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株式の時間的価値 [投資・経済全般]

購入したばかりの株式があったとしよう。その後の売却条件は人それぞれであろうが、少なくとも始めから損失計上を予定している人はほとんどいないだろう。
すなわち、多くの投資家は、株式購入後に株価が値上がりし、十分上がりきったところで売却できたらいいと考えている。もちろん、長期保有の目的で購入し、株価に関係なく、自分が死ぬまで保有し続ける人もいるだろうが。

ということは誰でも、これくらい株価が上昇したら良い、という漠然とした願望を持っている場合が多いと考えられる。
例えば、年間100%の利益を上げたいと考えるならば、複利運用で月当たり6%の利益目標となる。これをさらに短い期間で考えると、半月で3%、そして1日当たり0.3%、ということになる。

1日0.3%の利益を目標として毎日売買を繰り返せば、デイトレードとなる。1週間から半月程度で1.5~3%の利益を目指せば、スウィングトレードとなる。
このように、投資期間によって、目標とする利益率は異なってきて然るべきである。ところが、上記の例のような明確な時間意識を持たない場合のトレードはどうであろうか。

月6%の株価上昇を目論んで購入した株式が、半月で6%上昇した場合、あるいは、1ヶ月経っても3%しか株価が上昇しない場合、この株式をどうするべきであろうか。
もちろん、その人の投資スタンスによって、対応は様々であろう。しかし、曲がりなりにも1ヶ月で6%の利益目標を掲げたのであれば、株式の時間的価値の変化に基づいた合理的な判断が必要となる。

株式の時間的価値とは、客観的な価値基準ではなく、あくまで主観的なものである。例えば、1ヶ月6%の株価上昇を目論んで購入した株式の半月後の時間的価値は、購入価格×1.03(3%)+売買手数料、ということになる。半月後に株価がこの時間的価値を上回っていたら、株式を売却する行為は合理的な判断である、と言える。

これは、4月24日のコラムで紹介したKFチャートの考え方を用いると、理解しやすい。同コラム中の右上のチャートに着目していただきたい。
青線が株価、赤線(水平線)が購入コスト(購入価格+買い手数料)、茶線(斜め線)が時間的価値(+売り手数料)と置き換えることが出来る。

この時間的価値を株価が上回った後再び下回ったら売却する、というルールを設定すれば、目標利益達成に向けた合理的な投資判断が可能となる。

もちろん、合わせて損切り基準も設定する必要がある。これは、例えば時間的価値直線の下方に平行な直線を引き、その線を株価が割り込んだら損切りするようにすればよい。
この損切り基準は、トレイリングストップと同様の働きをするため、株価が上昇トレンドにある間は、損切り基準が切り上がっていくことになる。

また、株価は一般に大きく変動するため、株価が時間的価値と等しい時に利益確定するのではなく、損切り同様、時間的価値直線の上方に更に平行線を引き、株価がその直線に達した後再び割り込んだら、そこで初めて利益確定すればよい。もし、株価がそこまで上昇せずに下落して、時間的価値を割り込んだら、そこで利益確定することになる。

同様の平行線を更に書き足せば、利益確定ポイントを逐次上方へ移動させることができる。もちろん、利益確定ポイントの一本下の平行線は、損切りポイントを兼ねることになる。こうすることで、株価の急騰にも適切に対処できることになる。

これらの平行線の間隔は、機械的に決めてしまっても良いし、対象銘柄のチャートを見て任意に決定しても良い。
また、目標月間利益率6%の場合、実際には資金効率や勝率も考慮しなければならないため、設定する時間的価値直線の傾きは、月当たり6%よりも大きくしてやる必要がある。

また、株価の動きをイメージできる場合は、そのイメージカーブの上限と下限を描き、株価がそこから抜けたときに売却するようにしても、面白いかもしれない。さらに、逆張り投資の場合は、当面の損切り基準を低めに設定しておく必要があるだろう。

いずれにしても、購入した株式の時間的価値を予め視覚化しておくことにより、その後の株価の動きに対して、合理的な売却判断を行うことが可能となると考える。
また、損切り基準を右肩上がりの直線またはカーブとすることにより、上がらない株式をいつまでも抱えておくという無駄を省くことが出来る。

平行線の幅をどのように設定するか等、任意性は残るものの、この手法が株式投資の有力な武器になることを期待する。
もっとも、すでにこのような手法を実践されている方にとっては、余計なお世話かもしれないが。


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