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借金をしてまで投資する価値はあるのか? [投資・経済全般]

システムトレードに限らず、期待値がプラスの投資手法が存在する場合、それを有償無償を問わずに公開することはあり得ないと言う論調があります。
まあ、無償はともかくとして、有償で公開する場合、それによって何らかの収益を得ることが目的であるから、借金をしてでもその投資手法を実践すればいい、ということです。

期待値がプラスであるから、借金をしてもそれを上回る収益があるはずだ、というわけです。したがって、そのような手法が公開されるわけもなく、巷で売られている投資手法は全てインチキだ、と結論付けられます。

さらに強烈な意見になると、そもそも期待値が必ずプラスである投資手法など存在するはずがなく、トレードで大金を得たという投機家は幸運だったに過ぎない、というものまであります。
まあ、これはほとんど信仰に近い考えですから、ここでは取り上げません。

ここでは、期待値がプラスである投資手法が有償で公開されることについてのみ、考えてみたいと思います。
なお、KFシステムクリエイターがどうこうと言うわけではなく、あくまで一般論としての話です。

有効な投資手法を販売する場合、その理由は何なのでしょう。一つは、それが有効ではないことを知っていながら販売する、すなわち明らかな詐欺である場合が考えられます。
その割合がどれくらいなのかは分かりませんが、残念ながらかなりの率を占めているのかもしれません。

一方、本当に有効な手法を有償で公開する場合、その手法があまりに広まると有効性が低下するため、あえて高額で販売することで利用者を制限する、という意見があります。
しかし、これは売る側の方便です。しかも、借金をしてでも自分で運用すればいい、という疑問に答えていません。

彼らをかばう訳ではないのですが、実はこの借金をしてでも、ということが問題なのです。そもそも、有効な投資手法を開発したから金を貸してください、と言って金を貸してくれるところなど、まずありません。

肉親や親類、友達などに泣きついたり、他人を錯誤させて金を借りるなどということは除いて、理由を問われずに金を借りれるとすれば、かなりの高利で調達せざるを得ないでしょう。
サラ金などから借りるとすれば、利率は安くても15%ほどになります。これを、期限までに、あるいは毎月返済していかなければならないわけです。

一方、期待値がプラスの投資手法と言っても、通常は年率数10%がいいところでしょう。長期に渡って20%以上のリターンを得るファンドがあれば、それはかなり優秀な部類に入ることでしょう。
さすがに15%の利息に対して、20%の期待値では心許ないので、取敢えず2倍の30%としてみましょう。

単純に考えれば、毎年差し引き15%の利益が入ってくるように見えます。借入金が大きければ、15%でもかなりの額になります。

例えば、自己資産が100万円しかない人が、1,000万円の借り入れを年利15%で行ったとしたら、レバレッジを掛けなくても初年度に300万円の運用益があり、元本据え置きで利息のみの支払いとした場合、差し引き150万円の収入になります(自己資産は運用に回さないとして)。

これにレバレッジを掛ければ更に大きな収入になる、などと考えることは危険です。レバレッジを掛けることで、リスクはそれだけ増大します。
どのような投資手法であっても、ドローダウンは必ずあります。すなわち、レバレッジを掛けることで、それが増幅されるわけです。

レバレッジなど掛けなくても十分なほどの大金を運用すれば大丈夫だ、という考えは実は成り立ちません。1,000万円を借り入れて運用に回した時点で、既に10倍のレバレッジを掛けて運用していることになるからです。

10倍のレバレッジで運用しても大怪我をしない(ドローダウンが小さい)投資手法は、そうはないでしょう。
もちろん、直ちに借入金を返済させられるわけではないでしょうから、一時的に自己資産分を失ったとしても、挽回できる可能性はあります。

しかし、ドローダウンと返済のタイミングによっては、一気に資金がショートする可能性もあるわけです。
そうなったら、その先にあるのは「破産」です。

いくら期待値がプラスの投資手法があったとしても、借金をしてまでそれを運用することは、高レバレッジでの運用になってしまい、極めてリスクの高い投資になってしまうのです。
当初の手法がいかに低リスクであったとしても、レバレッジの考慮抜きには無意味なのです。

それよりは、その手法を販売して収入を得た方が、ドローダウンのない極めて低リスクな運用ということになるわけです。
購入者にリターンを分け与えると共に、リスクも同時に配っていると考えることもできます。

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