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KFシステムクリエイター取扱説明書Ver4.00 [システムトレード]

KFシステムクリエイター取扱説明書の改訂版公開を、研究所サイトにて開始いたしました。今日のコラムは、その触りの部分をご紹介いたします。
かなりの長文となりますが、ご容赦ください。なお、研究所サイトでは、今後、内容を順次更新していく予定です。


1.はじめに

KFシステムクリエイターは2007年6月の発売以来、バージョンアップを繰り返してきましたが、追加機能の解説は当サイトのコラム・解説ページを中心に行ってきたため、当初の取扱説明書では記述されていない項目が大半を占めてきてしまいました。
従来はシステム改定のペースを優先して、そのような形態をとってきたのですが、情報が散在してしまったことから、新規ユーザーの方々には非常に分かりにくい状態となっていました。
そこで、取扱説明書を全面改訂し、Kフロー株式トレード研究所サイトに特設ページを設けて順次公開していくことにいたしました。

今回の改訂では、主に操作方法や機能面の解説に重点を置き、KFシステムクリエイターのユーザーでない方々にも概要を知っていただけるよう努めました。
その背景には、システムの高機能化に伴う複雑さの増大により、技術防衛の観点から従来はユーザー以外の方には公開できなかったような内容についても、公開しても差し支えないと判断できるようになったことが影響しています。
システムの操作方法や機能をほとんど公開したとしても、それと同等以上のシステムを一から作成することは、費用対効果の点において完全に割に合わないだろうと自負しているからです。

例えば、トレードセミナーへの参加やDVD教材の購入を行った場合、それ自体で数万円もの費用が掛かりながら、そこから先、実際にそれを実践できるシステムを作成するには、また別のハードルが立ち塞がります。
単純に費用対効果を考えるならば、これは極めて効率の悪い方法だと言わざるを得ません。いくらエクセル等に習熟していたとしても、仮に5万円程度の人件費で実用的なシステムを開発しようと考えたならば、現実には不可能に近いでしょう。

KFシステムクリエイターでは、あらかじめ基本的なロジックが組み込まれているため、直ちに実用的なシステムを作成し、それを評価し、更には実際の運用をマネジメントすることができますが、元々のロジックに満足できない場合は、エクセルの技術があれば容易にオリジナルのロジックを組み込むことが可能です。
もちろん、豊富な評価項目やシステム作成支援機能はそのまま使えますから、そのようなユーザーの方が行うべきことは、ロジックをワークシート関数で表現してKFシステムクリエイターの所定列に組み込むことと、必要があれば一部のチャート表示やマクロ等を若干手直しする程度です。

そのための具体的な方法については、今まで何度か解説してきましたし、本取扱説明書でも取り上げる予定です。
もちろん、エクセルシートやマクロには一切のプロテクトを掛けていませんので、内容をご自身で修正したり、新たな機能を追加したりすることも可能です。
また、一連のシステムやマクロには、一般の書籍などでは入手できないような様々なノウハウが含まれています。それらを一から調べ上げるには、数多くの書籍を読み漁ったり、様々な解説サイトを巡回しなければなりません。
そのための費用や時間もまた、通常はかなりの量になってしまいます。

例えば、新しい日付を追加したらそのデータが直ちにチャートに反映される方法をご存知でしょうか?通常であれば、データ範囲を再指定しなければなりません。
しかし、膨大なデータ量があるトレーディングシステムでいちいちそんなことをしていたら、大変です。もちろん、マクロで自動化する方法もありますが、チャートの数が多くなると、マクロを記述することさえも面倒です。
私が知る限り、それをワークシートのみで可能とする方法が解説されている書籍は1冊のみ、サイトは数サイトしかありません。多くの人は、そのような方法があることすら気付かずにいるのではないでしょうか。

この例に限らず、様々な統計関数を漸化式で表し演算処理を高速化する方法等、ほとんど表に出てくることがないような貴重でかつ有用な手法を随所に取り入れています。
KFシステムクリエイターは、エクセルの作業効率を高めたい方にとっても、貴重な情報源になるものと自負しています。
KFシステムクリエイターにどれくらいの価値を見出すかは、ご利用者次第なのです。


