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システムが機能する条件(3) [システムトレード]

トレーディングシステムのパラメータ分布が意味するものとは何でしょうか。私は、時間軸を考慮しない分布そのものには、統計的な意味合いは存在しないと考えます。
パラメータ分布は、そのシステムの性能分布を表していることは事実ですが、その性能は何とでも定義できるものです。

例えば、システムに係わるある値が特定の値以上なら"1"、そうでないなら"0"となるような性能指標を作成し、そのパラメータ分布を求めると、"1"と"0"だけの分布が得られます。
その分布に統計的な意味を見出し、特定のパラメータを決定することなど、できるのでしょうか。

パラメータ分布は、そのシステムの極めて限られた一面を反映しているに過ぎません。どの指標に関するものかによって、パラメータ分布は如何様にでも変わります。
以前にも述べましたように、PFと勝率のパラメータ分布は異なりますし、それらのピークも異なることが普通です。

そのような中で、パラメータそのものは、システムに対して決定的な影響を与えます。システム性能を、最終的に資産カーブの形状で判断するとしたならば、例えば100×100の2次元パラメータがあったとして、10,000通りの資産カーブが存在することになります。

それらの資産カーブは、通常はほとんど同じものはありません。それらは、時間の経過と共に、上昇したり、下降したり、ある程度上昇した後下降したりと、様々です。
しかし、その10,000通りの資産カーブの中に、そのシステムで実現されたものが必ず存在します。

それらの中から、右肩上がりの資産カーブだけを選択してみます。はたして、どれくらい存在するでしょうか。
10,000通りよりは、大分少ないでしょうが、それでも結構な数が存在すると思われます。

それ以外の右肩上がりにならない資産カーブは、機能しないものです。すなわち、それらの資産カーブに対応するパラメータは、機能しないパラメータということになります。
また、辛うじて生き残った機能している資産カーブも、今後、機能し続けるかどうかは分かりません。

時間の経過と共に、機能する資産カーブは徐々に減少していきます。そして、最後に10,000通りの資産カーブ全てが、右肩上がりでなくなった時、そのシステムのロジックは終焉を迎えます。
それ以降は、パラメータをどのように変更しても、右肩上がりの資産カーブを得ることはできません。

それがいつ訪れるのかは、誰にも分かりません。私たちにできることは、できるだけ長く生き残りそうな資産カーブを見つけて、それに乗り続けることだけです。
そして、もしもその資産カーブが機能しなくなってきたら、右肩上がりの新たな資産カーブに乗り換えるのです。

もっとも、随分初期の段階で機能停止した資産カーブが、再び右肩上がりになる可能性もゼロではありません。
優れたロジックのシステムであれば、そのような循環型パラメータとでも言える構造が、存在するかもしれません。

さて、それでは右肩上がりの資産カーブを見つけ出すには、どうしたらいいのでしょうか。それは難しいことではありません。
資産カーブと関連する指標が、直近において最大となるようなパラメータを選択すれば、資産カーブは恐らく右肩上がりになります。

しかし、それだけでは、その後の資産カーブが右肩上がりを続けるかどうかは分かりません。数ある右肩上がりの資産カーブの中で、選択した資産カーブが生き残り続けるかどうかは、通常は運任せになってしまいます。

また、最も重要でかつ困難なことは、過去のどの時点においても、客観的な方法を用いて、直近において選択した資産カーブを選ぶことが可能かどうかということです。
もしもそれができないのであれば、そのシステムの行く末は、完全に運任せになってしまいます。それは、適当な株式を買って持ち続けることとなんら変わりありません。

すなわち、理想的なパラメータ分布とは、右肩上がりの資産カーブを的確に指し示してくれるものであり、その相対分布は過去に遡っても変わらないことが要求されます。
それは、昨日のコラムでも話しましたように、ブロードなものではなく、急峻なものである方が、パラメータを特定しやすくなります。

急峻なピークを持つパラメータ分布が、多くの時間に渡ってほとんど変化しないのであれば、その分布の元となった最適化対象指標には、統計的な意味があると考えられます。
そこに統計的な意味を見出せるならば、そのパラメータは将来に渡っても機能し続ける可能性が高いと言えます。

昨日のコラムで示しましたように、ある種の性能指標を最適化対象として、客観的に最適パラメータを決定し、フォワードテストを行なった結果、将来に渡って明らかに右肩上がりとなる資産カーブが得られています。

これは、ある意味、経済界の常識を覆すものだと考えます。現在、様々な銘柄やシステムで、同様のテストを繰り返していますが、いずれも過去のある時点以降において、資産カーブが右肩上がりになるパラメータを、完全に客観的な方法(エクセルのボタンを押すだけ)で決定できています。

通常の方法(適当に選んだ最適化対象指標)で最適化を行なうと、最適パラメータは時間軸によって頻繁に変化します。
また、ある時間軸では、それまでのパラメータから大きくシフトします。その結果、直近まで延長した資産カーブは、無残なものとなってしまいます。

一方、新しい最適化対象指標では、最適パラメータは極めて安定します。システムにもよりますが、数年間は全く変化しません。
そして数年毎に、ごく僅か変化します。パラメータの変化も含めた事例については、明日のコラムでご紹介したいと思います。

その指標に対して最適化を行いパラメータを決定したシステムは、非常に高い堅牢性を有することが期待できます。
もちろん、データの先読みや恣意的な操作は、一切ありません。完全に客観的な操作だけで、誰がやっても同じ結果を得ることができます。

とにかく正直なところ、今回の一連の結果には、私自身も驚いています。しかも、テストを行なえば行うほど、確信を強めています。
今回、私が新たに発見した指標は、まだ最終形ではないのかもしれませんが、近い内にユーザーの方々には開示したいと思いますので、今しばらくお待ちください。

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