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株価の周期をとらえる [システムトレード]

「投資の達人」2009年10月号において、面白い記事を見つけました。それは、かなり以前にもご紹介したことのある阿部智沙子氏の連載コラム『「Myトレードシステム」をつくろう!』なのですが、「三角関数を使って株価の波をとらえる」方法を紹介しています。

システムトレードを深く勉強されている方なら、「ロケット工学投資法」という手法をご存知だと思いますが、基本的にはそれに近い考え方だと思います。
ただし、その内容のレベルには、中学校と大学院ほどの開きがあります。

それだけに、一般の人が株価推移の周期をトレードに応用したいと考えた時に、とりあえずその感触を掴む程度でしたら、阿部氏の方法を試してみるといいかもしれません。
ロケット工学投資法は難しすぎてどう手を付けてよいのか分からない、という方でも、容易に実践できると思います。

さて、株価推移の周期をトレードに用いるというと、何か特別新しいことをするように思われるかもしれませんが、実は非常にありふれた手法です。
例えば、移動平均を用いたトレードなども、株価の周期性を利用したものと言えなくもありません。

移動平均を用いたトレーディングシステムでは、最適な移動平均期間が存在します。そのような期間を定めて売買シグナルを発生させることにより、最も良好な資産推移が得られるトレードを行なうことができるわけです。

これは、株価推移が何らかの周期性を有していると考えることができます。そして、その周期に合致したタイミングで売買を行なうことで、資産推移の最良化を実現できることになります。
言い換えれば、機能するシステムというものの一部は、対象銘柄に周期性があることと、その周期に合致したシグナルを発する機構を有する、ということが言えるかと思います。

時系列を分析するシステムは、本質的には周期性を分析するシステムであるとも言えます。そして、そのシステムの性能が最大になる時系列パラメータが、株価推移の代表的な周期を反映しているわけです。

ところが、その代表的な周期は、単一周波数であるとは限りません。例えば、順張りシステムで良く機能する銘柄が、逆張りシステムでも良く機能することはザラにあります。
あるいは、同じようなシステムであっても、ロジックを少し変えただけで、時系列パラメータの最適値が大きく異なることは珍しくありません。

単一時系列システムの最適パラメータは、株価推移の周期の一つの成分を抽出しているに過ぎません。全ての波形は、異なる周期と振幅を持つ正弦波あるいは余弦波の合成で表されるわけですが、単一時系列システムでは、その1成分しか利用しないわけです。

株価推移の全ての成分を求めることは現実的ではありませんが、代表的ないくつかの成分を求めることができれば、それらを合成することで元の推移に近い状態を作り上げることができます。
それらの個々の成分で最も効果的なトレードを行なうことができれば、それらの合成システムは、元の株価推移に対して理想的なトレードを行なうことができると考えられます。

そのための道具は、既にあります。最も簡単な例では、順張りシステムと逆張りシステムとを可変ポジションシステムで合成してやれば、2成分システムが出来上がります。
それで足りなければ、さらに異なった周期を持つシステムを加えていけば良いわけです。

ただし、これは株価推移の周期性が長期に渡って不変であることを前提としています。これらの周期が時間の経過と共に変わってくると、システムが徐々に機能しなくなってくると考えることができます。

すなわち、いかに普遍的な周期を捉えることができるかが、システムが機能し続けるための最大の課題であると言えそうです。
合成システムの場合には、また少し異なった側面もあるのですが、それについてはここでは割愛いたします。

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