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トレードにおける銘柄選択 [投資・経済全般]

株式トレードにおいて銘柄選択が重要なのと同様に、システムトレードにおいても銘柄選択は重要となります。
ただし、両者のニュアンスは若干異なったものになるかもしれません。今回は、この銘柄選択について考えてみたいと思います。

まず、ベンチマークについて考えます。ベンチマークとは、今まで何度か述べたことがありますが、一連のトレードにおける運用成績の基準となる指標のことです。
日本の株式を対象とした場合には、TOPIXや日経平均株価などの株価指数がベンチマークとなります。

いわゆるパッシブ運用型ファンドは、このベンチマークから大きなずれが生じないような運用を心掛けます。一方、ベンチマークに対してプラスとなる運用成績を上げ、さらに絶対収益を目指すのが、アクティブ運用型ファンドです(このあたりの表現はちょっと違っているかもしれません)。

そうなると、アクティブ運用型ファンドの方が優れているように思われますが、これはあくまで方針であり、実績はまた別の話となります。
当然、アクティブ運用の方がファンド運営に掛かる負担が大きく、その分、加入者も手数料等で割高な負担を求められます。

その分を超過収益で吸収できればいいのですが、長期に渡ってベンチマークを上回る成績を残すことは、極めて難しいと考えられています。
トータルで見ると、パッシブ運用に負けてしまう場合も少なくないようです。

効率的市場仮説を信奉する経済学者らからすれば、長期に渡って市場から超過収益を得続けることは不可能であり、当然、アクティブ運用はパッシブ運用に負けるものだと考えられているようです。
パッシブ運用は、言うなれば市場の全銘柄でポートフォリオを組んだようなもので、リスクが極限まで分散化されている点で優れているわけです。

ここではアクティブ運用とパッシブ運用との優劣を論じるつもりはありませんが、(テクニカルを用いた)システムトレードを行なうということは、当然、潜在的にはアクティブ運用を目指すということになります。

すると、トレーディングシステムとしては、少なくともベンチマークに勝つことが大きな課題となります。この場合のベンチマークとは、はたして何を指すのでしょうか。
その前に、通常の長期投資におけるベンチマークについて、考えてみます。この場合は、株価指数、例えば日経平均株価に対しての優劣が判定材料となります。

今、長期保有している株式があったとして、株式を購入した時点の株価を100%とした時に、現在の株価が何%になっているかを求め、同様に株式購入時点の日経平均株価を100%として、現在の日経平均株価が何%になっているかを求めて、両者を比較するわけです。

現在において、株式の評価額の増減率が日経平均株価の騰落率を上回っていれば、この銘柄(を選択したトレード)はベンチマークに勝っていると言えることになります。
もちろん、最近になってようやく上回ったのでは駄目で、理想的には株式を購入してからほとんどの期間において、ベンチマークを上回っている必要があります。

これは、完全に購入時点における銘柄の選択眼で決定します。その選択の基準となるのはテクニカルでもファンダメンタルズでも構いませんが、基本的には長期に渡る企業業績を予測する目がないと、ベンチマークを上回ることは難しいでしょう。

もちろん、日経平均株価はあくまで225銘柄の平均値ですから、それらの企業を比較検討して、平均よりも業績の伸び率が良さそうな銘柄に投資すれば、ベンチマークに勝てる可能性は高くなります。
しかし、長期に及ぶ業績の予測は極めて困難であり、半分以上は運任せになってしまうかもしれません。

何よりも、個人レベルでは、ベンチマークに勝ったとしても、そのベンチマークが大幅に下落してしまえば、保有銘柄そのものも下落する可能性が高いという問題があります。
そこで、途中で一旦手放したり、場合によっては売り転換する人も出てきます。

こうなると、それは完全にアクティブ運用ということになります。バブル崩壊後の日経平均株価の大幅な下落のように、長期投資だけでは如何ともし難い場合があります。
「バブル以前から保有していた銘柄は、元の水準に戻っただけだ」などと言うのは簡単ですが、年齢や経済的な問題などで、市場に参加できる機会は限られているのです。

さて、日本ではバブル崩壊という現象を通じて、長期投資からアクティブ運用に主軸を移す動きが増加したと考えられます。
アクティブ運用は、言ってみればシステムトレードのようなものです。

この場合のベンチマークは日経平均株価ということになるのでしょうが、下落し続けるベンチマークを相手に、勝った負けたなどと言う事に、どれほどの意味があるのでしょうか。
やはり、強いベンチマークを相手に勝負を挑みたくなるのが普通だと思います。

日経平均先物でシステムトレードを行なう場合は、ベンチマークとしては日経平均株価しか思い当たりませんが、個別銘柄となると話は違ってきます。
個別銘柄を対象としたトレーディングシステムの場合、特に買い建てのみのシステムを考えると、ベンチマークとしてはその銘柄の株価とすることが妥当だと考えます。

ある銘柄を対象としたシステムで運用を行なったところ、その運用成績が日経平均株価の騰落率を大きく上回っていたとしても、その銘柄を持ち続けていたならもっと大きな利益になっていた、などというのでは、ベンチマークに勝ったなどとは言えないのではないでしょうか。

ただし、売り建てを取り入れたシステムの場合はまた話が違ってきますし、対象銘柄の株価と株価指数との関係によっても異なってきます。
結局のところは、考えられるベンチマークの中で、対象銘柄に関係したもっとも高い成績のものを用いるということになるのでしょうか。

そうすると、銘柄選択を行なうには、長期投資などを前提とした場合は、市場平均よりも業績の伸びが良さそうな銘柄を、アクティブ運用を前提とした場合は、少なくとも考えられるベンチマークに勝てる可能性のある銘柄を選ぶべきということになります。

実のところ、私は個別銘柄を対象としたトレーディングシステム(派生システム)もまた、銘柄の一つだと考えています。
ようするに、その派生システムを長期保有するつもりで、システムのルールに従い売買し続けるのです。

ある銘柄を対象とした派生システムが複数ある場合は、それらはその銘柄から派生した別個の銘柄だと考えます。
その扱いは、通常の銘柄を保有することと変わりません。それと同様に、例えば派生システムAという銘柄を保有するのです。

個別銘柄を選択する場合は、少なくとも株価指数に勝てそうな銘柄を探します。もしも株価指数に勝てそうな銘柄が見つからなくても、諦めることはありません。
派生システムという無限の銘柄群の中から、自分の眼鏡に適った銘柄を選択すればいいのです。その銘柄の過去の株価推移は、資産カーブという形で見ることができるのです。


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