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システムトレード考(2) [システムトレード]

「客観的なデータとルール」という要請からも分かるように、広義のシステムトレードは、必ずしも過去検証を必要としません。
あるデータを用いて、それに対するルールを策定すれば、それ以降の売買は客観的に行なうことができるからです。

その時点では、システムの期待値が正か負か分かりませんが、ルールを策定した際の理論的背景と、しばらくの期間の運用実績があれば、その後もシステムを運用していくべきかどうかの最低限の判断は可能だと思われます。

しかし、システムの将来しか分からないと、そのシステムにどれだけの資金を投じればよいのか、などといったマネーマネジメントに支障を来たします。
システムの期待値が正であろうことは、高い確率で分かっているとしても、そのバラツキの度合い、裏を返せばどの程度の損失を考慮すべきか、といった判断は困難です。

その判断を多少なりとも裏付けを持って行なえるようにするためには、過去検証(バックテスト)を行なう必要があります。
そして、それを可能とするためには、過去から現在に渡って入手可能な客観的データと、そのデータが存在するどの時間軸においてもただ一つの結果を返す、客観的ルールが要求されます。

ここで注意しなければいけないのは、バックテストを行なうに当たって、裁量判断が入る余地を残してはならない、ということです。
例えば、パラメータの最適化に当たっては、パラメータを客観的・一意的に決定する必要があります。

もしも最適パラメータを裁量で決定したとすると、「どの時間軸においてもただ一つの結果を示す客観的なルール」という要件を満たせなくなります。
そのため、パラメータの決定機構は完全にシステム化する必要があります。

例えば、2つのパラメータによる最適化を考える場合、一般には平面に近いなだらかなパラメータ分布の方が良いとされるようですが、そこには大きな落とし穴があります。
それは、最適パラメータを一意的に決め難い、ということです。そこに裁量判断を用いると、客観的なシステム設計ができません。

パラメータ分布がなだらかなのだから、将来成績のバラツキも小さいはずであり問題ない、と考えるかもしれませんが、それを保証するいかなる理由も存在しません。
特に、複利運用を考える場合は、時間の経過とともに、信じられないくらいの性能差が生じてくるかもしれません。

一方、最適パラメータの選択に一意性を求めた場合、決定された最適パラメータが、必ずしも最適な値ではないという可能性があります。しかし、仮にそうであったとしても、同一条件下では常に同じ値であることが重要なのです。
そうでなければ、それ以降のいかなる検証も、客観性を担保できないことは明らかです。

そのようなシステムであって初めて、過去の結果が将来まで引き継がれるかという、極めて重要な命題を、客観的に議論できるようになるのです。
そして、それこそが、トレーディングシステムに求められる、最も重要な機能の一つなのではないでしょうか。

以上は、システムが将来に渡って機能するかどうかを検証するための、前提条件に過ぎません。実際には、バックテストが良好だったからといって将来が保証されるわけではありませんし、更には、フォワードテストを行なった結果を持ってして、将来を決定論的に論じられるわけではありません。

それでも、客観的な前提条件を設定した上で、様々な角度から検証を行なうことによって、多少なりとも不確実性を減らすことがができるわけであり、そういった地道な一歩一歩の積み重ねが、システムトレードにとって重要なのではないかと考えます。

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