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システムはどこまで機能するのか [システムトレード]

トレーディングシステムがどこまで機能するのかについては、システムトレードにおける永遠の課題の一つだと言ってもいいでしょう。
よくある議論では、システムパラメータをあまりにもきっちりと決めてしまうと、システムはその後機能しなくなるということが、まことしやかに囁かれています。

このことにつきましては、2008年4月8日のコラムで考察いたしましたように、私は否定的な見解を持っています。
もちろん、プロフィットスパイクにおける最適化が、システムの機能性を損なう大きな要因の一つであることには、私も同意いたします。

ただ、それがプロフィットスパイクかそうでないかについては、安易に結論付けるべきではないと考えます。
以下に、実例を交えながら考えてみたいと思います。

最初に、下図をご覧ください。これは、7972イトーキに適用したトレーディングシステムの資産カーブです。
最適化は1ヶ月ほど前に行っており、もちろん、その時点における最大資産残高が得られるように、パラメータを設定しています。
システムトレード_資産カーブ_7972a_SL2_TL1orgb.JPG
チャートを見ますと、2005年10月29日の時間軸以降、資産残高が急騰していることが分かります。もちろん、これは最近行った最適化の効果であると考えるのが自然です。
それ以前では、資産はほとんど変化しない状態が続いていますから、最適化に対して否定的に考えるならば、ここ1年半の株価の急落にカーブフィッティングしただけだと思われるでしょう。

ところで、なぜ株価が急落していると言えるのかといいますと、資産vs株価のチャートが急騰しているからです。
ちなみに、その前の2年間ほどは、株価は急騰しています。そして、さらにそれ以前は、株価がほとんど変化しない時期が長く続いていました。

最適化に否定的な見解を持つならば、例えば2004年10月29日(時間軸の右から4本目)の時点で最適化を行えば、システムはその後、全く機能しなくなっていたに違いないと考えるかもしれません。
実際に試してみた結果が、下図になります。
システムトレード_資産カーブ_7972a_SL2_TL1fwtb.JPG
なお、これは3rd Layerシステムですので、最初に基準システムの最適化を2004年10月29日時点で行い、続いて2nd Layerシステムの最適化を同時点で行い、最後に3rd Layerシステムの最適化を同時点で行っています。

パラメータの決定は、もちろん、2004年10月29日時点で最大資産残高が得られるように実行しており、データの先読み等の恣意的な行為は、一切行っておりません。

資産カーブを見ますと、確かに資産残高そのものは最初のチャートに敵いませんが、システムそのものは、最適化後3年半に渡ってきちんと機能しているように見えます。
最適化後1年間(2004年10月29日~2005年10月29日)は、むしろ3年半前の最適化の方が良好な結果を示しています。

2004年10月29日時点の最適化では、2005年末から2006年末までの株価反転時期にうまく適応できませんでした。
ただ、それ以降のトレンドが明確になってきた時期には、うまく適応しています。

さて、これだけでは、両者のパラメータの違いが今一つ分かりません。そこで、両者のパラメータ分布を3Dチャートで描いてみました。
以下にそれらを示します。上段が最近の最適化、下段が2004年10月29日の最適化時のパラメータ分布です。
システムトレード_パラメータ分布_7972a_org3Db.JPG
システムトレード_パラメータ分布_7972a_fwt3Db.JPG
なお、これらは基準システムのパラメータとなっています。また、縦軸は資産残高を示していますが、それらは最適化を行った時点の値であり、当然、両者には大きな違いがあります。
ちなみに、縦軸の値がピークになるポイントが、それぞれの最適パラメータとなります。

これらのパラメータ分布を見ますと、非常に粗い分布であることが見て取れます。そして、最適パラメータは、両者とも3Dチャートの左手前付近にあることが分かります。
プロフィットスパイクという観点からは、これらのピークは正にプロフィットスパイクそのものであるように見えます。

しかし、3年半前の最適化と最近の最適化とで、この"プロフィットスパイク"の位置はほとんど変わっていません。
それどころか、両者共に横軸目盛11の付近に深い谷が見られるように、パラメータ分布の周期構造も、似通ったものとなっています。

これらは、この銘柄固有の周期構造であり、他の銘柄では当然異なったものとなります。すなわち、本例で用いたシステムにおいては、銘柄固有の周期構造に合致したパラメータを設定する必要がある、ということが言えるかと思います。

トレーディングシステムにもよるでしょうが、「パラメータ分布はなだらかな分布になるべきである」というのは理想論であり、現実には即さないと考えます。
ましてや、「全ての銘柄で同じパラメータを適用しても、機能するシステムでなければならない」などということは、幻想に過ぎないのではないかと思います。

銘柄毎に最適パラメータが異なるのは、当然のことです。なぜならば、銘柄固有の"構造"が存在するからです。
それを否定することは簡単ですが、それを積極的に肯定することもまた、有効なトレーディングシステムを得るための方法であると考えます。

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