いつから参加しても、1回当たりの期待値は変わりません。

何が言いたいのか、既にお気付きのことと思いますが、じゃんけん大会の参加者をトレーディングシステム、外馬をトレーダーとすれば、「エッジのない」システムの実情を、回りくどく例えているに過ぎないわけです。

エッジのないシステムであっても、運用開始後何10年にも渡って機能するシステムは存在するかもしれません。
しかし、そのようなシステムを見つけ出す方法は、残念ながら存在しません。

例えば、無限のパラメータの組み合わせを有するシステムであれば、その内のいくつかは長期に渡って機能するでしょう。
もしも、そのパラメータを見つけることが出来るならば、それは長期に渡って機能するシステムを見つけることと同義になります。

もちろん、エッジのないシステムの場合は、そのようなパラメータを見つける為には、偶然に頼るしかありません。
しかし、「エッジのある」システムであれば、そのようなパラメータを見出す方法が存在するかもしれません。

そのようなパラメータとは、どのような要件を満たしているのでしょう?

将来に渡って機能するシステムが、想定するパラメータ群に存在する場合、そのパラメータは不変でなければなりません。
また、現時点においてあるパラメータが機能している場合、少なくともそのパラメータが長期に渡って存続するだろうことを予見されなければなりません。

すなわち、そのパラメータを有するシステムの性能が一定程度以上であることに加え、そのパラメータそのものが長く最適でなければならないわけです。
そして、それを探る手段の一つが、最適パラメータの時系列分析ということになります。

システムの運用成績は、パラメータのちょっとの違いによって大きく異なってきます。最適パラメータが時期によって大きく異なるシステムは、安定したシステムとは言えません。
もちろん、時期によってダイナミックにパラメータを変更する戦略も考えられますが、そのためには、それを正当化する、より上位のシステムが必要です。

当然のことながら、その上位システムもまた、その機能性を問われることになります。それがファンダメンタルに裏打ちされた強固なシステムであれば良いのですが、そうでない場合は、結局、単なる問題の先送りになってしまいます。

個人的には、ダイナミックなパラメータ(システム)変更には慎重であるべきだと考えています。それよりは、むしろスタティックなパラメータの安定性を追及する方が先決です。
今までは、そのための現実的な道具がほとんどない状態でしたが、ようやくそれを手に入れることができました。

最適パラメータの時系列分析はまだ始まったばかりで、今後どのような結論が得られるかは分かりません。
全く有意性が見いだせないかもしれませんし、素晴らしい発見があるかもしれません。いずれにしましても、今後の検討を急ぎたいと思います。

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