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大きなお年寄り [雑感]

むか~し昔、あるところに、それはそれは大きなお年寄りが住んでいました。
お年寄りはたいそう裕福でしたが、その生活は、周囲に暮らす多くの住人たちによって支えられていました。住人たちは、お年寄りを支える代わりに、お年寄りから様々な恩恵を受けていました。
両者は互いに切っても切れない関係にあったのです。

そんなある時、西に住む別の大きなお年寄りが、とある小さな祠を壊してしまいました。
するとどうでしょう。その祠に封印されていたモノノ怪が、西のお年寄りに襲い掛かったのです。
お年寄りはモノノ怪の攻撃を受けながらも、当初はその事実を隠していましたが、やがて隠し切れなくなると、周囲の住民ともども、モノノ怪の怒りが収まるまで冬眠することを決意しました。

攻撃の目標を失ったモノノ怪は、さらに西のお年寄りや、そのまたさらに西の最も大きいお年寄り、更には北のお年寄りや南の比較的若いお年寄り、そして東のお年寄りまで攻撃の範囲を広げました。
モノノ怪の攻撃は凄まじく、攻撃を受けたお年寄り達は全身のいたる所から、血を流し始めてしまいます。

お年寄りは、血が流れ始めたところに絆創膏を貼ったり、西のお年寄りのように冬眠したりして、モノノ怪の攻撃に対抗しました。
また、モノノ怪を再び封印しようと、必死にその方法を探し続けました。
こうして、お年寄りの中には、ようやく体力を回復しつつある者も現れはじめました。

その様子を見ていた最初のお年寄りは、自分のところにもモノノ怪が忍び寄ってきていることを知りました。もはや一刻の猶予もありません。
しかし、あまりにも大きくなりすぎたその体の動きは鈍く、思考能力は低下していました。かなり遅れて、他のお年寄りがとってきた対抗策を模倣するのがやっとでした。

ところが、他のお年寄りと違って、完全に冬眠することはできません。それならばと、大量の絆創膏を用意して、流れ出てくる血を片っ端から止めていこうと考えます。
でも、時すでに遅しです。体中から流れ出す血はとどまるところを知らず、どこかを塞いでもまた別のどこかからあふれ出してきます。

そもそも、絆創膏が用意されるまでに時間が掛かりすぎて、貼ろうとした時にはすでに手の施しようがなかったり、カサブタになったりした例も多くありました。
あるいは、出血していない全く関係のないところに大量の絆創膏が貼られたり、そもそも絆創膏を貼るという行為のために、非常に多くの体力を消耗してしまいました。

そうこうしている内に、モノノ怪の攻撃は一旦やわらぎました。未だに多くの絆創膏が行き渡らずに、血が流れ続けている場所があるにも拘らず、大きなお年寄りはホッと安堵の息を吐きました。
その陰で、モノノ怪が次の機会をうかがっていることを、お年寄りは知りつつも見て見ぬふりをしていました。もはや頭の中にあるのは、自分の今後の生活再建でしかなかったのです。

時は流れ、モノノ怪はその後も幾度かお年寄りたちを襲った末、ようやく祠に封印されました。
お年寄りたちは皆一様に喜びましたが、彼らの姿は弱弱しく、カサブタだらけのしわくちゃの姿になり果てていましたとさ。

いきがポーンとさけた。


・・・・・・・・・・

教師「コノオハナシヲキイテ、ドウオモイマシタカ?」
生徒「バンソウコウデチヲトメヨウトシタコトガ、コッケイデシタ。」
教師「ソウデスネ。ゲンダイナラ、ジンコウシンパイソウチデ、ケツリュウヲセイギョスルデショウ。」
生徒「ムカシハ、ソンナソウチハナカッタノカナ?」
教師「アルニハアッタケド、ツカイカタガヨクワカラナカッタミタイデスネ。」

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