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パラメータの意味するもの(1) [システムトレード]

トレーディングシステムにおいて、パラメータは極めて特別な意味を持ちます。それは、過剰最適化などといったことではなく、有効なロジックを探る上で重要です。
パラメータ依存を否定する立場からは、パラメータ分布は限りなくなだらかであるべきである、ということになりますが、はたしてそれは有効な戦略なのでしょうか?

以前にも述べましたが、どんなシステムであろうと、大なり小なり、パラメータ依存は存在します。そして、ロジックの設計思想によって、パラメータの感度が異なります。
パラメータ依存を避けられないならば、できるだけパラメータの感度を低くするべきだというのが、多くの真っ当なシステムトレーダーの意見かもしれません。

しかし、これはリスクとリターンの関係に似ていて、感度(リスク)を下げれば、往々にしてリターンも下がってしまいます。
私は、高いリターンを得るためには、少なくともそれなりのリスク(感度)を採るべきだと考えます。

今、最も簡単な例として、株価と移動平均との交差を売買判定基準としたシステムを考えます。代表的なパラメータとしては、移動平均の算出期間があげられます。
ここで「代表的」と言いましたのは、厳密に考えればそれ以外にもパラメータが存在するからです。

それは、移動平均の種類(単純、指数、加重など)であったり、基準となる株価(終値、始値など)であったりするわけです。
これらの選択には任意性があるわけですから、これは広義のパラメータということになります。

もっとも、通常は暗黙的に、終値の単純移動平均と当日終値との交差を、判定基準にするものと思います。
そこで、以下では移動平均の算出期間のみをパラメータとして考えます。

さて、パラメータを2日から順に大きくしていった時、そのシステムのリターンはどうなるでしょうか?
大抵の場合は、ある日数でピークを持つ分布となるでしょう。

ただ、そのピークの位置や急峻度(感度)は、対象銘柄やテスト期間によって異なってくるのが普通です。
それらが全ての銘柄や期間でほぼ等しく、なおかつ、急峻度が低いなどということは、現実的にはあり得ません。

しかし、そのような中で条件を絞り込み、できるだけ長期に渡って機能していそうなシステムを探し当てなければなりません。
条件の絞り込みとしては、例えば銘柄を絞り込むことなどが考えられます。

その場合、有効なシステムを探し当てるために、どのようなアプローチを採るべきでしょうか?

先にパラメータありきの場合、パラメータを固定して、できるだけ多くの銘柄に対してそのリターンを求め、いくつかの銘柄に絞り込んだ後、パラメータを微調整することになります。
しかし、仮に固定したパラメータでは全くリターンが得られない銘柄も、数多く存在します。

そのような銘柄が、パラメータを最適化することで非常に有効なシステムになる、という可能性を否定することはできません。
すなわち、先にパラメータを固定するというアプローチでは、重要な部分を見落としてしまう可能性があるわけです。

また、最終的に候補に残ったシステムが得られても、それがシステム運用に適するかどうかは全く別次元の話です。
中には出来高が全く伴わなかったり、倒産リスクが高い銘柄が紛れている可能性もあります。

そして何よりも、全く聞いたこともない、興味も沸かないような銘柄を売買するという、およそ株式投資とはかけ離れたような運用を行うことになるかもしれません。
システムは単なる集金マシンだと割り切ればいいのでしょうが、私のような古い人間は、たとえシステムトレードであっても、得体の知れない銘柄を売買したいとは思いません。

では、他に有効なアプローチはあるのでしょうか?

この続きは、明日のコラムで考えたいと思います。

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marbee

いつも拝見させていただいています。

自分は今年から本格的にシステムトレードでの運用を始めたシステムトレード初心者です。

パラメータはテキトウに2〜3種類試して、バックテストでそれなりの結果が出たら良しとしてしまっています。

「あまり細かくパラメータを詰めて行くとカーブフィッティングになってしまうのでは?」という思いもあり、「細かく詰めて行くのは時間も手間も必要で面倒(笑)」という思いもありそうしています。

しかし、仰る通り高いリターンと長期に渡って機能するシステムを求めるなら、細かくパラメータを変えて多くのパターンをバックテストするというのも必要なアプローチかも知れません。

頭が下がります。

私等、「まだまだシステムトレードの入り口に立っただけなのだなぁ」と実感させていただきました。

ありがとうございました。
by marbee (2010-05-04 10:50) 

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