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テクニカル指標と過剰最適化 [システムトレード]

テクニカル分析を用いたシステムトレードにおいて、複数の指標を組み合わせることは、割と一般的に行なわれているようです。
そうやってトレード機会を厳選することにより、性能向上を目指すのでしょうが、逆にそれは過剰最適化と背中合わせになる、という危険性を孕んでいます。

では、指標の組み合わせの数を増やした場合、どの程度までは性能が向上し、どれ以上は過剰最適化になってしまうのでしょうか?
今回は、そのことについて考えてみたいと思います。

なお、異論はあるでしょうが、ここではテクニカル分析ベースのシステムそのものの信頼性については、問わないものとします。
あくまで、組み合わせるテクニカル指標の数に応じて、システムがどのように振る舞うかを考えます。

ところで、複数のテクニカル指標を組み合わせるとは、どういうことでしょうか?
それは例えば、次のような事例で考えることができます。

今、異なる3つの指標、A、B、Cがあるものとします。そして、これら3つの指標を組み合わせることで、売買シグナルを発するシステムを考えます。
例えば、3つの指標全てが買い条件を満たせば「買い」、売り条件を満たせば「売り」といった具合です。

このシステムを分解すると、当然のことながら、それぞれ指標A、指標B、指標Cを用いた3つの独立したシステムA~Cが得られます。
そして、これらを合成したシステムを、システムXと呼ぶことにします。

システムXが最大限機能するためには、少なくとも、システムA、システムB、システムCが機能すると共に、それらの間の相関が大きくないことが求められます。
例えば、システムA~Cの期待値がいずれも正で、各システム間の相関係数が十分に小さければ、それらを合成したシステムXの性能は、比較的高くなると思われます。

それは、ポートフォリオ理論からも正しいように見えます。
もちろん、システムA~Cはそれなりに機能し、それらがいずれも機能停止する事態は、ここでは考えないことにします。

ここで、今一度、最初のシステムの振る舞いについて考えてみます。そのシステムは、元々、システムA~Cの全てが買いポジションになったら買いポジションを採り、全てが売りポジションになったら売りポジションを採ります。
それ以外の場合は、ポジションを採りません。

一方、システムA~Cを合成した場合はどうでしょう?これらを均等に合成したとすると、売買ポジションは、買い、売り、キャッシュの3値ではなく、それに1/3買い、2/3買い、1/3売り、2/3売りを加えた計7値となります。

すなわち、合成システムXはいわゆるうねり取りシステムであり、単純なドテンシステムではないのです。
これは逆に言えば、3つ以上のテクニカル指標を組み合わせた(ドテン)システムは、それぞれの元指標のみを用いたシステムには分解できない、ということです。

したがって、この場合はポートフォリオ理論を適用できず、その結果、リスクの低減効果については、何も言えないことになります。
組み合わせる指標の数が増えるほど、そのシステムと本来の合成システムとの乖離は大きくなっていきます。

分解システムの全てが機能していると仮定した場合でさえ、大きな乖離が生じるのですから、分解システムの内のいくつかが機能していなかったり、そもそも、それらの性能評価が十分ではない場合、それらの指標を組み合わせたシステムが良く機能するかどうかは、大きな疑問です。

結局のところ、複数の指標を組み合わせたシステムを構築する場合、システムを分解してそれぞれのシステム性能を最適化すると共に、それらを再合成後、用いる指標を2つに限定するか、うねり取りシステムとして運用するか、いずれかの方法を採る必要があると考えます。


PS.日産順張り正逆合成システムに、新規買いシグナルが点灯しました。明日の寄付きで、買い建てとなります。
今回も好調を持続することができるのでしょうか?相変わらず、不安材料満載です。

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