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ボラティリティと変動率 [投資・経済全般]

これまでに、ボラティリティの標準偏差を用いて、損切り基準を決定することを提案してきた。ただ、これは別に目新しいものではなく、リスクの定義に立ち返れば、極めて自然な手法である。ただ、それをあらたまって述べたに過ぎない。

そのような中で、株価の動きとその標準偏差を比較すると、標準偏差が小さいからといって、必ずしも株価の動きが安定しているという訳ではないことに気が付く。
すなわち、株価に大きなうねりがあった場合、ボラティリティの標準偏差では上手く反映できない場合があるのである。

通常、株価の変動を表す場合は、日々の株価そのものの標準偏差を求め、それを例えば期間中の株価の平均値で割ることによって求める。
フェイス(4295)の場合だと、2002年9月10日から2006年8月2日までの株価の終値の標準偏差は16,057円であり、その間の平均株価は58,259円であることから、期間中の株価の変動率は27.56%となる。

ただし、これは1σの範囲でしかなく、例えば3σまで採ってしまうと82.68%となり、ほとんど管理する意味がなくなってしまう。
したがって、この変動率から管理限界を決めるのは、事実上不可能である。

以前述べたロバスト性という観点で言えば、重要となるのはまさにこの変動率であり、単純な株式のBUY&HOLDでは管理できない、すなわち実用に耐えるロバスト性を得ることが出来ない、ということになる。
システムトレードに高いロバスト性が要求されるのは、資産を確実に管理する必要があるからである。

それでは、変動率が大きい、すなわちロバスト性が低い株式相場においては、システムトレードは所詮無理なのだろうか。
これについては何度も述べてきたが、けしてそんなことはない。そのためには、先週から述べてきたボラティリティの標準偏差という概念が重要になってくるのである。

冒頭に述べた、ボラティリティの標準偏差は小さいが、うねりが大きいが為に株価全体の変動率が大きくなってしまうような場合は、適当な演算(変換)を行なうことにより、売買の結果である資産カーブの変動率を小さくできる(ロバスト性を高める)可能性が高い。

例えば反対売買可能なシステムの場合、ボラティリティの標準偏差が大きいと、反転指示を出すための基準が緩くなってしまい、対応が常に遅れることになってしまう。
その結果、損失を拡大し収益チャンスを逃しやすくなる。反対売買せずにEntry-Exitの判断に用いる場合も同様である。

ボラティリティの標準偏差が小さいほど迅速な対応が可能となり、その結果、資産カーブの変動率も小さくすることが出来る。
うねりはトレンドであり、このうねりを如何に上手く捉えることができるかによって、投資成績に大きな差が出ることになる。ボラティリティの標準偏差が小さいということは、分解能が高いということであり、より細かな変化を捉えやすくなるということである。


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