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システムが機能する条件(2) [システムトレード]

客観的な決定方法を用いて、過去のある時期から現在まで、最適パラメータを全く同一にすることなど、できるのでしょうか。
あるいは、若干のずれがあったとしても、そのようにして決定された最適パラメータに基づいたシステムが、現在においても右肩上がりの資産カーブを描くことなど、あり得るのでしょうか。

もしも、そのようなことが可能であるならば、それは機能するシステムを手に入れた、あるいは、機能するシステムを作成する方法を手に入れたことになるでしょう。
それこそが、多くのシステムトレーダーが夢見ていたことに、他ならないのではないでしょうか。

これを実現するための従来のアプローチは、銘柄選定やロジック開発からのものでした。すなわち、エッジのある銘柄やロジックを選択し、トレーディングシステムを構築するというものでした。
その中では、パラメータの設定はあまり重要視されず、むしろ、パラメータに対する感度が鈍いシステムほど、堅牢性の高い優れたシステムであると考えられてきました。

今回、私が提案するアプローチは、従来のものとは全く異なります。それは、パラメータの最適化を重視したものであり、パラメータ分布が極めて急峻で、かつ、時間軸に対するブレが少ない、最適化対象指標を追求するというものです。

なぜ、パラメータ分布が急峻である必要があるのでしょうか?これは、従来のパラメータに対する考えとは全く正反対です。
その答えは、パラメータ分布のピークを特定する事こそが、最適パラメータを客観的に決定することにつながるからです。

なだらかなパラメータ分布は、最適化の対象とした性能指標が最大(あるいは最小)となる最適パラメータの特定が困難になります。
また、どんなに優れたシステムであっても、パラメータ分布は時間軸に対してばらつきます。そのような時に、なだらかなパラメータ分布ほど、ピークのずれが大きくなります。

しかし、急峻なパラメータ分布であっても、時間軸に対してピークのずれが起こるのではないか、という懸念はあります。

そのためには、時間軸に対するブレが少ない性能指標を、最適化対象に選定する必要があります。さらには、その性能指標がピークとなる時に、他の主要な指標も比較的良好な特性を示さなければなりません。

そんな便利な指標があったらお目にかかりたい、と思われる方も多いことでしょう。信じられないかもしれませんが、実は、そのような指標は存在します。
それはいくつかの指標を複合したものであり、リターンに関する統計的な指標と、リスクに関する統計的な指標とを組み合わせたものです。

文章で述べましても、にわかには信じられないでしょうから、以下に資産カーブの一例を示します。これは、トヨタの順張りシステムを、1993年11月1日から1999年1月4日までの約5年間で最適化し、その後、1999年1月5日から2008年8月29日までの資産の推移を示したものです。
システムトレード_資産カーブ_7203_931101_990104b.JPG
さすがに、途中で大きなドローダウンが発生していたりしていますが、平均的には右肩上がりの推移となっています。
また、それ以降1年置きに最適化を行い、資産カーブを確認していますが、いずれも概ね右肩上がりの推移となっています。

これは、このトヨタのシステムのみで機能するというわけではなく、それ以外のシステムでも機能します。次図は、ホンダの逆張りシステムについて、上記のトヨタと同様の条件で最適化を行なった結果です。
システムトレード_資産カーブ_7267_931101_990104b.JPG
2004年あたりで、機能判定ラインを割り込んでいますが、資産カーブはその後も緩やかに上昇しています。やはり、最適化時点から多くの時間が経過すると、徐々に効率は落ちてきますが、そのような時には再最適化することで、機能を回復できる場合があります。

今回は、最適化指標を適切に設定することにより、機能し続けるシステムを得ることができることを示しました。
次回は、そのように設定されたシステムがなぜ機能し続けるのかについて、考察したいと思います。

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