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最適化の本質(3) [システムトレード]

ここまでの話の大前提として、システムのパラメータは全期間に渡って同一であることを要請してきました。
そして、有限の未来においても機能するパラメータこそが、全期間で共通に適用されるべきパラメータである、と言うわけです。

ここで、誰しもが大きな疑問を抱くのではないかと思います。それは、パラメータは固定すべきか、ということです。
確かに、未来においても機能するパラメータを用いることができれば、そのシステムは長期に渡って機能することでしょう。

しかし、その期間が長くなれば長くなるほど、システムの平均性能は低下するでしょうし、それよりも、ある程度以上の長さの期間においては、機能するパラメータそのものが、枯渇してしまうかもしれません。

すると、そのような長期に渡って固定されたパラメータを用いるよりも、パラメータの算定期間は短くとも、その期間内においてはより高性能が期待できるパラメータを、その都度用いていった方が良いようにも思えます。

これを、動的アプローチ(ダイナミックアプローチ)と呼ぶことにします。恐らく、他に適した呼び方が存在するのでしょうが、とりあえずこのブログではそのように定義します。
それに対して、今まで述べてきたような固定されたパラメータを用いる方法を、静的アプローチ(スタティックアプローチ)と呼ぶことにします。

動的アプローチによって得られる、その時々のパラメータは、多くの場合、長期に渡って機能するものではありません。
その目的が、短期の状況に対応するためのものであることから、パラメータの算出期間は、静的パラメータの場合よりも遥かに短いものとなります。

動的アプローチの理論的(と呼ぶほどのものでもありませんが)背景は、システム運用時の資産カーブに、ある種の慣性のようなものが働くのではないかと期待することです。
すなわち、ある時点におけるシステムの検証期間は短くとも、運用開始直後から資産カーブが急落することはないだろう、ということです。

せめて2~3日でも資産カーブが上向きになってくれれば、あるいはその確率が、単なる株価の示す挙動よりも高い確率で生じれば、動的アプローチは意味のあるものかもしれません。
しかし、よく考えてみれば分かるように、このアプローチは非常に難しい側面を有しています。

デイトレシステムのような極短期のシステムであれば、2~3日後の優位性だけでも大きなメリットがあるかもしれませんが、スイングなどの場合は、一般に、運用後数日~数週間程度は、株価の動きと資産の推移とがリンクするはずです。

すなわち、毎日パラメータを更新し続けても、株価の方向性以上の資産カーブの上昇圧力は、得られないだろうと考えられます。
もしも、そのアプローチが機能しているように見えるのであるならば、それはその期間のパラメータがほとんど変わらない場合だろうと思われます。

ただし、逆張りシステムのような、超短期のパラメータ周期を有するシステムであれば、機能する可能性はあるかもしれません。
しかし、それとて、静的アプローチに対して大きな優位性が期待できるかと問われれば、首を傾げるしかありません。

実際に、いくつかの動的アプローチのシステムを作成し、確認してみましたが、残念ながら、そのベースとなった静的アプローチのシステムの性能を、上回ることはできませんでした。
もちろん、1回当たりの検証期間をどれくらいにするかなど、不確定要素は多々ありますので、この結果だけでははっきりしたことは何も言えません。

なお、ここで挙げた事例では、検証期間を一定期間とし、最適化対象を性能重視で選定した場合を示しています。
他の方法としては、検証期間の起点日を固定することなどが考えられます。すなわち、未来に近付くほど、検証期間が増えていくことになります。

その場合は、パラメータの安定性は前者の場合よりも高まるでしょうが、それと機能する期間の伸びを期待することとは別問題です。
ちなみに、この方法の場合、パラメータが変化する頻度は少なくなりますので、毎日更新する必要はなく、定期的、あるいは何らかの異常時に、最適化を行なえば事足ります。

これは、比較的多くの(テクニカルベースの)システムトレーダーの方が採っている手法なのではないかと思います。
私も一時は検討したこともありましたが、結果的には断念しています。

最後に、もう一つの手法をご紹介したいと思います。それは、複合アプローチとでも呼ぶもので、静的アプローチと動的アプローチとを合成した方法です。
すなわち、動的アプローチにおいて、最適化対象をKFインデックスなどといった、パラメータが変化しにくい指標にする手法です。

特に、動的アプローチの起点日固定方式に適用することで、静的アプローチの機能停止をリセットし、機能低下したシステムを継続運用できる可能性が生じます。
しかし、そのようにした場合、通常は、継続運用後のシステムの管理限界が甘くなるものと考えられます。

基本的には、静的アプローチでの運用を心掛け、それが機能停止した段階で、別のシステムとして再検証することが、良いのではないかと考えます。
ただし、自己相関システムに拘らなければ、動的アプローチは非常に魅力的な手法かもしれません。


PS.新潟明訓高校は、報徳学園に、惜しくも1対2で敗れました。今日はいろいろと用事が入ってバタバタしていたため、ほとんど観戦することができませんでしたが、8回裏に1点差に迫るなど、良い試合だったと思います。

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