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資金効率の定義(1) [投資・経済全般]

以前はどちらかと言えば、常に売買ポジションを持っているべきだと考えていました。その方が常にお金を働かせることができるため、資金効率が高いと考えていたのです。
しかし、最近になってようやく、その考えは大きな間違いであることが分かりました。

買いでも売りでも満遍なくほぼ確実に勝てるシステムであれば、出来るだけ多くの期間を株式で運用した方が、確かに資金効率は高くなるでしょう。
しかし、現実には勝率100%はあり得ませんし、100歩譲って勝率90%のシステムがあったとしても、損益レシオが1を大きく下回るようなら、資金効率はさほど高くなりません。

そもそも、何気なく感覚的に使っている「資金効率」という言葉ですが、これがシステムの性能を表す指標である限り、明確かつ定量的に定義してやる必要があります。
しかし、「資金効率」という言葉は、定性的な記述にはよく用いられますが、その具体的な定義はよく分かりません。

資金効率と似た言葉に「投資効率」がありますが、こちらはきちんとした定義があるようです。それは次式で表されます。

 投資効率=(投資した場合に得られる総利益-投資しなかった場合に得られる総利益)
      /(投資総額+運転資金増加)

これは定義からも明らかなように、必ずしも株式投資や金融商品等に対する投資のみを言っているわけではありません。
そこで、これを株式投資で再定義してみます。

まず、投資しなかった場合に得られる総利益ですが、これはキャッシュポジションを持つことと同義ですので、金利は無視して"0"としても差し支えないでしょう。
すると、分子は投資した場合に得られる総利益、すなわち総損益(損益累計)ということになります。

続いて分母についてですが、投資総額と運転資金増加は、株式投資において明確に分離することはできません。
例えば単利運用を考えた時は、運転資金は常に一定ですからその増加量は常に"0"です。すなわち、分母は投資総額のみとなります。

また、複利運用を考えた時は、運転資金は総損益に比例して増減しますが、投資総額もまた総損益に比例して増減します。
すなわち、分母に共通の比例定数が掛かるわけですから、結局、運転資金を一定(運転資金増加が"0")と見なしても良いことになります。

以上から、株式投資における投資効率は次式で表されることになります。

 投資効率=総損益/投資総額

ここで、投資総額について考えます。投資総額とは、その投資に累計してどれだけの資金をつぎ込んだか、ということを意味します。
簡単のために、単利運用の場合を考えます。

投資効率を算出する期間中に行なった売買の回数をnとし、1回当りの平均損益を「平均損益」、1回当りの投資資金を「運用資金」とすると、投資効率は次式で書き換えられます。

 投資効率=n×平均損益/(n×運用資金)
     =平均損益/運用資金

何のことはない、これは単に平均損益率を表しているに過ぎません。でも、これでは本来定義したい「資金効率」とは、大分意味合いが違ってしまいます。
ここまで考えてきて、ちょっと困ったことになりました。このコラムを書き始めた時点では、「投資効率=資金効率」という結果を目論んでいたのですが、完全に当てが外れました。

「資金効率」とは、そもそも、一連のトレードにおいて、いかに効率的に利益を積み上げていくかという指標です。
それは、平均損益率とはかなり異なった意味合いを持っているはずです。

実は、「資金効率」の定義は既にKFシステムクリエイターにおいて用いています。これまでにも何度かご紹介いたしましたが、それは次式で表されます。

 資金効率=総損益/(総利益+総損失)
     =(総利益-総損失)/(総利益+総損失)  (ただし総損失は正の値)

明日のコラムで、この式の意味について考えたいと思います。

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