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「タートル流投資の魔術」 [システムトレード]

以下の書籍を既に読んだ方も多いのではないかと思います。株式トレード関連のいくつかのサイトでも、既に紹介されていますので、ご存知の方も多いことでしょう。
私も先週土曜日に書店で見つけて購入し、先ほど、ボーナス章を残して読み終えました(ボーナス章は今夜の楽しみに取っておきます)。

伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術

伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術

  • 作者: カーティス・フェイス
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2007/10/17
  • メディア: 単行本


本書は、この手の書籍にしては珍しく、PanRollingではなく徳間書店から刊行されています。そのためもあってか、価格は1,700円+税と、かなり求めやすくなっています。
しかし、その内容は、数千円もする書籍に勝るとも劣りません。

著者のカーティス・フェイス氏は、かの有名な投資集団「タートルズ」の最優等生であり、現在はトレーディング・システムの分析と開発用ソフトウェアを専門とするトレーディング・ブロックス社で、研究開発の責任者を務めています。

本書は、原著の邦訳出版に際し、翻訳者+監修者という体制で臨んでおり、その所為もあってか、大変読みやすい文章になっています。
海外の投資関連書籍の邦訳本は、往々にして難解な記述が目立つのですが、この書籍に関しては安心して読み進めることができます。

さて、本書で語られている内容は、実にシンプルなものです。難しい数式などは、ほとんど使われていません。
それでいて、(システム)トレードに必用な「もの」のほとんどを網羅しています。

フェイス氏によれば、タートルのクラスで教わったことは、次の4つにまとめられます。

 1.エッジ(優位性)のある取引をせよ
 2.リスクを管理せよ
 3.首尾一貫せよ
 4.シンプルであれ

本書を読み進めるにつれ、現在の自分の志向と非常に近いものを感じ、驚きを覚えました。本書にはフェイス氏の現在の経験も反映されているとは言え、基本的な考え方は、20年以上も前に教え込まれたものです。

さすがに、当時の相場環境や運用(コンピュータ)環境の限界もあってか、解説はトレンドフォローシステムを中心に述べられていますが、フェイス氏も指摘しているように、スイングトレードやデイトレードなどにも適用が可能です。

私が現在運用中のシステムがそうであるように、トレンドフォローシステムでは、どうしてもドローダウンを避けることができません。
しかし、それは、大きな利益を得た後のお返しのようなものだと、フェイス氏は述べています。

ドローダウンが問題なのではなく、ドローダウンに押しつぶされる心が問題なのです。もちろん、ドローダウンが小さいシステムほど、エッジがあるという現実があります。
しかし、見かけ上のエッジを高めるために、システムを複雑にしたのでは意味がありません。

フェイス氏は、タートルのクラスで教わった4つの事項の中で、4つ目の「シンプルであること」が最も重要であると述べています。
この意味には、システムの機械的な構造だけではなく、トレーダーの行動全般も含まれるのではないでしょうか。

システムをシンプルにするというと、「それは最適化を行なわないことだ」と言う人がいます。しかし、フェイス氏は、そのことを明確に否定しています。
最適化を行なった場合の問題点は、将来的に市場がブレてきた時に、最適パラメータがズレてくる、すなわち、必ず最適値より低い期待値になるということです。

最適化を避けた場合は、将来の市場のブレに対して、期待値が上にも下にも変化します。しかし、期待値が最も上にズレたとしても、それが最適値からの下振れ時の期待値よりも小さければ、システムの性能は最適化を行なったものよりも劣ることになります。

それならば、最適化を行なった方が、より良いということは言うまでもありません。私の経験からも、各システムや銘柄には最適なパラメータ(周期)があり、それを無理に一組の固定パラメータに押し込めることは、有益ではないと思います。

現在の私の最大の課題は、リスク管理です。もちろん、フェイス氏が述べているような方法論は十分理解しているつもりですが、残念ながらそれを実践するには資金量が足りません。
そのため、現状ではオーバーリスクの状態に陥っていることは承知しています。

ただし、現在は生活資金とトレード資金とを完全に切り離していますので、多少のオーバーリスクには目をつぶっています。
現在運用中の順張り(トレンドフォロー)システムに、大きな波が来るのを気長に待つことにします。とりあえず、今日の引けで順張り買いCにシグナルが出ました。明日の寄付きで買い建てます。

本書には、偶然にも、私の述べたいことが凝縮されています。私が今まで、コラム等で述べてきた内容、特にシステムの評価技術の重要性については、本書と共通する認識を持っています。
当ブログのコラムに共感を覚えてくださる方ならば(あるいはそうでない方も)、本書の内容にも大きな共感を覚えるものと思います。

特に、KFシステムクリエイターを運用するユーザーの方は、ぜひとも本書を一読されることをお薦めします。KFシステムクリエイターの設計指針は、多くの部分で本書の内容と共通していると思っています。


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コメント 3

nobo

こんにちは

奇遇にも僕も土曜日に買って読みました。


Kフローさんのブログいつもは意見させてもらってますが・・・

いつかはやってくれるのではないかと期待してます。
・・・「Kフロー投資術①マネーマネジメントテクニック」
もちろん、システム評価やマネジメントに特化した内容で(笑)。
by nobo (2007-10-31 21:13) 

nobo

は意見→拝見
でした。
by nobo (2007-10-31 21:17) 

Kフロー

noboさん、こんにちは。いつもありがとうございます。

冒頭の「株式トレード関連のいくつかのサイト」には、当然、noboさんのブログも含まれています。PanRollingの件は、noboさんのブログを参考にさせていただきました。

「Kフロー投資術①マネーマネジメントテクニック」につきましては、機会があれば考えてみたいのですが、何分、今はマネーマネジメントからは縁遠い環境(少額資金)でのトレードを余儀なくされています。

これと言うのも、過去何度もマネーマネジメントを疎かにしてきた、私の投資行動に起因しているのは間違いないところです。将来的には、その経験を生かせたらと思うのですが。

noboさんのブログも、毎日拝見させてもらっています。今後ともよろしくお願いいたします。

PS.私も「は意見」と変換されてしまいました(笑)。もっとも、「拝見」だけではなく「意見」の方も大歓迎です。
by Kフロー (2007-11-01 09:21) 

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