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日出ずる国 [雑感]

長期化するデフレによって疲弊し、近隣国家からも見下されているかのような日本ですが、まだまだ捨てたものではないと思います。
日本には高度成長期から蓄積された工業や化学・科学技術がありますし、何よりもそれらを支え発展させてきた日本民族の遺伝子があります。

当然、それは人類学的な優劣を言っているのではありません。日本は海に守られた島国であるが故に、太古から少数民族による独立性を維持してきました。
幾度かの内乱や戦争こそありましたが、基本的には平和な時代が多かった民族だと思います。

そのような環境の中で培われてきた民族性は、戦後の日本を復興させるに当たっての重要な要素となったであろうことを信じます。
それが、バブル崩壊後のわずか20年で完全に失われてしまうなどということは、むしろ非常に考え難いことです。

もちろん、このまま何の対策も打たずに手をこまねいて見ているだけなら、将来の日本社会に対しては、かなり悲観的な見方をせざるを得ません。
しかし、まだ十分に間に合います。今からでも遅くありません。

ただそのためには、国家が主導してその方向に導いていかなければなりません。ところが、残念ながら今の政権には、そのような危機意識が悲しいほどに欠如しているように感じます。
それを象徴する出来事が、昨年の事業仕訳で蓮舫議員が言い放った、「一番でなければ駄目なのか?」の一言です。

スパコン性能が世界1位である必要性はともかくとして、それを開発する過程においては、数々の世界初、世界1位の要素技術が必要になります。
スパコンそのものが特許などで守られることはありませんが、それを構成する個々の要素技術は、特許や著作物などとして保護することができます。

そして、世界1位のスパコンから得られる演算結果そのものは、必ずしも世界一の成果をもたらすものではないかもしれませんが、特許や著作物として守られる個々の要素技術は、大きな経済効果をもたらす可能性があると共に、そこからの更なる発展やそれを為し得る人材の育成が見込まれます。

昨年の事業仕訳における蓮舫議員の発言は、あくまでスパコン開発そのものに向けられた言葉だと思いますが、科学者や一般国民の多くは、科学技術研究開発そのものに対する与党・政府の考え方として捉えたように感じられます。

私が今後の日本にとって重要だと思うキーワードは、「科学技術立国」、「超循環社会」、そして「文化発信」です。

科学技術立国については、言うまでもありません。
中国やロシアに足元を見られるのは、彼らが「日本から得るものは既にない」と、「大きな勘違い」をしているからです。

先端技術の製造装置やその基幹部品における日本のシェアは、非常に大きなものがあります。もしもそれらが滞ったとしたら、世界経済に与える影響は計り知れないものとなるでしょう。
そして、それらを達成している要因の多くは、単なる技術の優劣ではなく、それを考え抜いてやり遂げる日本人の民族性に負うところが大きいのではないかと考えます。

そこには、中国(やロシア)が表面だけを真似てもけして到達できない領域があります。中国がいくらスパイもどきの行動を取ろうが、日本人技術者や日本企業を買収しようが、表面だけを真似ている限りは、けして一流にはなれません。

ロシアの場合は、エネルギー大国としての驕りがあるのでしょうが、日本が超循環社会を実現すれば、もはやロシア(や中国)の顔色をうかがう必要はなくなります。
超循環社会とは、穿った言い方をすれば「鎖国社会」でもあります。すなわち、資源に限らず食料や工業製品なども、いざとなれば遮断しても生き残れる社会です。

もちろん、鎖国を目指す訳ではありません。しかし、他国に依存しなくても困らないという状況を示すことで、国際社会における日本の位置付けは確実に上昇するでしょうし、大きな影響力を持つことができるでしょう。

ただ、それだけではアメリカに代表される列強国が辿ってきた道のりと、そう大きな違いはありません。敗戦国である日本が国際社会の中で存在感を示すためには、単なる経済大国としてだけではなく、敬意を持って迎えられることが重要です。

そのためには、世界に誇れる日本独自の文化を維持発展させると共に、それらの文化の担い手として恥じることのない言動を心掛ける必要があるでしょう。
科学技術と文化の両輪があってこそ、「日出ずる国」日本の再生につながるのではないかと思います。

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