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マネーマネジメント [トレード新思想体系]

これまでの話の中で、資産残高から見たストップ基準の一例として、年初資金の20%という基準を用いてきました。
この20%という基準は、どのようにして導かれたものなのでしょうか。

実は、この数字の客観的な根拠は存在しません。ただ、よく言われるのは、20%の損失を取り返すためには25%の利益が必要であり、その程度ならば実現可能だろうということです。
これが30%にまで損失が膨らんでしまうと、その後で43%もの利益を上げなければ元の金額には戻らない、ということになります。

すなわち、20%という基準は、そこまでの損失であるならば、仕切り直しによって、ほぼ同じ期間で取り戻すことが出来るかもしれない額である、ということです。
心理的には、勝ちと負けの確率が同程度であり、値動きもほぼ同じであれば、25%くらいの利益機会はあると思えるのではないでしょうか。

もちろん、この基準は小さければ小さいに越したことはありません。しかし、通常はリスクとリターンは比例しますから、ストップ基準を下げれば下げるほど、期待リターンもまた小さくなってしまいます。

当然、株式トレードで利益を追求する限り、期待リターンを0にするわけにはいきませんから、多少なりともリスクを背負う、すなわち、ストップ基準を決めてやる必要があります。
そしてそれは、私たちの投資戦略や手法に大きく依存します。

利益追求型のトレードを行なう場合は、最初に目標利益を決定して、そこから逆算してストップ基準を決定します。
例えば、私が行なっていたシステムトレードの場合、資産カーブやその回帰直線、標準誤差などから、システム停止時における1株当たりの最大損失額は予め分かっていました。

そして、目標利益、もっと具体的に言えば月々の出金額は決まっていましたから、それを得るための最低建て玉数も決まっていました。
すなわち、その最低建て玉数に一株当たりの最大損失額を掛けてやれば、それが資金ベースのストップ基準ということになります。

この数値が許容できるものでない場合は、本来ならば目標利益を下げてやる必要がありますが、そうすると月々の出金を含めたプライマリーバランスがマイナスになってしまいます。
そこで、残された選択肢としては、更に高EERのシステムを開発するか、出金を抑えるか、あるいは運を天に任せて損失に目をつぶるか、ということになります。

ここで見てきたように、利益追求型のトレードを行なうためには、システムトレードのように予め目標利益(利益目標ではありません)が明確になっていないといけません。
したがって、BUY&HOLDの場合には、目標利益からストップ基準を決定してやることは、困難ということになります。なぜなら、どこまで利益が伸びるかは、相場に聞くしかないのですから。

すなわち、期待収益が明確なシステムトレード以外では、リスク限定型のトレードを行なうべきである、ということになります。
これは、予め資産残高から見たストップ基準を決めておき、それをベースに個々のトレードのポジションサイズを決定するというものです。

これらは、どちらかというと資産をできるだけ減らさないためのマネーマネジメントです。一方、資産を積極的に増やすためのマネーマネジメントも存在します。
それは、レバレッジを利用したトレードだったり、複利効果を最大限生かしたトレードだったりします。

高レバレッジと複利効果が組み合わさると、資産カーブは時として爆発的な増加を示すことがあります。複利効果はある一定の利益率以上か、ある一定の損失率以上の時に、投資家に有利に働きます。
すなわち、非常にリスクの高い、資産の変動率の大きいトレードを行なった場合、最終的な資産が最大化する可能性があります。

これに更にレバレッジを組み合わせることで、資産は爆発的な膨張を示すことになります。これは、オプティマルfという指標を用いて、定式化されています。
ただし、このようにして最適化されたトレードは、一般に非常にドローダウンの大きいものとなるようです。

マネーマネジメントのやり方一つで、私たちの投資成績は大きく異なったものとなります。同じ銘柄を同じタイミングで売買したとしても、マネーマネジメントによって最終的な損益は違ったものとなってきます。

当たり前の話ですが、利益となるトレードでポジションを最大化し、損失となるトレードでポジションを最小化できれば、もっとも効率がいい投資となります。
しかし、そのようなことを実践できるはずもなく、堅実な投資家はリスク管理に重点を置いたトレードを心掛けるべきだと考えます。

使い古された言葉ですが、利益をコントロールすることは出来ませんが、損失をコントロールすることは可能なのです。

なお、マネーマネジメントと言うと、投資資金の配分方法などについて述べられることも多いようですが、ここでは触れませんでした。
あくまで株式トレードに絞って考えてみたのですが、個別株式に振り分けるリスクまでは考慮していません。こちらはどちらかというとファンダメンタル的な要素が強く、私の専門外ということでご容赦ください。


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