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「完全独習 統計学入門」(書評) [システムトレード]

システムトレードを行なうに当り、統計学の知識は必ずしも必要となるものではありません。しかし、トレーディングシステムを開発する場合には、若干の統計学の知識が必要となるでしょう。
通常は、システムの評価項目の一部に、統計的な指標を用いるに留まるでしょうが、システムの有効性を判定する場合などに、検定の考え方を用いるシステムトレーダーもいらっしゃいます。

標準偏差や回帰分析くらいまでは、今はどうか分かりませんが、以前は高校の数学で習いましたし、その概念(記述統計)は高校数学の範囲で比較的容易に理解できるものと考えます。
しかし、その先の検定や区間推定(推測統計)ということになると、これはなかなか難しいのではないかと思います。

そもそも、検定がシステムトレードにどのように係わってくるのかを、正確に理解されているシステムトレーダーはごく少数でしょうし、私も概要をおぼろげに知っているに過ぎません。
実際、検定の考え方を厳密にシステムに適用しているわけではありませんし、以前から申し上げていますように、客観的な評価に努めるだけでもシステムの有効性を判断することは可能です。

しかし、やはりシステムトレードを行なうに当たって、基本的な知識としてそれらの概要は知っておくべきだと思いますし、今すぐには役に立たないかもしれませんが、いずれは直接的な影響が生じるかもしれません。

推測統計について厳密に理解しようとすると、確率理論の理解が必須となりますが、多くの方はそこがつまづきの最大の原因になっているようです。
事実、私もそうでしたし、そもそもこれまでの社会生活の中で、推測統計を使う機会もありませんでした。

そんな私が、なぜ今頃になって推測統計なんたらの話をしているのかと申しますと、その概要を容易に理解できる書籍に巡り合ったからです。
これは、今までにも何度か著書をご紹介したことのある小島寛之氏の書籍であり、タイトルは表題の通りです。その書籍情報を以下に示します。

完全独習 統計学入門

完全独習 統計学入門

  • 作者: 小島 寛之
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2006/09/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


本書は、従来の統計学の教科書とは異なり、確率理論の説明を省いています。また、難しい数式をほとんど使っていません。
それでいて、χ2乗分布やt分布まで、実例を挙げながら、順を追って分かりやすく解説しています。

数式を用いた説明は、四則演算と平方根、そして不等式しかありません。それだけで、標準偏差から区間推定まで、説明されています。
概念の理解は別として、数学的には中学生レベルで済んでしまいます。

著者の小島氏は、数学者ではなく経済学者です。そのため、取り上げる実例も経済学的な内容が豊富で、経済指標、特にリスク指標の理解にも役立ちます。
本書を読破することによって、推測統計の基本的な理解が得られますが、それが直ちにシステムトレードに役立つかと言うと、それはまた別問題かもしれません。

しかし、冒頭でも述べましたように、現時点では役に立たなくても、今後のスキルアップによって、いずれはそれらが応用可能になる日が訪れることでしょう。
本書は、統計学を理解する必要性を漠然と感じながらも、自分には無理なことだと思って諦めている方に、是非手に取っていただきたい一つです。

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