ツケ回しの結果

株式市場は相変わらず大荒れの展開となっています。今日の日経平均は、昨夜のCMEに鞘寄せする格好で寄り付き、一時は500円近く上昇して13,000円台を回復しましたが、それも長続きせず、その後は前日比マイナスに転じそうになるなど、冷や冷やさせられる展開になりました。

結局、前日比250円あまり高く引けたわけですが、今までの下げ分を考えると、焼け石に水といった状況です。

昨夜のNY市場は、開場前に0.75%の緊急利下げがあったにも係わらず、大きく下落しました。もっとも、他国市場のそれまでの下げ分とのバランスを考えると、NYだけが昨日のタイミングで反発することは無理があり、その結果としての続落だったと考えます。

実質的には、緊急利下げによって、5%前後の株価押し上げ効果があったと見ています。逆に言えば、もしも利下げがなかったら、昨日のNY市場もまた、下落のスパイラルに巻き込まれていただろうと思います。

とりあえずは、これで一先ず踊り場に着地したといった感じでしょうが、その後、再び下落を続けるのか、あるいは上昇に転じるのか、不透明な状況が続いています。
こういった状況が続きますと、「安いところを拾って」などという言葉が聞かれるようになりますが、どこが安いところなのかが分からないことに、最近の株式相場の難しさがあります。

このような状況に陥っている最大の原因は、もちろん、サブプライムローン問題なのですが、これは結局、ローン返済の問題を先送りにし、さらにはそれを世界中にばら撒いた、ということになります。これは、典型的なツケ回しです。

また、日本市場が相変わらずパッとしないのは、企業業績というよりはむしろ政治的な問題が大きいと考えます。
それは、昨年7月の参院選における自民党の大敗に遡ることができます。

参院選において、自民党の大敗が確実になるにつれて、日経平均は急落しています。日経平均は、その後のサブプライムローン問題に絡むNYダウの急落で、記録的な下落となりましたが、以前にも述べましたように、大幅な下落はそれ以前から始まっていました。
そして、政争があるたびに、株価は下落に見舞われているように思えます。

これらはあくまで私の主観に過ぎませんが、多変量解析などで、株価と政治、NYダウなどとの関係を分析してみると、面白い結果が得られるのではないかと思います。
案外と、日経平均と自民党支持率が大きな相関を持っていたりするかもしれません。

結局のところ、参院選の大敗で、政局運営がうまく運ばなくなったことが、海外投資家に見放された最大の原因なのではないかと考えます。
特に、民主党の経済活動を無視したかのような強行な対立姿勢が、そっぽを向かれた最大の要因ではないかと思います。

しかし、その民主党を選んだのは私たち国民であり、私たちが民主党を選んだのは、小泉政権時に蓄積された格差の拡大に歯止めを掛けたかったからでしょう。
残念ながら、その選択は、国政の停滞という最悪の結果を生んでしまったように思います。

昨年末には、大連立という動きもありましたが、残念ながらそれも立ち消えとなってしまいました。現在のような不安定な経済情勢下においては、何を置いても、安定した政局運営が求められるのではないかと思います。
自民党と民主党は、対立し合うのではなく、協調してこの難局を乗り切ってほしいと願います。

また、経済界も猛烈に自省しなければなりません。昨今の停滞感は、かつての従業員切り捨て政策が招いたものだと考えます。
正社員の採用を抑え、待遇を改悪し、業績向上にも給与アップで報いてこなかったツケが、内需を停滞させている最大の要因だと思います。

今頃慌てて、「ベースアップを容認する」などと言っても、時すでに遅しの感があります。それに加えて、人的資源の大規模な空洞化が始まっています。
運よく会社の中核に残れた従業員も、最近大量採用された新入社員との年齢的、質的な乖離に、頭を痛めることになるのではないかと思います。

結局のところ、これらの問題は、過去のツケが今になって降り掛かってきた、ということに尽きるかと思います。
環境問題や年金問題もそうなのですが、これからの社会は、ツケを先送りにしないという強い決意で挑むことが必要なのではないでしょうか。

そういう私も、クレジットに頼ったり、医者に通うのを先送りにしたりと、ツケの先送りをしています。言うは易しですが、行うのは難しいものです。