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ドローダウンあれこれ [システムトレード]

システムトレードに限らず、最近では裁量トレードにおいても、ドローダウンという言葉を耳にすることがあります。
ドローダウンとは、例えば資産残高がピークからどれくらい減少したかとか、場合によっては、株価がピークからどれくらい下落したかなどを表す言葉として用いられます。

一口にドローダウンと言っても、その定義は様々であり、全ての種類のドローダウンを網羅することは、現実的には難しいでしょう。
勢い、その計算は、代表的なもの、あるいは簡単なものに成ってしまうかもしれません。

「トレーディングシステム入門」(下記参照)によれば、ドローダウンには大きく次の3つの種類があります。

トレーディングシステム入門 ― 仕掛ける前が勝負の分かれ目  (ウィザードブックシリーズ)

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一つは、エンドトレード・ドローダウン(ETD)で、これは仕掛けてから手仕舞いするまでの間に、直近最大含み益からどれくらい資産が減少したかを示します。
指値などで売り抜けるような場合には、ETDは最終的にゼロでトレードを終えることもありますが、トレンドフォロー型のシステムの場合には、ETDが結構大きくなることがあります。

二つ目はクローズドトレード・ドローダウン(CTD)で、仕掛けから手仕舞いまでで資産がどれくらい減少したかを示します。
トレード中の動きは一切無視して、仕掛け時と手仕舞い時の資産残高のみに注目します。

三つ目はスタートトレード・ドローダウン(STD)で、トレード中において、仕掛け時点からどれだけのドローダウンが発生しているかを示します。
これは例えば、仕掛けからどれだけの評価損失が生じているかを表しています。

上記以外に、日中最大ドローダウンや、オープントレード・ドローダウン(OTD)、トータルエクィティ・ドローダウン(TED)といったものがあります。
日中最大ドローダウンに関しては明確な説明はありませんが、その名の通り、日中の最安値を示すものと思われます。OTDは、含み損の段階のドローダウンとあります。

また、TEDはトレーディング口座開設時と口座を閉じた時の資金額を使って算出されたものであるとされており、おそらくは、そのシステムの最大CTDを指すものと思われます。
その一方で、CTDとOTDを合計したものとの記述もあり、このあたりは、ちょっと解釈が難しく感じました。

そして、何よりも重要なのは、全ての指標をパーセンテージベースで示すことだと述べています。もちろん、ドローダウンもパーセンテージで示す必要があります。
そうしないと、例えば株価水準が異なる時点での2つのトレードを比較した時に、両者間で公正な比較ができないとしています。

同じ100円のドローダウンでも、株価が1,000円の時に仕掛けたのであれば10%のドローダウンですが、500円の時に仕掛けたのであれば20%のドローダウンになります。
その都度%表記に換算すればいいのかもしれませんが、それならば最初からパーセンテージベースで計算するべきだというのももっともなことです。

ただし、全てをパーセンテージ表記にすると、少々厄介なことが起こってしまいます。例えば、パーセンテージベースでは累積損益率をもって資産カーブとなりますが、これには複利効果が働くために、システムとしては一見過剰評価のように見えます。

一方、累計損益率を用いれば、資産カーブの指数関数的な上昇は避けられますが、これは株価を保有し続けた場合と整合しなくなります。
株価の推移は資産残高に合わせて運用額が変わる複利リターンと見なせますが、累計損益率の場合は最初に決めた運用額を変えない単利リターンとなります。

多くのトレーディングシステムでは、トレードによる損益を金額で表示していますが、この表現は単利リターンということになります。
これをそのままドローダウンに適用しようとすると、厄介な問題が生じます。

トレード毎の損益率を求めてそれらの推移を累計し、その推移からドローダウンを求めようとすると、負けトレードが連続した時の処理が難しくなります。
本来であれば、連続した負けトレード部分の損益率は累積する必要があるのですが、そのトレード中の評価損益の推移は累計しなければならなくなります。

ちょっと混乱してきましたが、今現在、KFシステムクリエイターのドローダウン計算部分の見直しを行なっています。
現在の仕様では、総損益累計に対してどれくらいのドローダウンとなっているかを求めていますが、これを直近建値に対するドローダウン表記に変えたいと思っています。

ただ、複利リターンと単利リターンとの関係など、いろいろと悩ましい問題もあり、なかなか先に進めません。また、ETDなども求めたいと考えています。
ドローダウンはドローダウンで、複利リターンを前提に求めるなどと割り切った方がいいのかもしれません。

システムの基本仕様に係わる問題なので、どうしたものかと頭を悩ませています。もちろん、現行システムに問題があるというような話ではなく、あくまでもシステムをより良くしようという試みの一環です。


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