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累積パフォーマンスの罠 [雑感]

下図は、あるシステムの累積パフォーマンス(累積損益率)を示したものです。システムAは17年ほどで、資産残高が140倍近くに増加しています。
一方、システムBは50倍弱にしか達していません(これでも凄いことですが)。
10112501.png
でも、AとBとを見比べると、何か形が似ていますね。Bの方が変化がなだらかに見えますが、特徴的なピークの位置が、ほとんど一致しています。
そう、すでにお分かりかと思いますが、実はAとBとは全く同じシステムなのです。

ただし、Bの場合は算出期間を直近2/3期間に短縮しています。それでも、11年ほどで資産が50倍近くに増えているのですから、かなり高効率なシステムであることが分かります。
このシステムの場合は、単株ベースの資産増加が、次図に示すようにかなりロバストであるが故に、このような結果になっています。
10112502.png
一方、単株ベースの資産カーブがロバストではないシステムの場合はどうでしょう?
例えば次のようなシステムの場合です。
10112503.png
これは、全期間の内最初の1/3の期間で、KFインデックスが最大になるように、最適化したシステムです。
それ以降、すなわち1999年11月1日以降は全く弄っていませんので、その後の性能は、お世辞にも素晴らしいとは言えません。

では、このシステムの累積パフォーマンスを、A(全期間)とB(直近2/3期間)に分けて見てみましょう。
次図に、その結果を示します。
10112504.png
AとBは、もはや全く別物ですね。でも、これは算出期間を変えただけの、全く同一のシステムなのです。
ピークで資産残高が30倍ほどに達するシステムも、期間の最初の1/3を隠すことによって、全く資産が増えないしょぼいシステムに見せ掛けることができます。

これは極端な例でしたが、情報提供者が自身の主張を際立たせるために、(意図的に)データを操作することは、割合よくあることです。
そのデータ自体に間違いはないものの、基準を変更するなどの操作によって、事実とは異なる印象を与えるわけです。

例えばワイドショーや情報バラエティなどにおいて、グラフの期間を極端に短くして、いかにも過去からその傾向が続いているかのように解説したり、縦軸の一部を極端に拡大して、あたかも大きく変化しているように見せたりすることは、もはや常套手段となっています。

それらが、注意喚起などの前向きな主張を裏付けるためであるならば、止むを得ない側面もありますが、自身の注目を集める(視聴率を稼ぐ)ために、あからさまに視聴者の興味を煽る、もっと露骨な言い方をすれば、視聴者を錯誤に陥らせるような演出は、いかがなものかと思います。

それがエスカレートして、受益者を潤わせるために視聴者を錯誤に陥らせたり、その結果、視聴者が大きな損害を被ったりした場合、それはもはや演出という範疇を超えてしまいます。
その一例が、「あるある」事件だったりしたわけですが、この危うい演出への依存体質は、未だ根強いように感じます。

もちろん、データそのものは事実なのですから、そこから明らかに間違った結論を主張しない限り、それらの行為を是正させることは困難でしょう。
結局のところ、それらを目にする私たち自身がよく注意し、錯誤に陥らないようにするしかないのかもしれません。

私もブログなどでいろいろなデータを示すことがありますが、その際はできるだけ誤解を招かないよう、客観性を保つことを心掛けています。
それでも、後からデータの間違いに気付くことも多々あり、それに関して今までに何度お詫びしたか知れません(先日も謝ったばかりです)。

意図的なデータ改変は問題外ですが、うっかり早とちりで間違ったデータを示してしまうことは仕方がありません。
その場合は、できるだけ速やかにその間違いを訂正するように、日頃から心掛けるようにしています。

ただし、あまりにも過去のデータや主張に関しては、遡って全て訂正することは事実上不可能ですので、何卒ご容赦ください。
それらはKフローの進化(退化?)の足跡として、捉えていただけたら幸いです。

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