2.システムの概要

KFシステムクリエイターは、7つの基準システムと4つの追加システムとから構成されています。さらには、それらのシステムを効率的に運用するためにKFシステムコントローラがあり、基本的にはKFシステムコントローラから様々な処理を実行することができます。
KFシステムコントローラやそれを構成するマクロ群は、シート上に記載されたファイル名をダブルクリックするだけでそのファイルを起動することができ、軽快な操作性を実現しています。

また、KFシステムクリエイターおよびKFシステムコントローラは、エクセル97 SR-2以降に対応しており、ユーザーのソフトウェア資源を最大限に生かすことができます。
ただし、MacOS版のエクセルや、OpenOffice等のエクセル互換ソフトでの動作には対応していません。なお、OpenOfficeではシステムのワークシートを表示することは可能ですが、チャート表示やマクロの実行はできません。それを可能とするためには、かなり大掛かりな移植作業が必要となりますが、それが達成できたとしても、残念ながら処理速度の面でエクセルには及びません。

さて、KFシステムクリエイターには7つの基準システムがあります。それらは、「順張り」、「逆張り1」、「逆張り2」、「累乗平均」、「ブレイクアウト」、「RSI1」、「RSI2」の各システムとなります。
また、4つの追加システムはフィルタのような役割をし、基準システムに適用することでシステム性能を向上させる目的があります。

なお、現状の追加システムは、一般的なフィルタのように特定のトレードを除外する働きはせず、基準システムの売買タイミングを調整する機能を有します。そのため、フィルタ適用の際に問題となるトレード回数の減少が起こりにくく、統計的信頼性を損なう可能性を低減できます。
また、追加システムは基準システムに対して複数回適用することができます。基準システムに追加システムを1回だけ適用したシステムを2nd Layer(SL:セカンドレイヤ)システム、それに更に追加システムを適用したシステムを3rd Layer(TL:サードレイヤ)システムと呼びます。
レイヤを増やすほど、資産カーブのロバスト性(直線性)は向上しますが、カーブフィッティングの可能性もまた増大します。

基準システムおよび追加システムを含めたこれらのシステムは、基本的には引け判定・寄付き売買のシステムであり、日足データを用意すれば1日1回の更新で売買シグナルを確認できます。例えば、毎日の帰宅後にデータの更新を行ってシグナルを確認し、売買シグナルが出れば翌寄付き成行きで発注しておくだけです。

ちなみに、前場と後場の株価データを分けて入手できるのであれば、前引け後と大引け後の1日2回更新して、それぞれの売買シグナルを確認するシステムにすることも可能です。その方が、投資効率が向上する可能性があります。
また、これはほとんど意味がないかもしれませんが、週足データを用いて週末に判定し、週初に仕掛けるというシステムにすることもできます。

順張りシステムは回帰トレンドを利用したシステムであり、回帰推定値からの乖離の度合いに基づいて売買シグナルを出します。
比較的長周期のトレンドフォローシステムですが、銘柄によっては割りと短い周期となる場合もあります。性能的には、中程度の売買回数でやや低めの勝率、大きめの損益レシオとなります。資産カーブのロバスト性は、株式の保有期間が長めであることから、あまり良好ではない場合もあります。

逆張り1システムは、順張りシステムと同様に回帰トレンドを利用したシステムですが、判定条件を順張りとは逆にすることにより、短周期の逆張りシステムとなっています。
性能的には、売買回数が多めで勝率が高い反面、損益レシオはあまり大きくありません。資産カーブのロバスト性は、良好な場合が多くなります。

また、逆張り2システムは、基本的には逆張り1システムと似ているのですが、逆張り1システムが買いに重点を置いたシステムであるのに対し、売りに重点を置いたシステムとなっています。ロジック的には順張りシステムの裏返しになっています。
性能は逆張り1システムと同等ですが、銘柄によっては逆張り1と2とで傾向が異なる場合があります。

なお、逆張り1および2システムにおいては、ストップの機能を内包していません。そのため、システムによっては一度仕掛けと異なる方向に株価が動くと、損失が拡大してもなかなか手仕舞い(ドテン)シグナルが出現しない場合があります。
そのため、逆張りシステム、特に長周期の逆張りシステムを運用する場合は、追加システムを適用して、一定以上の損失に対してはストップが掛かるようにしておく必要があります。
ちなみに、順張りシステムではロジックがストップの機能を内包していますので、そのような目的で追加システムを適用する必要はありません。

