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システム寿命の客観的評価 [システムトレード]

システムトレードを行なうにあたり、最も頭を悩ます問題の一つが、システム寿命をどう判断するかということです。
よく、システムが機能しなくなったなどという話を聞きますが、いったいどのように判断しているのでしょう。

中には、ドローダウンが過去最大を記録したら、システムをストップするべきなどという声もありますが、その一方で、最大ドローダウンの後に最大利益が待っている、といった見解もあります。
個人的には、ドローダウンはシステムの寿命を判断する上で、ほとんど役に立たないと考えています。

KFシステムクリエイターにおいては、幸いなことに、システムの機能判定を行なう仕組みがあります。資産カーブがある基準を下回ると、システムの機能が停止したと判断します。
ただし、問題は、そうやって機能停止したシステムが、本当にそれ以上使えないものなのか、客観的な判断が付けにくいということです。

例えば、その時はたまたま過去最大のドローダウンに遭遇してしまい、一旦は機能停止の判定が下ったものの、そのまま運用を続けていたなら、資産カーブが急速に回復して、過去最大利益を更新した、などという可能性を、完全に排除できたわけではありません。

そこで、実際にシステムを運用することを念頭に置き、次のような検討を行ってみました。

任意のシステムにおいて、まず最初にテスト期間を1993年11月1日から3年間に設定し、その期間で最適化を行ないます。続いて、その条件で運用を開始したとして、機能判定がSTOPになるまで運用を継続します。

そして、STOPになったら、そこまでの運用損益を求めた上で、テスト期間をSTOPとなった日まで拡張して、再び最適化を行ないます。
以降、それを繰り返して行きます。

最終的に、直近日までテスト期間を拡張でき、なおかつ、トータル損益がプラスであれば、そのシステムは機能している、すなわち、寿命に達していないと判断します。
一方、テスト期間が直近日まで達しないうちに、それ以上システムを機能させることができなくなった場合、そのシステムは寿命に達したと判断します。

システムが寿命に達すると、いくら最適化を行なっても、運用開始直後にSTOPとなってしまします。もちろん、最適化を恣意的に行なえば、どうとでもできるのですが、KFシステムクリエイターではボタン一つで自動的に最適化を行なえますので、そのような恣意的な操作は入る余地がありません。

ただし、それだけでは、これから新たに運用開始するシステムが、この先機能し続けるのか分かりません。そこで、これから運用しようとするシステムに対し、上記のテストを実行してみます。
首尾よく、直近日までテスト期間を拡張することができたなら、そのシステムは運用に耐え得ると判断するわけです。

その場合は、直近日までの最大期間で最適化を行い、運用開始以降、機能判定でSTOPが出る毎に再最適化を行なっていきます。
そして、それ以上運用ができなくなったら(STOPが消えなくなったら)、システムの寿命が来たと判断し、運用を停止します。

いくつかのシステムで実際に試してみたところ、このテストはかなり厳しいものであることが分かりました。
それだけに、実運用を行うシステムの検証に適しているのではないかと考えます。

また、これはテスト開始日を固定していますが、例えば、テスト期間を運用開始日前の3年間に固定する方法も試してみました。
短期売買を前提とした場合、テスト期間を短く設定した方が、市場環境に合わせやすいと思ったからです。しかし、その結果は散々なものでした。

運用期間が極めて短くなり、しかも、運用のたびに大きな損失を計上し、最後はあっという間にシステム寿命に達して終わり、というパターンがほとんどでした。
システムのロバスト性がよほど高くないと、そのような方法でシステムを運用し続けることは難しいようです。

さて、以上述べてきましたシステム寿命の判定方法ですが、明確でないファクターが存在します。それは、初期テスト期間とした3年間の根拠と、STOP基準の設定です。
これらが違ってくれば、当然、結果も違ってきます。しかし、うまく機能しないシステムは、どのような条件であっても、いずれは寿命を迎えるものと考えます。

また、テスト期間の開始日を変更した場合も、結果は異なってきます。過去においてシステムがうまく機能しない期間がある場合、その期間を除いてテストを行なえば、当然、そのシステムの寿命は延びます。過去に大規模な株式分割を繰り返した銘柄など、場合によっては、そのような方法を取った方が良いと思われるシステムも存在します。

以上、システム寿命の評価方法について、考えてみました。今回は概念的な説明に留めましたが、KFシステムクリエイターを用いた具体的な評価方法については、いずれ研究所サイトにて解説したいと思います。

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