昨日のコラムでは、システム開発のアプローチの一つとして、先にシステムやパラメータをある程度固定しておき、それに適合した銘柄を捜し求めて更に詳細に検討する、という方法があることを述べました。

もう一つのアプローチとしては、それとは全く逆に、運用したい銘柄を最初にある程度決めておき、それらの銘柄各々に最も適したシステムやパラメータを捜し求める、という方法があります。
これは、通常の株式投資と極めて似通ったアプローチです。従って、ある程度は対象銘柄に関する情報を事前に調べておく必要があります。

株式の個別銘柄に対してシステムを最適化すると、過剰最適化に陥るのではないかという懸念があることは事実です。
しかし、それが懸念されるのは、極端に時価総額や出来高の小さい銘柄であったり、極端にトレード機会が少ないシステムであったりした場合に限られます。

十分な時価総額を有した銘柄であるならば、それを対象としたシステムは、指数先物や為替を対象としたシステムと何ら変わるものではないはずです。
むしろ、一部の商品相場を対象とするよりは、はるかに出来高に恵まれているものと思います。

個別株式では、その会社の財務状況の推移により、株価が想定外の動きを示す場合があることも事実です。
しかし、例えばトヨタ自動車の場合は、あれほどまでに業績悪化が懸念されたにもかかわらず、ストップ安という事態には陥っていません。

少なくとも、株価が連続的(ストップ高安をつけない)に推移する銘柄であるならば、それがシステムトレードに適さないなどという理由はありません。
解析的なシステムを組む場合は、基本的には株価が連続的に推移すれば十分です。

このように、株価が連続的に推移する銘柄はどの程度あるのでしょう。正確に数えたことはありませんが、少なくとも数えるほどしかない、ということはないと思います。
そして、連続的な株価推移を有した銘柄であれば、少なくとも正確な解析は可能だと考えます。

システムが過剰最適化に陥るのは、対象が個別銘柄だからではありません。指数先物や為替であっても、過剰最適化には容易に陥ります。
その原因は、対象銘柄にあるのではなく、明らかにシステムの不備にあるのです。

そして、パラメータの設定は本来個別銘柄毎に行なうべきであり、複数の銘柄に同じパラメータを設定しなければならない、などという暗黙のルールは、株価の連続性を考慮しない銘柄選択に根ざした誤解に過ぎないと思います。

個別にパラメータを設定しても、全てのシステムが機能する訳ではありません。ましてや、必ずしも最適でないパラメータが設定されたシステムの寄せ集めが、個別に最適化されたシステムの寄せ集めに勝るとは、到底考えられません。

最適なパラメータとは、感度が低ければ良いというものではなく、高い感度を有しながらもそのピークがずれ難いものです。
そしてそれは株価の連続性によって保証されるべきものであり、個々の銘柄に共通して保証されるべきものではないのです。


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