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「FX&日経225先物 システムトレード勝利の方程式」(書評) [雑感]

2008年11月25日のコラムで以下の書籍をご紹介いたしましたが、先日からようやく読み始めています。同時にご紹介いたしました照沼氏の書籍は、すでに読み終えたのですが、これまでの著作とは異なり、あまりシステムそのものには触れられていないように感じましたので、今回は書評はいたしません。

FX&日経225先物 システムトレード勝利の方程式

FX&日経225先物 システムトレード勝利の方程式

  • 作者: 今井 雅人
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2008/11/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


さて、表題の書籍ですが、これはシステムトレードに関する貴重な考え方やノウハウが、ぎっしり詰まった書籍です。
本書は8章で構成され、最初の3章はシステムトレードの概論、残りの5章は個別のシステムトレードの実例を紹介しています。

私はまだ3章までと、個別株式を用いたシステムの実例を紹介した7章のみを読んだに過ぎませんが、それだけでも本書を購入する価値はありました。
手前味噌で申し訳ないのですが、著者の今井氏や執筆者の平野氏らのシステムに対する考え方は、強く同調できるものでした。

私がかねてより当ブログ等で述べてきた考え方が、本書には凝縮されています。私の貧弱な表現力では伝えきれなかった内容が、非常に分かりやすくまとめられています。
もちろん、私と本書の著者らとは、一切の関係はありません。恐らく、互いの考え方をどこかで知ったような事も、ないものと思います。

それだけに、本書に目を通した時は、正直申し上げて驚きでした。私のシステムに対する考え方は、どちらかと言えば亜流(我流とも言います)だと思っていたのですが、本書には同じような考え方が随所に綴られています。

例えば最適化についても、私はかねてより、どんなシステムであっても過去の株価推移を加工して用いる限り、それは最適化を行なっていることになると考えてきました。
移動平均周期を20日で固定しても、前日の日足の陰陽を基準にしても、それらは様々な条件の中の一つの条件を抽出したに過ぎず、それは最適化に他ならないわけです。

それならば、最適化を忌み嫌う理由など、存在しない事になります。それでも、最適化は行なうべきではないかのような論調が幅を利かせているように感じます。
本書では、システムやテクニカル分析に過去のデータを取り入れている限り、それは最適化を行なっていることに他ならないと断じています。

また、著者らは、システムの最適化を行なうに当り、安定化計測指数という指標が最大となるようにすることで、堅牢なシステムが得られると述べています。
これは正に、私が最適化の対象として用いているKFインデックスと同じ考え方です。

私が初めてKFインデックスの概念を発表したのは、昨年9月の初め頃ですが、この時にはもちろん本書は発行されていません。
もちろん、本書の著者らが執筆中にKFインデックスのことを知ることはないでしょうし、何よりも、安定化計測指数は何年も前から用いているということです。

ここ最近に限らず、システムトレード関連の書籍は数多く出ていますが、部分的には同感できても、どうしても相容れない箇所があるものでした。
また、その思いは書籍に限らず、様々なブログ等を閲覧しても感じる事が多々ありました。

そういった意味でも、本書は今までにない考え方に根ざしたシステムトレードの指南書です。と言うよりはむしろ、本書でも語られていますように、今までけして明かされることのなかった内容が記述された書籍であると言えるかもしれません。

その手の前口上は、普通は単なる宣伝文句に過ぎないのが世の常なのですが、本書に関しては、少なくとも私は、「本物である」と強く感じました。
ただし、私の考えもそうなのですが、それは現在の主流とはやや異なった考えかもしれません。そのため、本書を読んで強い違和感を感じる方も少なくないかもしれません。

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コメント 2

nobo

お久しぶりです。

自分も「最適化」については同意見です。
確かに、パラメータの値を固定していても、他の条件で期待値のあるシステムに作り上げていくと、方法は違えどやってることは同じ、のような気がします。

以前紹介されていた「タートル流投資の魔術」にも、ちょっと違った視点からかもしれませんが、パラメーター設定等についての最適化を肯定する意見が書かれていました。

最適化後のパフォーマンスの崩れに対して最適化を非難するのはこれまた違う気もしますし、堅牢性やシステムの寿命等についても一般的に広まっている主張はずれているような感じがしてます。
by nobo (2009-01-15 21:09) 

Kフロー

noboさん、こんにちは。いつもありがとうございます。

最適化の問題はいつの時代にも議論され続けるものだと思いますが、要は、結果よければ全てよしなのかもしれません。

最適化を行なっても、その後数年に渡って機能し続けるシステムが得られるのであれば、最適化を非難される言われはありませんし、逆に、理論的に完璧だと考えていたシステムが1年もしないうちに機能しなくなるのであれば、それは最適化の有無とは関係なしに、それだけのものでしかなかったという事だと思います。

noboさんのおしゃるように、こうすれば堅牢性が維持できるという世間一般の考え方は、概念論に傾きすぎているように感じます。
特性分布が最もブロードになるパラメータ範囲を選びなさい、という主張は、その最たるものだと思います。

それは、最適なパラメータは移ろいやすいものだという幻想から来ているのかもしれません。最近、High FAI TradersのKonShin氏がブログで述べていますように、演繹的なアプローチによってピンポイントのパラメータ設定を行う事の方が、市場において優位に立てる可能性が高いかもしれません。

もっとも、同氏の主張にはさっそく批判的なコメントが入っていましたが(^_^;)

by Kフロー (2009-01-16 09:26) 

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