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2008年を振り返って(市場編) [雑感]

今日は、今年一年の株式市場を振り返ってみたいと思います。

昨年のコラムにおける2007年の振り返りでは、日経平均株価はせいぜい14,000円で下げ止まるのではないかという楽観的な見方を示していました。
それは完全に外れでした。日経平均は14,000円どころか、その半値の7,000円まで下落しました。

その要因については今さら述べるまでもないのですが、昨年末時点において、平均保有株価は完全に下降トレンドに突入していました。
ファンダメンタルのみならず、テクニカル的にもすでに長期的な下落を示唆していたことになります。

ただし、3月に12,000円割れした後、6月までは持ち直しの兆しを見せていました。しかし、出来高加重平均に頭を抑えられる格好で株価は再び下落に転じ、奈落の底に突入しています。
これらの様子は、12月26日のコラムで示した平均保有株価チャートから見て取ることができます。

3月の持ち直しは、ベアースターンズの救済によるところが大きいでしょうが、これによって、金融危機は一先ず回避されたという見方が広がったように思います。
しかし、5月に入ってシティグループの大規模な資産売却方針が伝えられると、市場心理は冷え込みを見せます。そして、9月のリーマンショックで、金融・株式市場は一気に崩壊しました。

一般的に言われていることとしては、ベアースターンズが救済されてリーマンブラザーズは救済されなかったことで、救済の基準が不明瞭となり、金融市場に疑心暗鬼が渦巻いて市場が機能しなくなってしまった、ということでしょう。

また、元々は住宅バブルを始めとする様々なバブル状態にあり、リーマンショックはきっかけに過ぎない、という意見もあるかと思います。
いずれにしましても、この歴史的出来事の顛末は、将来の研究者等によって明らかにされることでしょう。

一方、もしも危機を避けることが出来ていたとしたら、あるいは少なくともソフトランディングに持ち込むことが出来ていたとしたら、そのタイムリミットは6月だっただろうと考えます。
この時期に有効な対策を打ち出せていたなら、現在のような状況には陥っていなかったかもしれません。

しかし、現実には有効な対策を打ち出すどころか、相変わらずのインフレ懸念を持ち出して、金融政策を大きく方向転換するまでには至りませんでした。
そんな最中、格付け会社はどんどんと危機感をあおり続け、市場と金融当局との温度差は大きく乖離して行ったように感じます。

市場は大幅な利下げによる資金供給を望み、金融当局はインフレ懸念に縛られて大胆な政策が打ち出せず、そんなジレンマが事態の悪化を招いたのではないでしょうか。
もちろん、いずれは破綻する経済だったのかもしれません。しかし、途中経過によっては、今後の道筋が異なってきたかもしれません。

まあ、過ぎてしまったことをあれこれ言ってみても仕方がありません。問題は、今後のことです。

日経平均は今月に入って、一旦下げ止まりの様相を呈しています。もちろん、これから上昇に転じる保証はありません。
しかし、長期的に見るならば、現在の株価水準が歴史的な低水準にあることは間違いないだろうと思います。

今後、ほとんどの上場企業が赤字決算に陥り、それが長期的に続くような事がない限り、現在のPBRがまだ割高な水準にあるとは思えませんし、そもそも、もしもそんな状況に陥ってしまったとしたら、国家の税収が途絶え、日本という国が崩壊してしまうでしょう。

そうなってしまえば、国債も現金も意味を成さなくなります。では、外国の債権や通貨が安全なのかと言えば、事情はどこの国でも同じでしょう。
そうであるとすると、結局、企業を信頼して株式市場に資金を投じることが、もっとも安全な選択肢の一つなのではないかと思うわけです。

市場から資金を得るためには、市場の絶対的な規模は関係ありません。必要十分な流動性とボラティリティがありさえすれば、株価水準が2万円だろうと1万円だろうと、そこから得られる損益水準は変わりません。

株価が2万円だから年間収益が200万円で、1万円だから100万円しか稼げない、などという事は無いわけです。
株価水準がいくらであっても、投じる資金が同じであれば、同程度の収益を得る機会があります。

株価下落時に損切りが出来ず塩漬けにしてしまい、投資資金が不足している人でも、塩漬け株を担保に信用取引を行うことだってできます。
十分に漬かりきった株式であれば、それ以上の下落リスクは小さいと思われます。担保価値の毀損をあまり気にすることなく、トレードに専念する事ができるでしょう。

また、これから新たに株式投資を始めようという人にとっては、現在の状況は絶好のチャンスです。今までは高くて買えなかったような優良株が、バーゲン価格で買えるのですから。
また、株価下落によって優待利回りが極めて高くなっている銘柄もあります。優待目的の投資を考えている人にとっても、今が絶好のチャンスです。

もちろん、トヨタがそうであったように、どんな企業にも赤字転落の可能性はありますし、さらには倒産する可能性もゼロではありません。
また、優待目当てで購入したのに、優待が廃止になることだって起こり得ます。

しかし、いつの時代であっても、投資にリスクは付きまといます。問題はリスクとリターンのバランスです。
現在は、リスクは大きいもののそれ以上に大きなリターンが期待できる時期なのではないかと思っています。

そのような考えの下、市場参加者が増加し、株式市場が再び活況を取り戻すことを期待して、今年最後の言葉としたいと思います。

今年一年、当ブログおよび研究所サイトをご覧いただき、ありがとうございました。来年も変わらぬご愛好をいただけましたら幸いです。良いお年をお迎えください。
なお、次回のコラム掲載は新年の1月5日を予定しています。


PS.今気が付きましたが、記事数が777になりました。確変フィーバー(死語?)ですね。

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