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合成システムの更なる合成 [システムトレード]

5月26日のコラムで合成システムについて述べましたが、そこでは5つのシステムを合成した3通りのシステム例を示しました。
その際、最大ドローダウンは10%前後としましたが、正確にはドテン運用時において合成システム01が8.45%、02が13.26%、03が8.48%となっています。

最も資産増加率が大きい合成システム02が、最も大きなドローダウンとなっています。これをもう少し改善することはできないものでしょうか?
実は、これら3つの合成システムを更に合成することで、ドローダウンを低減することができます。その結果を下図に示します。
システムトレード_資産推移_運用後損益_合成A.png
このシステムは、最大ドローダウンが7.82%に改善されていますが、資産増加率は1年4ヶ月で2.24倍ほどにまで減少しています。
合成システム02の資産増加率が3.34倍でしたから、かなりの減少です。まあ、システム01と03の資産増加率がそれぞれ1.60倍と1.82倍でしたから、当然の結果です。

リターン(資産増加率-1)をリスク(最大ドローダウン)で割ってみますと、システム01が7.1、02が17.7、03が9.7であり、それらの合成システムAは15.9となっています。
合成システムAは、システム01や03と比べると格段に良くなっていますが、残念ながらシステム02には及びません。

そもそも、合成システムAには重大な問題があります。実は、このシステムを複利運用しようとすると、1億円近い資金(約9,400万円)が必要となります。

これは、システムAを構成するすべてのシステムを、運用開始時に等しい元本で複利運用することが前提となっていますが、複利運用(に近い運用)を行うためには、少なくとも数単位、できれば10単位程度の株数を売買する必要があるからです。

すなわち、各システムの元本を、最低売買金額が最も高額なシステムに合わせなければならないわけです。しかも、少なくとも10単位の建て玉が必要ということになると、それらをすべて合成したシステムAにおいては、非常に大きな運用資金が必要になります。

システムAの運用資金を増大させている原因となるシステムは、No.24の武田薬品工業とNo.7の大成建設です。
そこで、それらのシステムをシステムAから除外した合成システムBを作成しました。その結果を下図に示します。
システムトレード_資産推移_運用後損益_合成B.png
このシステムの運用資金は、最低10単位の運用を想定した場合で2,260万円ほどになります。システムAの1/4程度で済むわけです。
性能的にも、資産増加率が2.38倍、最大ドローダウンが8.23%となり、リターン/リスク(RRR)は16.8に向上しています。

最低運用単位を5単位にまで縮小すれば、システム上の資産推移とは2割程度のずれが生じる可能性はあるものの、1,000万円程度の運用資金で収めることもできます。

もちろん、多額の運用資金が必要になるのは、多くの銘柄を並列かつ複利運用するからであり、銘柄数を減らしたり、単株運用を行ったりすれば、運用資金を大幅に減らすことができます。
たとえば、5並列複利運用のシステム01の運用資金は1,510万円、02は870万円、03は3,140万円ですが、01には大成建設、03には武田薬品工業が含まれているため、高額になっています。

単株運用を行えば、運用資金を劇的に低減することができますが、リターンもまた大幅に低下してしまいます。
それらの運用後資産推移チャートはここでは示しませんが、研究所サイトのシステム事例4ページに掲載していますので、興味のある方はそちらをご覧ください。

システム構成は複利運用の場合と同じで、運用資金は各システムの最低売買金額の合計になります。

合成システム01が、資産増加率1.36倍、最大ドローダウン8.13%、RRR4.4、運用資金69万円、02が資産増加率1.77倍、最大ドローダウン7.70%、RRR10.0、運用資金56万円、03が資産増加率1.39倍、最大ドローダウン6.42%、RRR6.1、運用資金107万円、となります。

また、合成システムAが資産増加率1.47倍、最大ドローダウン3.59%、RRR13.1、運用資金232万円、Bが資産増加率1.55倍、最大ドローダウン3.37%、RRR16.3、運用資金166万円、となります。
合成システムBのドローダウンが大幅に低下していることが分かります。

なお、ここまで考えると、それならば複利運用において各システムを同一元本で運用するのではなく、同一株数(単元数)で運用しても良いのではないかと思えてきます。
例によって、最低運用単位を10単位とし、それぞれの合成システムを作成しました。

チャートは研究所サイトに掲載しています。ここでは、結果のみを示します。

合成システム01が、資産増加率1.52倍、最大ドローダウン14.98%、RRR3.5、運用資金690万円、02が資産増加率3.40倍、最大ドローダウン24.22%、RRR9.9、運用資金560万円、03が資産増加率1.59倍、最大ドローダウン10.68%、RRR5.5、運用資金1,070万円、となります。

また、合成システムAが資産増加率1.99倍、最大ドローダウン9.39%、RRR10.5、運用資金2,320万円、Bが資産増加率2.21倍、最大ドローダウン12.50%、RRR9.7、運用資金1,660万円、となります。
いずれの合成システムもドローダウンが大幅に増加し、RRRが低下しています。この合成方法は、あまり有効ではないようです。

私のような小口投資家の実際の運用場面においては、できるだけ少ないシステムでRRRが大きくなる組み合わせを探るとともに、最低運用単位を十分に吟味した上で、できるだけ少額元本で複利運用を行うことが肝要かと考えます。
もちろん、十分な投資資金がある場合は、そんな面倒なことを考える必要はありません。

最後に余談ですが、投資元本が異なるシステムの資産カーブを合成する場合は、それぞれの資産推移に元本で重み付けを行った上で合成する必要があります。
例えば、システムAの元本がa、資産残高がp、システムBの元本がb、資産残高がqの時は、それらの合成資産残高は(a*p+b*q)/(a+b)となります。

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