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累乗平均システム [システムトレード]

2月4日のコラムで、移動平均と調和平均について述べました。その中で、移動平均よりも大きな値をとる平均値は数学的には存在しないと述べましたが、厳密にはそれは正しくありません。
いわゆる2乗平均は、移動平均よりも大きな値を取りますし、同様に、n乗平均というものを考えることもできます。

先日のコラムでは、あくまで実在として意味のある平均、という範囲内でしか考えていませんでした。そのような中で、株式相場においてその挙動がイメージできるものとして、調和平均と移動平均を取り上げたわけです。

では、純粋に数学的に捉えると、どのような平均が考えられるでしょうか?それが、表題に掲げた「累乗平均」ということになります。
今、実数rおよび、n個の正の実数A1,A2,・・・,Anを考えた場合、A1~Anの累乗(r乗)平均f(r)は次式で定義されます。

  f(r)={(A1^r+A2^r+・・・+An^r)/n}^(1/r)  (r≠0の時)
  f(r)=(A1*A2*・・・*An)^(1/n)  (r=0の時)

ここで、r=1の時が相加平均(移動平均)、r=0の時が相乗平均(幾何平均)、r=-1の時が調和平均ということになります。
ちなみに、(A)^(1/n)は、Aのn乗根を取るという意味です。

さて、定義にもありますように、rは整数である必要はなく、実数ならばどんな値でも取ることができます。
そして、f(r)という関数は、実数空間上で連続かつ単調増加となります。そのことから、直ちに、調和平均≦相乗平均≦相加平均ということが分かります。

先日のコラムにおいて、買いの場合は例えば移動平均よりも小さな指標を、売りの場合は移動平均よりも大きな指標を用いて、それらと株価との交差を判定条件とすれば、より迅速なシグナルの発生が期待できるだろうと述べました。

そうであるならば、より一般化された累乗平均を用いることで、例えば買いの場合はf(-2)との交差、売りの場合はf(2)との交差を判定基準にするなどとすれば、システムの性能を向上させることができるかもしれません。

あるいは、もっと極端に、f(-10)とf(10)の組み合わせを用いたり、さらには、f(-3.14)とf(3.14)の組み合わせを用いるなどということも、考えることができます。
このように、累乗平均を考えることで、システムの可能性を大きく広げることができるわけです。

そんなわけで、移動平均システムを改造して累乗平均システムを作ってみました。その結果はまだ十分に確認していませんが、調和平均の場合と同様、劇的な性能改善とはいかないようです。
いずれ機会がありましたら、検討結果をご報告したいと思います。

なお、近日中に、KFシステムクリエイターの移動平均システムを、累乗平均システムに変更する予定です。その際、従来の移動平均システムとして利用するには、パラメータ(r)を(1,1)に設定すれば大丈夫です。ちなみに、調和平均システムならば(-1,-1)、買いが調和平均、売りが移動平均ならば(-1,1)です。

自由度が増えることは、システムにとって必ずしも良いこととは限りませんが、研究用としては面白いのではないかと思います。

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