システム効率は、その定義やチャート形状からも分かるように、微分形の指標です。従って、細かな変化を捉えるには適しているものの、全体像を把握しにくいという欠点があります。
また、有限大の時間を基準とすることから、必然的に遅延が発生するという問題点もあります。

そこで、理想システムとの適合日を累計した「累計適合日数」と、それまでの日数で累計適合日数を割った「累計システム効率」を新たに定義します。
日産順張り逆システムに関するそれらのチャートを、以下に示します。上記と順番が逆になりますが、上段が累計システム効率、下段が累計適合日数です。


基本的には、直近において累計システム効率が一定であれば、そのシステムは直近において機能していると考えられます。
また、その場合、累計適合日数はロバストになります。

ただし、以上の傾向に予測性があるかと言うと、残念ながらその可能性は低いようです。すなわち、バックテスト期間において、累計システム効率がほぼ一定であったとしても、必ずしもフォワードテスト期間においてもそれが維持されるわけではない、ということです。

では、これらの指標は一体何の役に立つのか、ということになるわけですが、あえて言うならば、理想システムとの乖離を把握するため、ということになります。

理想システムの資産カーブそのものは、完全なロバストにはなりません。ボラティリティが大きい時期には、回帰直線の傾きよりも資産カーブの傾きの方が大きくなり、ボラティリティが小さい時期には、その逆になります。

すなわち、理想システムの資産カーブは、その時々の市場構造をダイレクトに反映している、と考えることができます。
そして、実システムの資産カーブもまた、その影響を多少なりとも受けることになります。

そこで、理想システムと実システムの資産カーブ同士の差分を取ってやれば、市場構造(例えばボラティリティ)の影響をキャンセルすることができるはずです。
その結果、累計適合日数チャートは実システムの特性のみを反映し、理想的には完全なロバストになると考えられます。

ただ、先ほども述べましたように、それは現時点までのシステム性能の評価には役立っても、今後のシステムがどうなるかについては、今のところ何も答えてはくれないようです。
理想システムを含めたそれらが、果たして将来を語ることがあるのかどうかについては、残念ながら現時点では分かりません。

将来予測に関しては、私はどちらかというと否定的な見解を持っています。それが、1日程度の極近傍の出来事であったとしても、私は分からないという前提に立って行動することしかできません。
もしも、それが予測できるとすれば、それは現時点以降に突然示現するのではなく、その兆候は既に存在していると思われます。

しかし、その兆候がいつから存在するのかは分かりませんし、どこに潜んでいるのかも分かりません。それを探る様々な方法が考えられ、提案あるいは実践されているのだとは思いますが、どれほどの確実性を持って言えるかという点については、私には見当もつきません。

もしも明日、大規模なテロが発生して株式市場が暴落するとしても、現在の私にはどうすることも出来ませんし、唯一出来ることとしては、明日になってその結果を踏まえた上で、翌日以降の売買判断を下すことくらいしかないのです。