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システムポートフォリオ [トレード新思想体系]

株式トレードにおいては、複数の銘柄を組み合わせて売買したり保有したりする場合があります。これをポートフォリオ運用といいます。
株式を個別に売買するよりも、ポートフォリオ運用を行なった方が、リスクを低減することが可能であると言われています。

個別株式でポートフォリオを組むことと同様に、複数のトレーディングシステムでもポートフォリオを組むことが可能です。これを、システムポートフォリオと呼びます。
システムポートフォリオを組むことにより、通常のポートフォリオ運用同様にリスクを低減することが可能となります。

トレーディングシステムは元々、個別株式の売買よりもリスクを低減し、期待値を高めるために運用されます。そこには、人間の感情を排するというメンタルな側面もありますが、基本的には、合理的かつ効率的なトレードを行なうための手法の一つです。

そのようなシステムトレードにおいて、なぜ更なるリスク低減を考える必要があるのでしょうか。すべてを網羅した単一のシステムがあれば、事は足りるようにも思えます。
トレーディングシステムの場合、その資産カーブは単なる株価推移と比べて極めてロバスト性(直線性)が高く、複数のシステム間の相関もまた極めて高くなることが普通です。

相関が高い株式同士でポートフォリオを組んでも、リスク低減効果は小さく、そのため、通常は出来るだけ相関が低く、可能ならば逆相関関係にある株式を組み合わせることになります。
しかし、トレーディングシステムにおいては、一見、有効な組み合わせは得られないように感じます。すなわち、システムポートフォリオ運用は無意味ではないかとさえ思えます。

ところが、実際にある2つのシステムを組み合わせてみると、互いの相関係数は極めて高いにも係わらず、合成システムのEERが元々のシステムのEERよりも大きくなる場合があることが確認されました。EERは以前にも説明したように、リターンとリスクの比を取ったものです。

すなわち、通常のポートフォリオ理論からは想定することができない、リスクの低減がなされる場合があることが分かりました。
通常のポートフォリオ理論が、標準偏差をベースに構築されているのに対し、EERを考える場合は標準誤差を用いる必要があり、この違いが原因であると思うのですが、詳しいことはまだ分かりません。

さて、ロバスト性が高いシステム同士でも、EERを増大できる可能性があることが分かりました。これはすなわち、システムポートフォリオの有効性を物語っています。
そうは言っても、闇雲にシステムを組み合わせただけでは、効果は未知数です。では、どのような組み合わせを考えればいいのでしょうか。

それには、いくつかの考え方があります。一つは、純粋にEERが増加する組み合わせを目指すことです。ただ、EER増加のメカニズムはまだよく分かっておらず、とりあえず力技でいろいろな組み合わせを試す必要があります。

もう一つは、性格の異なるシステム同士を組み合わせるという方法です。例えば、中期の順張りシステムと短期の逆張りシステムを組み合わせてみたり、買いシステムと売りシステムを組み合わせてみたりすることが考えられます。

こうすることにより、相場がどのような状態になっても、いずれかのシステムが機能することを期待します。
ただ、やはり合成システム(ポートフォリオ)としての性能を、事前に確認する必要があるでしょう。

以上のように、システムポートフォリオを組むことにより、単一のシステム運用よりもリスクを抑えた運用が行なえる可能性があります。
しかし、システムトレードは元々、多額の運用資金を必要とするものであり、システムポートフォリオを組むことで運用効率を落としては、本末転倒です。

システムポートフォリオなどの運用テクニックを考える前に、自分の資産状況を認識し、身の丈にあったトレードを心掛けることが、最も重要なことなのではないでしょうか。


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