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システム寿命について考える(1) [システムトレード]

8月6日のコラムで、システム寿命の評価方法について考えました。その際は、主にKFシステムクリエイターにおける評価方法について述べましたが、一般的なシステム、あるいはトレードにおける寿命判断は、いったいどのように考えればいいのでしょう。
今回は、そのようなことについて考察したいと思います。

トレーディングシステムの運用を行なうにあたって、最大の関心事は、そのシステムを運用し続けることによって、利益を上げ続けることができるか、別の言い方をすれば、そのシステムは長期的に機能し続けるか、ということに尽きるかと思います。

ここで、誤解のないように申し述べておきますと、システムが機能し続けるということは、システムの出すシグナルに完全に従い続けて売買するときに、その結果得られる資産カーブが平均的に右肩上がりになり続ける、ということです。

当然のことながら、シグナルを無視したり、途中で勝手に運用を休んだりしてはいけません。運用を休むという行動がシステム化されていればいいのですが、裁量によって勝手に休んだり再開したら、それはシステムトレードとは言えないでしょう。

また、資産カーブを算出するに当たっては、金利や手数料は考慮するべきではないと考えます。これについては、異論も多くあるのではないかと思いますが、あくまで客観性を求めるならば、これらは含めるべきではありません。

なぜならば、これらの値は、システム運用者自身のトレード環境によって異なるからです。すなわち、全く同じシステムを運用する場合でも、運用資産がどれくらいあるか、どこの証券会社を通すか、現物取引か信用取引か、レバレッジはどれくらいか、などの条件によって、運用結果すなわち資産カーブは大きく異なってくるからです。

よく、最悪の場合を想定してシステムを構築するなどと言いますが、最悪の場合を考えればキリがありません。
これらの不確定要素は、システムの客観性を崩すことになります。

手数料の考慮などは、最終的にそのシステムを運用するかどうかを決定する場面で行なえば事足ります。
例えば、そのシステムのロバスト性が高く、高収益が期待できるものの、平均損益率が小さい場合は、手数料率が十分小さくなる条件(建玉数)でシステムを運用しなければなりません。

もしも、資金的な問題等で、手数料率を平均損益率よりも十分に小さくできないのであれば、そのシステムは運用すべきではないことになります。
逆に、平均損益率が大きいシステムの場合は、建玉数を気にする事なく運用を行うことができます。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、システム寿命を考えるに当たって、客観性の維持が大前提となります。
すなわち、誰が行なっても同じ結果が得られる評価方法でなければなりません。

しかし、通常取り上げられるシステムに関して、果たしてどこまで客観性が維持されているか、疑問に感じる場合が少なくありません。
データ取得期間やデータ取得時の誤差、ストップ高安などの際の処理等、シミュレーション上はどうにもならない問題もありますが、それ以外はできるだけ客観性を保つ必要があります。

例えば、システムのパラメータを決定する手順も、明確にルール化する必要があります。それを自動化すれば、誰が行なっても同じ最適パラメータが得られることになり、客観性が得られます。

例えば、同一銘柄の同一システムにおいて、テスト期間を変えた場合の最適パラメータの推移等を、客観的に評価することができるわけです。
後述しますが、これはシステム寿命を評価する上で、極めて重要な項目となります。

ここで、同一銘柄の同一システムという表現を用いましたが、これはシステム寿命を定義できるトレーディングシステムの一つと考えます。
中には、システム寿命の定義が困難なトレーディングシステムも存在します。

例えば、特定市場の全銘柄を対象にするシステムなどは、シグナルが出現した銘柄を全て売買可能であるならばともかく、資金的にその中の一部の銘柄しか売買できない、などという場合、当然のことながら客観性は失われます。

仮に100銘柄にシグナルが出たとして、実際に売買できるのがその内の10銘柄程度しかない場合、どうやってその10銘柄を選択するかという問題が生じます。
それを、あるリストの上位から10銘柄を選ぶとしても、その選択はやはり、資金量に依存してしまうでしょう。そもそも、10銘柄も選べない運用者だって存在するはずです。

すなわち、そのような形態のシステムは、どのようにしても、客観的な評価を行なうことは難しい、ということになります。
ましてや、システム寿命を評価するなどということは、その前提条件からして不可能です。

もちろん、そのようなシステムでも、過去の実績を積み重ねることはできますし、それらに基づいた将来予測を立てることもできるでしょう。
しかし、そこにはどうしても主観、すなわち裁量が入り込んでしまうことを、完全に防ぐことはできないのです。

一方、同一銘柄の同一システムという条件であれば、客観的なシステム評価が可能となります。もちろん、資金的にその銘柄を売買できないというトレーダーも存在するでしょうが、それはシステム評価以前の問題です。

誰が運用しても、全く同じタイミングで売買シグナルを出し続けるシステムこそ、客観性に富んだシステムである、ということが言えるかと思います。
そして、システム寿命を評価するためには、最低限、そのような要件を満たしている必要があるわけです。

次回は、システム寿命を評価するために必要なもう一つの要件である、システムの機能判定について考えたいと思います。

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