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キは機能死のキ [システムトレード]

先日のコラムで、システムの機能死について述べましたが、もちろん資産残高が管理限界を割り込んでも、全てのシステムが機能死に陥るわけではありません。
今回は、一旦機能死に陥ったかに見えても、そこから回復した事例をご紹介いたします。

次図は、千代田インテグレの移動平均追加システムの資産カーブです。このシステムは、2009年後半から2010年前半にかけて、管理限界を大きく割り込み、一旦は機能死したかに見えました。
しかし、その後も仮想運用を継続したところ、今年後半に入って、資産残高は急激に回復してきました。
10120801.png
この様子を詳しく示したのが、次の図になります。2010年初頭から、資産残高が急激に上昇していることが分かります。
なお、このチャートは複利運用時のものですので、上の資産カーブとは推移が異なっています。
10120802.png
上図を見ると、システムそのものに特に大きな問題があるようには見えません。ただ、2009年を中心に1年以上のフラット期間が存在したために、管理限界から外れてしまったわけです。
先日の三菱UFJの事例では、資産残高の急落が機能死の直接的な原因でしたが、今回の事例ではそれに当てはまらなかったことが明暗を分けています。

では、このシステムはこのまま運用を再開するべきなのでしょうか?
資産カーブを見る限り、資産残高は辛うじて管理限界の下限に張り付いており、いつ再び機能死に陥ってもおかしくない状況です。

逆に言えば、このシステムの下方リスクは限定的であり、だからこそ運用に値すると考えることもできます。
しかし、その一方で長期に渡ってシステム運用を行なえない可能性が高い、という見方もできます。

そもそも、株価変動が大きいこの銘柄を、単株基準で管理することに、問題があるのかもしれません。そこで、単利基準での管理を考えてみます。
次図は、単利基準の資産カーブです。直近における資産残高の増加が大きくなり、ほぼ管理限界の中央付近に位置していることが分かります。
10120803.png
これならば、比較的長く運用できそうですが、その一方、システムが再び機能死に陥った場合には、そこに至るまでに大きな損失を被る可能性が高くなります。
結局のところ、最終的にはマネーマネジメント上の判断、と言うことになるでしょう。

ちなみに、システムがなぜ機能死するのか、あるいは、なぜ機能死から復活するのか、については、テクニカルから原因を探ることは困難だと思います。
その背景については、ファンダメンタル的な考察に頼るしかありません。

テクニカルでできることは、機能死をいち早く発見することと、その後の復活の機会を監視することくらいです。
ファンダメンタルとは異なり、機能死を事前に回避することはできませんが、機能死によるその後の損失を、最小限に留めることは可能だと考えます。


PS.今朝買建てた日産ですが、明日の寄付きで早くも手仕舞いとなります。まあ、明後日のMSQを控えて、余計なリスクを取らずに済むのは、歓迎すべきことかもしれません。

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コメント 2

Y102

ファはファンダメンタルのファ!
まぁそういう結論になりますね。この点に関してはファクターモデルの方が優位かも知れません。「なぜ(ファクター)か」に注目しているわけですから^^;

PS Kフローさんのようにいろんな記事ネタが思いつくようになりたいです。自分はもう書くことが無くなってきました(T_T)
by Y102 (2010-12-08 20:33) 

Kフロー

原理的には、ファクターモデルの方が優位であろうことには、異論はありません。

記事ネタに関しては、随分前から枯渇状態です(T_T)
ただ、以前の記事のテーマから、少しずつ範囲をずらして考えていくと、時として新しいアイデアに結びつくことがあります。

時事ものであればネタには困らないと思うのですが、それではこのブログの趣旨から外れてしまうので、よほどのことがない限り、採り上げないようにしています。

もっとも、その内容を調べて精査することが非常に大変だというのも、時事ネタをあまり書かない理由の一つです。
それ以上に、下手なことを書いて「炎上」するのが怖いのかもしれません。余計なリスクは負いたくないものです(^_^;)

by Kフロー (2010-12-09 08:42) 

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