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ランダムシステムは10年後に資産を増やせるか? [システムトレード]

システム売買でも株式長期保有でもいいのですが、それらが機能する、すなわち資産が増加する可能性は、どれくらいあるのでしょうか。
今回は、ちょっとお遊びがてら、このことについて考えてみたいと思います。

最初にお断りしておきますが、ここからのお話は、極めて単純なモデルを想定して進めていきます。したがいまして、必ずしも実際のシステムや相場を反映するものではない、ということをご理解ください。冒頭にも述べましたように、これはあくまでお遊びです。

さて、トレーディングシステムを運用するに当たり、資産カーブが重要な意味を持つことは明らかですが、その資産カーブはどのような推移となるでしょうか。
1年毎の変化で捉えた場合、定性的には、上昇、下降、変わらず、の3通りとなります。

定量的に考えますと、無限の変化が存在するわけですが、話を極限まで単純化して、上記の3つしかないものとします。
そして、1年後に資産が上昇する場合は必ず"1"、下降する場合は必ず"-1"、変化しない場合は必ず"0"であるものとします。また、それらの生じる確率は等しいものとします。

これは、これから考えるシステムには全くエッジがない、すなわち、売買はランダムである、という前提に立つことになります。
かなり乱暴ですが、お遊びということでご容赦ください。

なお、もしも無理やり現実に当てはめようとするのであれば、ある値以上の上昇の時は"1"、ある値以上の下降の時は"-1"、それ以外は"0"とでもすればいいでしょう。
そのような条件で、10年間の運用を行ったとすると、10年後の資産は、"-10"から"+10"までの21段階のいずれかになります。

まずは、10年に渡って取り得る増減パターン(資産カーブ)の総数ですが、1年毎に3倍になっていくわけですから、10年後には3^10=59,049通りとなります。
また、これはプラス方向とマイナス方向とで完全に対称ですから、プラス方向だけで考えることにします。

上から順番に結果を示しますと、まず、資産カーブが毎年プラスになるパターン、すなわち資産が"+10"になるパターンは、1通りしかありません。
続いて、資産が"+9"になるパターンは10通りとなります。資産が、この上位2割に入る確率は、わずか0.02%です。

次に、資産が"+8"になるパターンは64通りで、それを含めた上位3割に入る確率は、たったの0.13%に過ぎません。
同様に、資産が"+7"になるパターンは256通りで、それを含めた上位4割に入る確率は、まだ0.56%でしかありません。

資産が"+6"になるパターンは746通りですが、それでも上位5割に入る確率は1.82%です。資産が"+5"になるパターンは1,690通りで、上位6割に入る確率は4.69%となり、ようやく数字が実感できるようになりました。

続いて、資産が"+4"になるパターンは3,131通りとなり、これを含む上位7割に入る確率は9.99%となります。ここで、ようやく10%に到達しました。
すなわち、うまく運用すれば、10年後には資産が"+10"になる可能性があるシステムを運用して、資産が"+4"以上(ピークの4割)になる確率は、たったの10%しかない、ということです。

さらに、資産が"+3"になるパターンは4,900通りで、これを含む上位8割に入る確率は18.29%、資産が"+2"になるパターンは6,635通りで、これを含む上位9割に入る確率は29.52%、資産が"+1"になるパターンは7,906通りで、これを含む上位10割に入る確率は42.91%となります。

すなわち、10年後にちょっとでもプラスになる確率は、43%程度ということになります。この数字を大きいと見るか小さいと見るかは、人それぞれでしょう。
ここで注意しなければいけないのは、残りの57%は10年後に収益を上げることができなかった、ということです。

冒頭でも述べましたが、これは全くのお遊びです。資産変化を、上昇、下降、変わらずの3通りに分類したことも乱暴ですし、それらの起こる確率が等しいとしたことも問題です。
それでも、上記の結果には妙に納得してしまうものがあると感じるのは、私だけでしょうか?

ここでは、ランダムに売買するトレーディングシステムの資産カーブで捉えましたが、株価推移で考えても全く同じことです。むしろ、ランダム性を前提とするのならば、株価推移で考えた方がすっきりするかもしれません。

上の議論を厳密に行なうのであれば、1年後の資産の区分を細かくし、さらに各区分の発生確率を個別に決定する必要があります。
1年後の資産分布が正規分布であるとした場合、10年後の資産分布もまた正規分布となるように思えますが、どうなんでしょう?でも、それだと全くつまらない議論になってしまいますね。

さて、ランダムなトレーディングシステムであっても、ごく僅かではありますが、資産カーブが右肩上がりになるパターンを内包していることは、あり得ることです。
そのようなパターンを具体化するために、様々なパラメータを用いてできるだけ多くの資産カーブを生み出すことを考えます。

この時、元々のシステムにエッジがなくても、資産カーブを生成する方法にエッジを持たせることができるのではないかと考えます。
すなわち、システムのパラメータを決定する方法に、エッジが存在するわけです。

これは、あまりに破天荒な考えですが、KFインデックスを用いたフォワードテスト等を行なっていく内に、そのような考えを持つに至りました。
そうとでも考えないと、KFインデックスによる最適化の結果を説明できないのです。

今回のお遊びは、元々そのことを考えるために行なったのですが、ちょっと話が逸れすぎたようです。まあ、私の戯言ということでご容赦ください。


PS.本日、累計アクセス数が50万を越えました。折りしも、当ブログを開始してから、今月の28日で丸3年になります。
ここまでブログを続けてこられましたのも、ひとえにご訪問してくださる皆様方のおかげです。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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