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両建て戦法と順張り投資 [投資・経済全般]

LC-PH(ロスカット-プロフィットホールド)戦略という投資方法がある。日興コーディアル証券の末永雅春氏が提唱している方法であり、同氏によると初めての行動ファイナンス的アプローチの運用ルールらしい。詳細は下記書籍を参照していただきたい。

神と悪魔の投資論―リスクと心理のコントロール

神と悪魔の投資論―リスクと心理のコントロール

  • 作者: 末永 雅春, 三隅 隆司
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 単行本


これは、SPS研究所の照沼佳夫氏が提唱する損小利大の考え方に近いもので、ロスカットを徹底しつつ、評価益はトレーリングストップで伸ばしていく、というものである。この方法自体はそれほど目新しいものではないと思うのだが、その他いろいろな付帯条件があるようで、それらを総じてLC-PH戦略と呼んでいるのだろう。

さて、その中で、「株価が上下する確率は5分5分なのだから、まず両建てを行い、ロスカット基準に達した方を損切り、残った方の利を伸ばすようにすれば良い」といった意味の記述が見られる(その後の説明ではこの両建ての部分が不明瞭になり意図が分かりづらい)。
これは、両建て戦法としては、かなりオーソドックスなものである。

さて、この両建て戦法であるが、言われてみると「なるほど」と思ってしまう不思議な説得力があることもまた事実である。
しかし、売りと買いを同時に建てる行為は、明らかに合理的ではない。証券アドバイザーの若井武氏も著書で述べていたが、売ったつもり、買ったつもりで仮想の玉を建てても効果は同じであり、金利・手数料が掛からない分だけ、この方が有利である。
片方の玉がロスカット基準に達したら、もう片方の玉を実際に建てればよい。

わざわざ仮想玉を建てるのは、ロスカットという行為を強く意識させるためである。末永氏が仮想玉ではなく実際の玉を建てることを例示しているのは、投資家の心理面への影響を考えてのことであり、ロスカットをさらに強く意識させるためのものであろう。

さて、心理的に未熟な投資家には有効かもしれないこれらの投資戦略であるが、日頃からロスカットをきちんと行なっている投資家にとっては、まどろっこしいだけかもしれない。
しかし、この戦略は、案外と順張り投資に応用が利くのである。

今、仮想で両建てを行なったと仮定しよう。片方の玉がロスカット基準に達したら、もう片方の玉を生かすべく実際に玉を建てる。この時点で損益はゼロである。
それならば、現在の株価から見て、想定投資期間以内の過去においてロスカット基準以上の株価変動があったなら、その日に両建てしたと帳簿上処理すれば、全く同じこととなる。

さらに言えば、帳簿上の処理など必要ない。
例えば、投資期間(ロスカットも利益確定も生じない状態で許容できる最大日数)として20日を想定し、ロスカット基準を5%とした場合、現在株価が1,000円ならば、過去20日以内の直近で株価が952円以下だったら買い建て、1,053円以上だったら売り建てとすればよい。
その後は、トレーリングストップを設定して、トレンドに追従していくだけでよい。

この方法が実際の利益に貢献するかどうかは、やってみないと分からない。銘柄や投資タイミングによっても変わってくるだろう。
しかし、両建て戦法が有効であるのなら、この方法もまた有効であるはずなのは間違いない。


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