累乗平均システムは、株価の様々な統計的平均を用いるシステムです。代表的な例としては移動平均システムがありますが、パラメータを変更することにより、調和平均や幾何平均、更には2乗平均などに対応することができます。
買いと売りとは別々に判定し、株価と買い用の累乗平均が交差したら買い判定、株価と売り用の累乗平均が交差したら売り判定としています。なお、買いの累乗平均の周期が売りの周期よりも長くなければいけない、などといった制約はありません。
性能的には、順張りシステムに近いものとなります。

ブレイクアウトシステムは、直近終値が過去一定期間の高値を上抜けたら買い、安値を下抜けたら売りとするシステムです。通常のブレイクアウトシステムでは、ザラ場中の上抜け・下抜けをシグナルとする場合もありますが、KFシステムクリエイターにおいては、引け判定の原則から、終値での上抜け・下抜けを判定条件としています。
性能的には、売買回数が少なく、勝率も低めですが、損益レシオは一般的に非常に大きくなります。売買回数が少ないことから、資産カーブのロバスト性は高くありません。

RSI1システムは、RSIが基準値を下回った後再び上回ったら買い、基準値を上回った後再び下回ったら売りシグナルを出します。
トレンドが生じると、RSIが基準値以下もしくは基準値以上に張り付いたまま推移する場合があります。そこで、例えばRSIが基準値を下回っている(売られ過ぎが続いている)間は仕掛けず、基準値を再び上回った(売られ過ぎが解消した)時点で買い仕掛けを行うわけです。これは、順張り的な投資手法となりますが、ベースがオシレータ系指標であることから、逆張り的な要素も含んでいます。
性能的には、順張りもしくはブレイクアウトシステムと逆張りシステムの中間的なものとなります。

RSI2システムは、RSIが基準値を下回った時点で買い、上回った時点で売りシグナルを出すシステムです。したがって、トレンドの発生には目をつぶってトレードを行うことになります。
そのため、安全に運用するためには、逆張りシステム同様、追加システムを適用してストップが掛かるようにしておく必要があります。
性能的には、逆張りシステムに近いものとなります。

追加システムでは、建て玉時の資産残高を基準として、その後の直近最大値からの下落率に基づいて反転シグナルを出したり(ETD基準)、建て玉時の資産残高からの下落率に基づいて反転シグナルを出したり(損益率基準)します。
更には、ETD基準もしくは損益率基準の追加システムにおいて、下落率が設定値以下になるまで反転シグナルを出さず、一度反転シグナルが出たら、基準システムで再び反転シグナルが出るまでHOLDを続けるように改変したシステムを加え、結局、全部で4種類の追加システムがあります。

それらの追加システムにおいて、買いもしくは売りにおけるトレーリングストップや損切りを設定したり、再びそれらの基準を上回ったら再エントリーする設定を行ったりすることもできます。しかも、それらを3rd Layerにまで適用することにより、非常に多くのバリエーションを持たせることが可能です。
KFシステムクリエイターは、このように非常に高い汎用性と拡張性を有しているため、ユーザー同士のシステムが競合してマーケットインパクトが生じる可能性を、大幅に低減させることができるわけです。

各システムは、基本的にはオペレーションページのマクロボタンから操作することができます。システムのセットアップや最適化、更新などは、ボタン一つで行えます。
また、サマリーページにおいて様々な運用条件を設定することにより、多岐にわたる性能評価が可能です。過去の指定期間でバックテストを行い、それ以降の運用成績を確認するフォワードテストや、レバレッジを掛けたり手数料を考慮したりした場合の性能変化、複利や単利などの運用形態による運用成績の違いなどを、簡単に評価することができます。

評価可能な性能指標は非常に多岐に渡り、それらのいずれに対しても最適化を行うことができます。例えば、プロフィットファクターが最大になる条件や、年率リターンが最大になる条件などを、自在に検討できますし、更にはトレード数などの様々な条件でフィルタリングしたりすることも可能です(その方法につきましてはシステムの操作方法の項目で解説いたします)。

また、KFシステムコントローラを利用すれば、システムの連続処理や並列処理、自動作成や自動更新などを行うことができます。
簡単な手続きで、夜間にシステムの自動作成(セットアップや最適化演算)を連続して行ったり、マルチコア環境では並列実行して処理時間を短縮したりすることができます。
KFシステムコントローラについては、内容が非常に多岐に渡りますので、別項目として後で詳しく解説いたします。


(以上)
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