SSブログ

リスク率とリバランス [投資・経済全般]

3月3日、およびそれに関連するコラムにおいて、リスク率(初期リスク率)を初期運用資産/初期総資産で定義しました。
しかし、その後の検討を重ねるに従って、どうもこの定義ではしっくり来ないように思えてきました。

そこで、少し定義の見直しを行ないたいと思います。従来のリスク率を初期運用比率と呼び変えると共に、レバレッジ×初期運用比率を初期リスク率と定義いたします。
一般的には異なった呼び方(定義)があるのかもしれませんが、当ブログのローカルルールということでご容赦ください。

なお、過去に遡っての訂正はいたしませんので、新しい定義が適用されるのは以降の記事、および今後のコラムということでご理解ください。
また、特に断りがない限り、初期リスク率を単にリスク率と呼ぶことにいたします。

昨日のコラムで、リスク率が一定の場合、レバレッジをオプティマルf相当(最適レバレッジ)に設定すれば、実効損益率の最大化が図れることを述べました。
ただし、そのためにはいくつかの注意点があることにも触れています。

さて、株式トレードでレバレッジを掛ける場合、通常は3倍強のレバレッジまでしか掛けることができません。
しかし、リスク率を一定にしたトレードにおいては、その限りではありません。

例えば、最適レバレッジが5倍のシステムをリスク率3%で運用する場合、最も効率の良い運用を行なうためには、初期運用比率を0.6%にすれば良いわけです。
すなわち、システム上は想定元本を全資産の0.6%に設定し、それに5倍のレバレッジを掛けて運用するわけです。

その際、実運用に必要な資金は、初期段階においてはリスク率である3%に過ぎません。これは、レバレッジがいくつであっても成り立ちます。
すなわち、100万円の総資産があった場合、実際に運用に用いるのは、レバレッジがいくつであろうと、3万円に過ぎないわけです。

これはもちろん、証券会社の信用枠を使うまでもありません。自己資金の範囲内で運用することができます。
問題となるのは、システム運用開始後、累計損益が増加してきて、初期総資産では運用しきれない額に達してきた場合です。

先日の例で言えば、リスク率3%、レバレッジ3倍の運用で、15年後の実効損益率が43%になるわけですが、この時の総資産は143%、運用資産は44%になります。
レバレッジ3倍ですから、その後も運用を続けるとすると、実運用資金は44%の3倍である132%に達してしまいます。これは総資産の約9割にもなります。

このような状況では、もはや初期リスク率3%は意味を成さず、実際のリスク率は90%にも達するわけです。高レバレッジの場合、ドローダウンも大きくなるのが常ですから、仮に最大ドローダウンが80%だとすると、143%の90%の80%、すなわち103%あまりの損失を被る可能性があります。

143%の内100%を失うと、残りは40%しかありません。すなわち、初期総資産の6割が失われてしまう可能性があるわけです。
当初のリスク率3%の実に20倍ものリスクを、背負うことになってしまいます。

さすがに、これは問題です。そこで、この問題を回避するために、リバランスが必要になってきます。これは、一定期間あるいは一定資産残高毎に、リスク率を再設定することです。
もちろん、リバランスに至るまでには、リスク率の悪化を許容する必要があります。そうでないと、複利効果が得られないことになります。

そこで、許容できる最大リスク率をあらかじめ決めておき、リスク率がその値に達したらリバランスを行なう、としたら、どうでしょう。
リバランスの度に複利効果がリセットされるため、運用効率は落ちますが、リスクを定量的に管理できるメリットがあります。

現時点では、最大リスク率をどれくらいに設定したら良いのか、あるいはもっと根源的な課題として、リバランスを設定した場合、実効損益率が最大となる条件に変化はないのか、など、検討すべき点は多々あります。

ただ、この問題は、マネーマネジメントの本質に迫るものであると考えており、非常に重要な課題であると強く感じています。
今後、何らかの結果が得られましたら、ご報告したいと思います。

nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 1

Kフロー

一歩前進さん、こんにちは。
いつもありがとうございます。

by Kフロー (2010-03-18 08:42) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。