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ガソリン税について思うこと [雑感]

GW明けの日経平均は、海外市場が比較的堅調に推移したこともあり、落着いた動きとなりました。後場に入ると、100円以上急落して前日比マイナスに転じる場面もありましたが、14,000円台の底堅さが確認されると、引けに掛けて株価は再び上昇に転じました。

さて、暫定税率復活を受けて、5月に入るとガソリン価格は一気に元の水準以上に上昇しました。高いところでは160円以上になったという話も聞きますが、私の近所ではほとんどのガソリンスタンドが157円の価格を表示していました。

過去のガソリン価格の推移を調べてみますと、1995年には全国平均でレギュラー1L当たり115円でしたが、1998~99年には90円にまで下落し、その後は2001~03年に100円前後で安定した後、2005年に125円、2006年に135円と、現在に至るまで一気に上昇しています。

その背景には、2003年3月に勃発したイラク戦争の影響があることは明らかであり、その後2007年以降は、米国発の金融不安による影響が原油先物価格を急騰させ、現在に至っています。
中国の旺盛な需要を見込んでの動きとの話もありますが、いずれにしても、実需とはかけ離れたところにあるようです。

話を国内のガソリン価格に戻しますと、現在のガソリン価格は最安値の90円に対して70%以上の上昇、1995年の115円に対しても、40%近い上昇となっています。
これでは、暫定税率の復活に対して国民が怒るのも、無理はないように見えてしまいます。

さて、私たちが自動車を運転する際、コスト上問題にするのは、本来は例えば100円当たりどれだけの距離を走行するのかということです。
100円当たりどれだけのガソリンを購入できるかではないのです。

すなわち、世間ではガソリン価格の高騰だけが一人歩きしていますが、重要なのは、自動車の燃費(km/L)÷ガソリン価格(¥/L)がどうなっているかということであるはずです。
そこで、1995年以降の自動車の燃費を調べてみました。

すると、1995年までは軽自動車を除くガソリン車の平均で12.5km/Lだったのが、2000年には14km/L、2005年には15.5km/Lに向上しています。

それ以降については資料が見当たらなかったのですが、そのようなトレンドが続いているとすると、現在は17km/L程度になっているものと思われます。
また、政府の方針として、2015年には19km/Lを燃費基準としています。

ちなみに、2007年における低燃費自動車の水準は、上位10位の内2位までがハイブリット車で30km/L以上、3位~10位が普通車で24.5~20.5km/Lとなっています。
もちろん、軽自動車であれば、平均的には更なる低燃費が可能でしょう。

そこで、100円当たりの平均走行距離を比較してみますと、1995年には11km、2000年には14km、2005年には12km、そして現在は11km程度になっていると考えられます。
100円当たりの平均走行距離で比較すると、現在は1995年と同程度の水準ということになります。

すなわち、車の買い替えサイクルが変わらず、年間走行距離が変わらないのであれば、自動車の運用コストは現在においてもあまり上昇していないと考えられます。
では、自動車を運転することに対する最近の割高感は、いったいどこから来るのでしょう?

それには、私たちの生活環境の変化が大きく影響していると考えられます。

一つ目は、長引いたデフレの影響による世帯所得の低下で、自動車の使用形態が変わらなくても、世帯収入に対する燃料費率は高くなります。
また、1995年当時と比べると、自動車の世帯普及率が増加しているのかもしれません。

2つ目は、新車買い替えサイクルの長期化です。そのため、低燃費車が販売されても、それが行き渡るまでにより多くの時間が掛かってしまうと考えられます。
すなわち、自動車運用コストに対する燃費向上効果が、十分に発揮されていないと思われます。

それに絡んで、アウトドア志向の台頭もまた、燃費向上効果を打ち消しているものと考えます。低燃費車は小型車に集中していますが、ここ数年はワゴンタイプの2Lクラスの車種に人気があります。当然、小型車と比べれば、燃費は落ちてしまいます。

3つ目は、郊外型大型店の増加が考えられます。そのため、年間走行距離が増加傾向にあるのではないかと思われます。
従来は近所のスーパーで済ましていた買い物も、郊外の大型店に出かける頻度が増えれば、当然、ガソリン代負担が増加します。

ガソリン税の重税感に文句を言う気持ちも分かりますが、文句を言っても仕方がないところもあります。それよりも、自身のライフスタイルを見直し、ガソリンを節約できるところは節約するように努めた方が、実りある生活が送れるのではないかと思います。

100円当たりの走行距離は、10数年前とあまり変わっていないのです。変わっているのは、私たちのライフスタイルの方なのです。
政府には、ガソリン税の一般財源化を確実に推進し、その一部を用いて、石油資源に過剰に頼らなくて済む社会を一刻も早く実現して欲しいと思います。

なお、ここではあくまで個人消費の観点から話を進めました。業務で自動車を使用している場合などは、当てはまらない事例もありますことをお断りしておきます。

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