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最適化の本質(2) [システムトレード]

実は昨日の話は、あくまで、システムが十分に長期に渡って、ロバストな資産カーブを維持できるパラメータが存在する場合について、有効な議論です。
また、その場合、想定される全期間において最適化されたシステムの平均的な性能は、それよりも短い期間において最適化されたシステムの性能よりも、見劣りすることになります。

当然、両者の最適パラメータは異なるわけですが、短い期間で有効な最適パラメータは、通常、全期間に渡る場合では有効でなくなります。
何故なら、もしもそのパラメータが常に有効であるならば、一般的には、全期間における最適パラメータも、そのパラメータになって然るべきだからです。

しかし、多くの方が実感するように、実際にはそれよりも平均性能が低いシステムが得られる場合が多い訳ですから、両者の最適パラメータが一致することは稀だと考えられます。
ちなみに、上記における性能とは、資産残高やPF、EERやRSQなど、資産の増減を直接的に反映する指標に関するものです。

すると、通常の方法では、最適パラメータの逆進性を担保することは、不可能なのではないかと思えてしまいます。
実は、この問題点については、最適化対象指標の採り方によって、結果が大きく異なることが分かっています。その一例が、予てよりご紹介しているKFインデックスの採用です。

KFインデックスは、いくつかの性能指標を組み合わせた複合指標です。その特長としましては、資産カーブの多少のぶれに対して、最適パラメータが変化しにくい、ということが挙げられます。
その分、他の指標に対して最適化を行った場合よりも、平均性能はやや低くなる、という弱点はありますが、最適パラメータの逆進性を担保しやすくなっています。

すなわち、一定期間後の未来において、KFインデックスに対して得られた最適パラメータは、それよりも過去においても同様に得られやすい、ということになります。
時間軸をずらして言い換えますと、現在において得られた最適パラメータは、一定期間後の未来においても変わらない可能性が高い、ということになるわけです。

話が非常にややこしくなりましたので、ここで一度、これまでの内容を整理したいと思います。

①有限の未来において機能するパラメータが、少なくとも一つ(一組)存在する。
②そのパラメータは当然、それよりも過去においても通用する。
③そのパラメータを採用すれば、機能するシステムの実現可能性が高まる。
④帰納的に考えれば、そのパラメータを選択する方法は、現在から過去に遡る場合にも使える。
⑤現在から過去に遡って、ほとんど不変のパラメータが得られるならば、そのシステムは未来に
 渡っても機能する可能性が高い。

これらを達成するためには、最適パラメータを客観的な方法で決定することが必須となります。それなくして、これまでの話を実現することはできず、結局は絵に描いた餅に過ぎなくなってしまいます。

最適パラメータを客観的に決定するために最も手っ取り早いのは、一連の過程をプログラム化することです。例えば、VBAで自動化しても良いでしょう。
そのようにして、途中で人の手(裁量)が入らないようにすると共に、過去のデータしか参照できないようにすれば、必然的に、客観的な最適パラメータの決定しかできなくなります。

そうしたら、現在を起点に過去に遡りながら、何箇所かで最適パラメータを求めてみます。ある程度の過去においても最適パラメータに変化がなければ、少なくともそのシステムは、今後も機能するための資格を得たことになります。

もちろん、これは少なくとも現時点において、そのシステムを運用しても良いという資格が得られただけであり、今後もそのシステムが機能し続けるという保証を得たわけではない、ということに注意する必要があります。

しかし、過去の時点毎に最適パラメータが異なっているとしたら、そのシステムは、現時点において過剰最適化に陥っている可能性が高いと言わざるを得ません。
すなわち、そのようなシステムを運用するのは危険であり、止むを得ず運用するにしても、運用停止基準を厳しくする等の対応が必要となります。

次回は、これまでの話とは異なるアプローチの方法について、考えたいと思います。

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