SSブログ

株取引に必勝法はあるのか [雑感]

早いもので、このブログを始めてから今日で4年と3ヶ月になります。ブログの第1号記事は、表題のようなものでした。
それから4年強、システムトレードを始めてから5年半ほどになりますが、今あらためて、最初に提起した命題について考えてみたいと思います。

さて、「株取引に必勝法はあるのか」と問われれば、「あるという前提で行動している」と答えるしかありません。
例えば、トレーディングシステムを開発し運用する行為は、「必勝法がある」という前提に立たない限り、不合理なものになってしまいます。

「必勝法などない」と言いながら利益を追求する行為は、ギャンブルと同じです。私たちが宝くじを購入する時は、「当たる可能性は極めて低いが当たって欲しい」と思うものですが、株式投資をする時は、「利益になる可能性は極めて低いが資産が増えればいい」などとは思わないでしょう。

よほど特異な人でない限り、「絶対に資産を増やしてやる」と考えながら、相場に立ち向かっているのではないでしょうか?
中には、「そのような世俗的な考えでいるから勝てないのだ」などと揶揄する方もいるでしょうが、大切な資産をリスクに晒すのですから、それに見合ったリターンを求めるのは当然の事です。

すなわち、必勝法は多くの人が潜在的に存在を容認しているものであり、追及しているものでもあります。
例えば、テクニカル分析を否定する人であっても、ファンダメンタルズを研究することで利益を上げられると考えています。それもまた、必勝法の一つです。

なお、相場の世界には長く市場に留まって資産を増やし続けている人が少なからず存在しますが、それは必ずしも必勝法があることの証明にはなりません。
それは本質的には、生存バイアスと区別することが困難だからです。

ちょっと脇道にそれますが、私が今ここに存在している確率は、いったいどれくらいのものでしょう?例えば、人類が誕生した500万年前から考えただけでも、気が遠くなるほどの幸運の積み重ねの中で今に至っていることは間違いありません。

かなり大雑把ですが、20年で世代が代わると考えると、現在までに25万世代が引き継がれていることになります。更に各世代毎に、成人するまでの生存率や配偶者を得て子供を残す確率を乗じないといけません。

ここからは全くの当てずっぽうですが、仮に平均的な生存率を80%、子供を残す確率を80%とすると、一世代当たりの子孫継承確率は64%ということになります。
まあ、ざっくりと半分程度でしょうか。実際にはもっと低いかもしれません。

これが、25万世代全てに適用されるわけですから、私が誕生する確率は0.5の25万乗分の1・・・ではなく、0.5の(2の25万乗)乗分の1という途方もない数字となります。
分かりにくいので10のべき乗で表すと、10の(10の75257乗)乗分の1となります。これでも想像できませんね。

でも、私は今現在、ここに存在していますし、同様に現在に生きる全ての人々にも同じことが言えるわけです。
これは正に、壮大な生存バイアスの結果です。

さて、闇雲に未来永劫に渡って機能し続けるシステムを追い求める事は、私が今生きていることを500万年前に遡って予想するようなものです。
それがいかにばかげた事であるかは、考えるまでもありません。

もしも私たちが介入できないような自然科学の世界であれば、限りなく完全に近い理論体系(法則)は存在できるかもしれません。
しかし、相場の世界は、私たちが容易に介入可能であり、ルール(法則)も恒久的ではありません。そのような世界で、永久に機能し続けるシステムを追い求めることには無理があります。

しかし、限定された条件下においては、そのようなシステムが存在できる可能性はあります。それは時間的な限定であったり、対象とする市場や銘柄の限定であったりします。
そのような限定条件下では、機能するシステムを実現する事は可能だと考えます。

そのことから、私たちが追い求めるべきものは、機能するシステムそのものではないことが分かります。
それは、現状を正しく認識する方法論であり、その条件下で機能するシステムを作成する方法論であったりします。

現状を正しく認識する事は、運用中のシステムが機能できる環境にあるかどうかを確認するために必要です。そして、システムを作成する方法論は、変化した状況に対応したシステムを、的確かつ迅速に作成して運用に移すために必要です。

そのようにして、状況の変化に合わせて流動的かつ機動的にシステムを運用していく事こそ、私たちが追い求める聖杯なのではないかと考えます。
すなわち、「株取引に必勝法はあるのか」と問われれば、「それは私たちの心構えの中にある」と言えるのではないかと思うわけです。

nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 2

マー

そうですね。必勝法は、やり方しだい。
しかし、必勝法での運用だとしても、結局は、銀行利息より少し良い程度が、もしかしたら限界なのかなと思い始めています。金融市場はそう甘くない、の理論として。もちろん時期的な良い波悪い波はありますが。
by マー (2009-12-29 12:26) 

Kフロー

マーさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

確かに、トレードという狭い範疇における必勝法を追い求めることは難しいですね。
でも、豊かで充実した人生を送ることを「勝ち」の人生だと考えれば、結構たくさんの人が必勝法を身に付けているのかもしれません。

トレードにしてみても、何回か破綻したとしても最終的に勝つことができるのであれば、その間に行なった勉強や資金繰り等もまた、必勝法の一種とも考えられます。
単純に、収益を上げ続けることが目標であるならば、企業経営もまた必勝法の一つだと思います。

結局は、死ぬ間際になって初めて聖杯の存在に気が付く、といったところでしょうか。

by Kフロー (2009-12-29 17:29) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。