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マネーマネジメントの本質(メモ書き④) [システムトレード]

先日のコラムで、レバレッジとリスク率の積が一定の時、実効損益率はリスク率に対して単調減少(レバレッジに対して単調増加)するのではないかと述べました。
ただし、これはあくまで平均損益率を用いた理想的な状況下での話です。

実際のトレードでは、トレード毎に損益率は異なりますし、しかもプラスの場合ばかりではなくマイナスの場合も存在します。
すなわち、そもそも冒頭の仮定そのものが成り立たないわけです。

では、実際のトレードにおいてはどうなるのでしょうか?あるいは、それを確認する方法はあるのでしょうか?
これを最初から考えると途方もない話になってしまいますが、幸いにも私の手元にはKFシステムクリエイターがあります。これを使って、レバレッジとリスク率の関係を調べてみます。

今回は基本的な検討ということで、トヨタ自動車順張りシステムを用いてみました。マネーマネジメントによる実効損益率の違いを調べることが目的ですから、元となるシステムは基本的な条件下で最適化されたものとします。

システムは1993年11月1日から2007年12月28日の期間で最適化され、それを2010年3月8日まで運用しています。
最適化はKFインデックスに対して行ない、その際のレバレッジは1.0としています。

ドテン運用時のPFは1.77、勝率は46.69%、損益レシオは2.03、平均損益率は0.86%、平均利益率は4.21%、平均損失率は-2.08%、年率リターンは11.98%、時価累積最大ドローダウンは-41.02%となっています。

さて、実効損益率を求めるためには、実際の運用資金(想定元本)とレバレッジ、そして運用後元利計が分かればよいことになります。
そして、総資産を仮定してリスク率を求め、そのリスク率とレバレッジの積が一定になるように条件を設定し、運用後元利計から想定元本を引いた値を総資産で割れば、実効損益率が求まります。

なお、運用後元利計は運用開始日以降の元本と損益の累計ですから、運用開始日を十分過去に遡らせてやる必要があります。
今回は、運用開始日を1995年1月4日に設定しました。

総資産を100万円と仮定し、時価評価、取引単位未考慮、複利運用の条件で、リスク率とレバレッジの積が一定となるように、レバレッジと想定元本を変えて実効損益率を求めました。
なお、リスク率×レバレッジの値と実効損益率との間には比例関係があることが分かっています。そこで、ここではリスク率×レバレッジが3%の場合について、以下に結果を示します。

レバレッジ0.1倍(リスク率30%)⇒7.9%
レバレッジ0.2倍(リスク率15%)⇒8.7%
レバレッジ0.5倍(リスク率6%)⇒11.6%
レバレッジ1.0倍(リスク率3%)⇒18.0%
レバレッジ2.0倍(リスク率1.5%)⇒33.9%
レバレッジ2.5倍(リスク率1.2%)⇒40.2%

実効損益率は、先日の単純な仮定に基いた場合と同様、レバレッジに対して単調増加(リスク率に対して単調減少)となっています。
なお、ここでは株式の信用取引を想定していますので、最大レバレッジを2.5倍としています。

すなわち、少なくともこのシステムの場合には、全資産の30%に0.1倍のレバレッジを掛けて運用するより、全資産の1.2%に2.5倍のレバレッジを掛けて運用した方が、資産は約5倍のペースで増加することが分かります。

もっとも、今回の計算では本質的ではないにせよ総資本をたったの100万円と仮定しました。そのため、実際にはその3%の運用というのは、少なくともトヨタ自動車では不可能です。
ただし、計算の前提として取引単位を未考慮としていますので、その影響は結果には現れません(取引単位を考慮する設定にすれば、結果に影響が現れます)。

もしも実際にこの通りに運用しようとしたら、総資産としては1億円程度は欲しいところです。それで初期運用費用は300万円となり、現行100株単位のトヨタであれば、何とか複利運用が可能になるでしょう。

このように考えると、なぜ金持ちには次々にお金が集まって行くのかが分かります。彼らは総資産に対して損失を限定しつつ、リターンを最大化することができるわけです。
少なくとも株取引を行なう限りにおいては、資金量はそれほどに大きな意味を持つことが分かるかと思います。

なお、レバレッジを際限なく増加させればそれだけ実効損益率が大きくなるかというと、必ずしもそうではありません。
実効損益率が最大になるレバレッジは、いわゆるオプティマルfに相当する値になると考えられます。

また、今回は曲がりなりにも機能するシステムでの検討結果でしたが、機能しないシステムでは今回の結論は成り立たないかもしれません。
それは、レバレッジの上限(最適レバレッジ)が大きく低下するからです。

今回の話はちょっと分かり難かったかもしれません。KFシステムクリエイターのユーザーの方は、ご自身で実際に確認してみてください。

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コメント 1

Kフロー

一歩前進さん、こんにちは。
いつもありがとうございます。

by Kフロー (2010-03-10 08:46) 

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