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リスクとリターン [投資・経済全般]

小さいリスクで大きなリターンを得ることが極めて難しいことは、投資の世界では当たり前かもしれません。
しかし、実はバブルの頃には、ほぼゼロリスクで年利10数%という、今では信じられないようなリターンを得ることができました。

私が会社勤めをして間もない頃、給与天引きで社内預金を行うことができる制度があったのですが、その時の利率が年12~3%程度だったと記憶しています。
しかも財形貯蓄では、会社補助を入れて更に3~4%程度高かったように思います。

もちろん、そんな高利率の状態は長続きするはずもなく、バブルの崩壊と前後して金利は徐々に下げられ、最後には社内預金制度そのものがなくなりました。
それは財形貯蓄でも似たような状況だったのですが、こちらはさすがに会社補助こそなくなったものの、制度そのものは存続しました。

私が勤めていた会社に限らず、当時の市井の状況はどこも似たり寄ったりだったことと思います。
財形貯蓄は結局、会社を辞めるまで続けたのですが、残高の少ない最初の数年間に受け取った利子の総額を、その後の10年間ほどの利子の総額が上回ることはありませんでした。

今でこそ、預金金利だけでは資産形成が難しいことを、多くの人が認識していることと思いますが、当時を経験した人の中には、今でも預金が一番と考えている人が少なくないのかもしれません。
同時に、当時株式投資を行なって大きな利益を得た経験のある人は、長期投資こそが一番だと今でも思っているかもしれません。

しかし現在の日本社会においては、小さなリスクで大きなリターンを得ることは、一般庶民にはほとんど不可能となっています。
もしもそのような話を見ず知らずの第三者(あるいはよく知っている知人)から持ち掛けられたとしたら、十中八九、その話には裏があります。

では逆に、大きなリスクを取れば大きなリターンを得ることができるのでしょうか?

実はこれは正しくありません。もしも「小さいリスクで大きなリターンは得られない」という命題が真だとしたら、正しいのはその対偶である「大きなリターンを得るためには大きなリスクを取らねばならない」であり、けして裏命題である「大きなリスクを取れば大きなリターンを得ることができる」ではないのです。

でも、株式投資において少なくともバブル崩壊までは、小さなリスクで大きなリターンが得られたかのように見えるかもしれません。
それについては、どのように考えればいいのでしょう。

実は、今までに何度も述べてきたことがあるように、リスクは変動率と同義です。すなわち、資産もしくは株価の変動の度合いがリスクということになります。
しかし、変動率に置き換えた場合には、その大きさ(振幅)だけではなく、その周期も考慮する必要があります。

私たちは、リスクというとその大きさだけに目が行きがちですが、リスクが変動率である以上、その周期を無視することはできません。
そう考えると、バブル崩壊に至るまでの期間は、大きなうねりの上昇期間に過ぎなかったと考えることもできます。

まるで長周期地震のように、巨大な振幅と長大な周期を持った地震波が、超高層ビルを揺るがした結果が、バブルの発生とその崩壊だったのではないかと思えるわけです。
そう考えると、それまでの「低リスク高リターン」の状態は、巨大な地震波の1/2周期分の時期にたまたま居合わせたと捉えることができるのかもしれません。

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