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今こそ米百俵の精神で [雑感]

仕事がない時こそ、人を育てるチャンスです。以前はそのように考える企業が少なからずあったように思います。
しかし、最近はすぐに人員整理や一時休業を打ち出す企業があまりに多いように感じます。

会社にいて、自分の専門分野以外のことを学ぶ機会はそう多くはありません。技術の人間は現場を知らないとだめだ、とはよく言われる言葉ですが、実際問題として、せいぜい理屈として分かるようになる程度ではないでしょうか。

製造のノウハウを身に着けるまでどっぷりと生産に係わるような経験は、実際に製造部門に異動にならない限りは難しいように思えます。
しかし、数ヶ月の期間でもそのような環境に身を置くことができたなら、得るものは大きいものと思います。

頭で理解する事と、体で理解することとは、決定的に異なります。これは、システムトレードを通じても感じることがあります。
システムトレードにおいては、このようなルールで売買すれば儲かるはずだ、という期待を、バックテストという実証実験で否定することが多々あります。

あるいは、バックテストもしくはフォワードテストでは機能していたにも拘らず、実際に運用を開始してみると、なかなか利益が上がらないということだってあるでしょう。
実際に運用を行ってみて初めて、システム設計のどこに問題があったのかを掴むことも少なくありません。

設計の人間が製造のことを学べば、より生産しやすい製品を設計することができるかもしれません。あるいは、経理や購買のことを学べば、より深いコスト意識が身につくでしょう。
そのような経験を得ることは、自ら奮起しない限り、平時においてはなかなか難しいことと思います。

ある中小企業では、多能工化を推し進めてこの大不況を乗り越えようとしています。多能工とは言っても、単に複数の工程を受け持つというレベルの話ではありません。
経理をやっている人間が、空き時間に現場に入るというような、部門の枠組みを越えた多能工です。

これらは、不況が去った後も大きな財産として残ることでしょう。とにかく、仕事がないから何もしない、などというのは、あまりにももったいないことです。
そのような時こそ、人を育てることに注力すべきだと考えます。

しかし、現実には、多くの企業は人を育てるということを放棄してきました。人員を経費として扱い、資産として育てることを拒否してきました。
そのことが、企業体質の弱体化につながるであろうことは、冷静に考えれば明らかであるにも拘らず、その麻薬の投薬を中止することを拒んできました。

最近になって、ようやく一部の企業が、派遣社員や期間従業員の正社員化に乗り出してきましたが、まだ全体的にはごく一部の動きに過ぎません。
もはや経済がのっぴきならない状況になっているのは明らかなのですから、派遣切りなどの対症療法を施しても一時凌ぎにしかならないでしょう。

抜本的には、企業の競争力を高めるしかありません。人件費の削減だけが競争力ではないのです。それでは、中国などに永遠に勝てません。
日本には、世界に誇れる技術力があるはずです。これまでにも、国際標準となる技術や製品を数多く世に出してきたではないですか。

今こそ、原点に立ち戻って、そのような路線に戻るべきです。そのために最も重要なのが人材であり、彼らを育てることなのだと信じます。
皮肉にも、小泉元総理が盛んに引用していた米百俵の精神こそ、これからの時代に必要なのだと考えます。

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